2009年7月7日火曜日

統一協会・新世 霊感商法事件

 先日、信者2人が逮捕・起訴された世界基督教統一神霊協会(統一協会・統一教会)関連会社「新世」の霊感商法事件について、新聞記事を整理しておきます。

【毎日新聞 2009年06月11日】印鑑販売:不安あおり売りつけた疑い、会社社長ら逮捕
 印鑑や表札などの販売会社「新世」(東京都渋谷区)による特定商取引法違反事件で、警視庁公安部は11日、同社社長の田中尚樹容疑者(51)ら同社幹部2人と20~40代の販売員の女5人を同法違反(威迫・困惑)容疑で逮捕した。公安部は7人はいずれも世界基督教統一神霊協会(統一教会)の会員とみており、同社の運営に関与したとみられる統一教会幹部の居住場所や渋谷区の教会施設などを同日、同容疑で家宅捜索した。


 逮捕容疑は、07年10月~今年2月、JR渋谷駅近くの路上で、30~60代の女性5人に、「姓名判断をしませんか」などと声をかけ、「先祖の呪いが人生を悪くしている」「印鑑を買わないと悪いことが起こる」などと不安をあおり、16万~120万円で印鑑を売りつけたとしている。

 公安部は、霊感があるように装い高額な商品を売りつける「霊感商法」の疑いが強いと判断し、今年2~3月、同社や関連先の印鑑卸売り会社などを捜索。統一教会と関連がある印鑑販売会社約300社の売り上げ一覧表▽販売から統一教会への勧誘までの流れを図解したマニュアルなどを押収したという。

 資料の分析で、統一教会本部(渋谷区)に近い同社はモデル店舗とされ、多い年で2億円を売り上げ全国トップクラスだったことや、同社が「特別伝道部隊」とされていたことが判明したという。顧客情報や売り上げが統一教会に送られた形跡もあり、公安部は、統一教会が印鑑販売を足がかりに、献金や会員を獲得していたとみている。

 福岡県警は5月、水晶彫刻などを売りつけたとして、統一教会信者を名乗る女性を同容疑で逮捕し、関連先として同県内の「福岡教会」を家宅捜索している。

 毎日新聞の取材に統一教会広報部は「いかなる営利事業も行っておらず、当宗教法人と新世とは関係がない」とのコメントを出した。

 新世では、100人以上もの統一協会信者に対して、勤務実態がないのに給与名目で年間数千万円を振り込んでいたとのこと。下記朝日新聞が報じた警察の見込みどおり、そのカネが信者から統一協会に献金されていたのだとすると、本来、印鑑販売会社・新世の収入であったカネを信者経由で宗教法人である統一協会に上納することで、課税対象にならないように装った可能性が出てきます。霊感商法問題だけではなく、宗教法人を利用した脱税事件に発展する可能性もありそうです。
【朝日新聞 2009年07月02日】印鑑商法事件、信者に給与名目の現金 統一教会に上納か
 印鑑販売会社「新世」(東京都渋谷区)が不安をあおって印鑑を売りつけたとされる事件で、新世が、勤務の実態がないのに、少なくとも100人以上に給与名目で年間計数千万円を振り込んでいたことがわかった。捜査関係者が明らかにした。いずれも世界基督教統一神霊協会(統一教会)の信者といい、警視庁公安部は、新世の販売収益の一部が個人献金の形で統一教会側に流れていたとみて裏付けを進めている。

 東京地検は1日、法人としての新世と、社長の田中尚樹(51)、営業部長の古沢潤一郎(40)の両容疑者を特定商取引法違反(威迫・困惑)の罪で起訴した。販売員の女5人は同罪で略式起訴され、同地検によると、いずれも罰金100万円を納めたという。

 捜査関係者によると、新世から振り込みがあった口座の名義人のうち約70人は、新世で働いていた実態がなかった。1日程度働いたことが確認できた者を含めると、「給与」を受け取っていたのは百数十人にのぼるという。

 また、ほとんどのケースで、振り込み直後に口座からほぼ全額が引き出されているという。公安部は、信者が現金で、統一教会側に「上納」していたとみている。

 田中容疑者が頻繁に、統一教会の南東京教区長を務めていた幹部(50)から印鑑の販売について指示を受けていたことがすでに判明している。公安部は今後も、幹部が違法な販売活動に関与していたかどうかを調べる。

