2009年10月5日月曜日

紀元会元集団暴行死事件 女性元幹部の実刑12年が確定

 2007年9月24日深夜から25日未明にかけて、長野県小諸市の宗教法人紀元会の施設内で、信者の集団暴行によって女性信者、奥野元子さん(当時63歳)が死亡、もう一人の信者(死亡した奥野さんの娘A子さん)が重傷という事件が起きました。この事件では、暴行に加わったとされた信者ら39人が逮捕され、そのうち、この集団暴行を主導したとされたのが今回の女性元幹部、窪田康子です。
 検察の求刑14年に対して、長野地裁(2008年11月)と東京高裁(2009年6月8日)は、窪田康子に対して実刑12年の判決を言い渡し、これに対して、窪田被告人側が上告していたものですが、今回の上告棄却によって、刑が確定したというものです。
【産経ニュース 2009年10月1日】紀元会元幹部の実刑確定へ 会員の集団暴行死を主導 長野県小諸市の宗教法人「紀元会」の会員女性が集団で暴行され死亡した事件で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は1日までに、傷害致死や犯人隠避教唆などの罪に問われた同会元幹部、窪田康子被告(51)の上告を棄却する決定をした。懲役12年とした1、2審判決が確定する。
決定は9月30日付。 1、2審判決によると、窪田被告は平成19年9月、紀元会内部のもめごとを理由に、施設内で多数の会員らと一緒になって奥野元子さん=当時(63)=を暴行し、死亡させた。さらに奥野さんの夫らに「暴行は家庭内で行われた」とうそを警察に話すよう依頼した。 1、2審とも窪田被告が暴行を主導したと認定した。
 なお、この事件の概要については、読売新聞がまとめてくれています。
     (上)リンチ否定、ほころび
     (中)創設者死後に一変
     (下)事件主導の有無 争点に 

 記者は、今年4月20日に東京高等裁判所622号法廷で行われた控訴審での窪田康子被告人の本人尋問を傍聴しましたが、争点はやはり、窪田康子が事件を主導したかどうかという点でした。

 窪田康子は紀元会の初代教祖(総裁)松井健介氏の次女で、現在の教祖(総裁代行)松井五十鈴の実姉という立場ですが、被告人尋問で、窪田康子は「(自分は)一般の信者と同じ立場」「私は肉体も精神も人間です。総裁代行(松井五十鈴)は神ですから、全くちがいます。」とし、原審で自分が絶対権力者、有力者と認定されたのは、「紀元会を潰す」ことを目的とした検察側の創作だと繰り返し主張していました。

 この日の被告人尋問の中かからは、当時の集団暴行の悲惨な状況が垣間見え、傍聴席で聞いていても辛い内容でした。特に最後の裁判官からの質問のなかで、「小さいお子さん」までもが死亡した被害女性の体に「乗っていた」と発言されたのは、衝撃的でした。
 
 少し長くなりますが、裁判官からの被告人への質問の一部を大まかに再現してみます。不慣れな速書きメモからの再現ですが、大まかな内容は分かっていただけることと思います。
裁判官:あなたは松井健介の3人の娘の1人ですね。何番目ですか?
被告人:次女です。
裁判官:あなたがお姉さんで、妹が松井五十鈴ですね。
被告人:はい
裁判官:暴行傷害ということで、あなたは、A子さんに何をしましたか?
被告人:両腕をつかんで左右に振りました。
裁判官:他には?
被告人:馬乗りになって、おしりを2度ほど突きました。
裁判官:そのほかには?
被告人:右足の太ももの内側を1度踏みました。
裁判官:その時にあなたは「ここが一番痛いんだって」と言ってるんですけど、それは誰に向かって言ったのですか?
被告人:A子が「痛い痛い」と言ったので、ここを踏むと痛いんだってって言いました。
裁判官:誰に対して言ったのですか?
被告人:A子です。
裁判官:「痛い痛い」と言っている本人に向かって言ったというのが、分からないんですけど。
被告人:誰かに向かって言ったのではありません。
裁判官:脚の内側を踏むのが一番痛いというあなたの発言を聞いて、他の人が同じようにふみましたか?
被告人:私は見ていないのでわかりません。
裁判官:その可能性はあると思いますか?
被告人:ゼロではないと思います。
裁判官:そういう効果のある発言だということは認識していたということ?
被告人:(小さい声)はい。
裁判長:認識していたということでいいんですね。
被告人:はい。
裁判官:コンドームを口の中に入れたのは?
被告人:していません。
裁判官:蹴ったというのは?
被告人:ないです。
裁判官:????(メモ、読解できず)は?
被告人:ないです。
裁判官:何人もの証人が証言している言い分とあなたの言う事が食い違っている原因は何だと思いますか?
被告人:正しいかどうか分かりませんが、私が思うに、こういう事件になってしまって、私に対して腹立たしいのだと思います。
裁判官:あなたは、会員の1人に過ぎないのでしょう。権力者じゃないのに、なぜあなたに腹立たしく思わなくてはならないのですか?
被告人:自分が助かりたいからじゃないですか?
裁判官:でも、ほとんどの人が実刑になっているでしょう。
被告人:実刑になると思ってなかったんじゃないですか?
裁判官:元子さんに何をしましたか?
被告人:背中と・・・暴力は振るっていません。
裁判官:暴力かどうかはともかくも、元子さんの体に触れる何をしたのか言ってください。
被告人:肩と背中、それに黒板消し。
裁判官:肩と背中に何をしましたか?
被告人:肩を押しました。
裁判官:何で?
被告人:手で。
裁判官:背中は?
被告人:脚で押して・・・
裁判官:黒板消しは?
被告人:頬をポンポンとやりました。
裁判官:黒板消しで頬をポンポンとした意味は何ですか?
被告人:意味はありません。
裁判官:元子さんの股の内側を踏んだのは?
被告人:ないです。
裁判官:とび蹴りは?
被告人:ないです。
裁判官:おもちゃのピストルを耳元で鳴らしたというのは?
被告人:ピストル自体を私は見ていないのに・・・。
裁判官:何人もの証人が証言して、中には今も信者の方もいて、かなり躊躇もあったようだけど証言をされているようですが、その証言とあなたの言う事がこれほど食い違う原因は何だと思いますか?
被告人:警察からも私に罪をかぶせれば大丈夫とか言われてましたから。私に罪をかぶせれば実刑にならないと思ったんじゃないですか?
裁判官:紀元会の中で、二人に対していろんな人が暴行をするに至ったわけですけど、原因は、今考えて何ですか?
被告人:わかりません。
裁判官:原因もなしに暴力をふるうという事はないでしょ?
被告人:前の日からのやり取りで、辞める、辞めないで・・・
裁判官:なぜ、やめる、やめないで暴行になるのかが、わかりません。コンドームが原因だとは思いませんか?
被告人:私と同じ母親の立場の人なら分かるけど、そうじゃない人たちでやってるので・・・私は、遊びでやってた、ふざけ半分、その場の雰囲気に飲まれてやっただけと思います。
裁判官:ここまでする理由は何でしょうか?
被告人:止める人がいないと、やってもいいじゃないかと思うんじゃないですか。
裁判官:あなたは止めなかったんですか?
被告人:私がいたら止めました。
裁判官:奥野元子さんが暴行された時に、あなたはいなかったんですか?
被告人:自分が2階に上がったあとで、暴行が始まったので。
裁判官:記録を見てみると、小さいお子さんも、元子さんの体の上に乗ったりしていた。その理由も思い浮かびませんか?
被告人:それは今、初めて聞きました。
裁判官:紀元会という会の中で、事件がこういうことになったのを、どう思いますか?
被告人:(涙声)申し訳ないと、思っています。
裁判官:元子さんは亡くなっていて、もう元には戻せません。遺族には何か考えた事はありますか?補償(?弁償)について考えた事はありませんか?
被告人:あります。
裁判官:それはどういう状況ですか?
被告人:出たら、罪滅ぼしをしようと思っています。
裁判官:出たらって、服役後ということ?
被告人:はい。
裁判官:今出来る事は何かありませんか?
被告人:はい。私がやった事で家族にさせられませんから。
裁判官:どういう意味ですか?
被告人:私がやった事ですから、家族に何かそれについてさせられません。
裁判官:紀元会という場で起きたことですよ。何かしらの事後対応は難しいのですか?
被告人:だって、私、元子さんを死に至らしめていません。刑をもらったら・・・ここには善も悪も無い。やってないことをやったと言われ、どう償えっていうんですか?
 事件の全体像は他の被告人の裁判も見なければ明確にはならないのかもしれません。また、紀元会という宗教団体が、このようなことを過去から繰り返してきたのか、また今後も繰り返す可能性があるのかは、この事件一つではなかなか判断できないのかもしれません。それを知るためにも、この事件に教団がどう対応してきたのか、そして今後この事件をどう扱っていくのか、注目していく必要があると思います。

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