 この事件に関連して、産経新聞が新世被害者への取材などをまじえて、非常に詳しいリポートをしています。

【産経新聞 2009年07月05日】【衝撃事件の核心】殺生、色情、財…「先祖の因縁」振り払う印鑑販売会社の人間が口にした宗教団体名は(全5ページ)

 そして、新世社長らは起訴。新世の「マニュアル」の存在も改めて報じられています。
【毎日新聞 2009年07月02日】「印鑑」霊感商法:商法にマニュアル 特商法違反、「新世」社長らを起訴
 印鑑などの販売会社「新世」(東京都渋谷区)による特定商取引法違反事件で、東京地検は1日、法人としての同社と社長の田中尚樹(51)、営業部長の古沢潤一郎(40)両容疑者を同法違反(威迫・困惑)で起訴した。20~40代の販売員の女5人も略式起訴され、東京簡裁からそれぞれ罰金100万円の略式命令を受けた。東京地検によると、7人とも世界基督教統一神霊協会(統一教会)の信者と話し、起訴内容を認めているという。

 起訴状などによると、田中被告らは07年10月~今年2月、JR渋谷駅近くの路上で30~60代の女性5人に声をかけ、「先祖が武家で多くの人を殺している。因縁があなたの家に降りかかっている」などと不安をあおり、「因縁を振り払うため」として印鑑を16万~120万円で売りつけたとされる。

 東京地検によると、田中被告が作成したマニュアルには▽配偶者に先立たれていないか▽事故に遭っていないか▽配偶者の浮気や離婚経験の有無--などを相手から聞き出し、「先祖の因縁」に結び付けて勧誘するパターンが詳細に決められていたという。

 同社の販売員は30人程度なのに125人分の人件費を計上するなど不自然な点があり、東京地検は売り上げの一部が統一教会に流れた可能性もあるとみて捜査を継続する。

 統一教会は「当法人は宗教法人であり、いかなる営利事業も行っていない。新世とは関係がない」とコメントしている。

 宗教と詐欺の境界線は微妙で、形式的な理屈だけで言ってしまえば、どんなにウソくさい荒唐無稽な理屈で被害者からカネを巻き上げても、加害者が「被害者を騙す意図があってのことではなく、我々はその理屈を本気で信じているのだ」と言い張れば、詐欺ではないということになりかねません。詐欺というのは、相手を騙そうと意図して実際に騙し、金品を巻き上げることを指すからです。

 しかしマニュアルがあったとなると、組織的に意図的に相手を騙したり脅したりしていたという根拠になります。

 かつて法の華三法行では、「足裏診断士養成マニュアル」によって診断士が信者を「今のままでは命をとられる」「2か月で倒産する」などと脅してカネを巻き上げていました。2000年に詐欺容疑で摘発され、教祖・福永法源らが逮捕されました。教祖は詐欺罪で懲役12年の実刑が確定しています。

 今回の新世社長らの容疑は特定商取引法違反のようですが、被害者を騙す(あるいは脅す)マニュアルがあったのであれば、実質的に詐欺や恐喝の類だったと言って差し支えないのではないでしょうか。

 ちなみに、こんな報道もありました。統一協会側は否定していますが、記事は警視庁公安部幹部が「組織的な証拠隠滅工作だ」と断言していると報じています。
【共同通信 2009年06月20日】統一教会、証拠隠滅か パソコンからデータ消去
 客の不安をあおり高額な印鑑を売り付けたとして、印鑑販売会社「新世」(東京都渋谷区)の社長らが逮捕された特定商取引法違反事件で、警視庁公安部が統一教会南東京教区の本部事務所から押収したパソコン数台は、データが消去されていたことが20日、捜査関係者への取材で分かった。

 公安部によると、事務所のパソコンには統一教会側が新世に提出させていた販売記録や顧客データなどが保存されていた可能性が高く、公安部は統一教会側が印鑑販売に深く関与していた実態を隠ぺいしようとしたとみている。

 公安部は2月に新世を捜索した際、印鑑購入者を統一教会に入信させる手順書などを押収。南東京教区の幹部が販売の指示を出し、新世が販売実績を教区に詳細に報告していたことを示すメールなどを発見したが、今月17日の教区事務所の家宅捜索では、関与を示す資料は見つからなかった。

 パソコンのデータも復元が困難なほど消し去られており、公安部幹部は「組織的な証拠隠滅工作だ」としている。

 統一教会は「データを消去した事実は承知していない」としている。

 公安部は20日までに、両罰規定を適用し特商法違反容疑で新世を書類送検した。

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