■ついに都が立入調査
8月に東京都が「ホメオパシー・ジャパン」に対して立入検査を行っていたことが新聞で報じられたのは、9月8日になってから。同社は、「日本ホメオパシー医学協会」の関連会社です。
【asahi.com 2010年09月08日】ホメオパシー効能広告の疑い 販売会社に都が立ち入り
民間療法・ホメオパシーで使われている砂糖玉のレメディーをめぐり、東京都が、同療法普及団体「日本ホメオパシー医学協会」関連の販売会社「ホメオパシージャパン」(本社、東京都世田谷区)に、薬事法に基づく立ち入り検査をしたことがわかった。同社の商品広告に、特定の病気に対する効き目をうたったとみられる表記がみつかり、都が改善を求めた。
薬事法は、同法で承認されていないのに、病気に効く医薬品であるかのように広告することを禁止している。都などによると、ホメ社の広告方法などについての情報提供が厚生労働省に寄せられ、都が8月に立ち入り検査を行った。
立ち入り検査にはホメ社側も同意した。都薬事監視課は、レメディーのパンフレットなどの商品広告について調査。その結果、病気に効くように受け止められかねない表現が一部に見つかったといい、改善を求める行政指導をしているという。
都は、2003年ごろにも、ホメ社に同様の検査をし、広告方法について改善を指導したという。
ホメ社は立ち入り検査に関し「薬事法の解釈・運用も徐々に変化しているようであり、お互いの認識合わせをし、指導があればその都度、変更を行ってきている。今回もその一環。法律を順守した企業活動の徹底をはかっている」とコメントしている。
日本ホメオパシー医学協会は、ホームページに「レメディーは食品であり、医薬品ではない」「レメディー自身が病気や体の部位に効果があるという記載は×」などと記している。
一方、同協会関連の出版社の書籍の中では「学問として情報を提供する」(同協会)として、レメディーの種類ごとに「大特徴 高熱のNo.1レメディー」「場所 皮膚、リンパ腺、脳」などと解説している。(福井悠介)
現在、薬事法違反疑惑にさらされているタレントのアグネス・チャン氏と夫の会社も、行政が薬事法違反の可能性ありと判断した場合には、こんな形になるのでしょうか。
■全国36助産所でホメオパシー、厚労省が指導徹底を求める通知
さて、日本助産師会が行った、助産所でのホメオパシーの実施実態にかんする調査の結果は、9月7日に発表されました。昨年10月、山口県山口市の助産師が、新生児や乳児に通常必要とされているビタミンKを投与せず、代わりにホメオパシーのレメディー(ただの水を含ませた砂糖玉)を与え、生後2カ月の女児を死亡。母親が助産師に対して損害賠償を求める訴訟を起こし、これが報じられたことがきっかけで、日本助産師会がホメオパシーについて調査を行っていました。
【日本助産師会 2010年09月07日】「ホメオパシー 」に関する調査結果の公表について
日本助産師会は、8月24日に公表された日本学術会議会長談話に全面的に賛成し、8月26日、ホメオパシーを医療に代わる方法として助産師が助産業務として使用したり、勧めたりすることのないよう、見解を発表したところです。
本会では、この見解発表以前に、山口県で乳児がビタミンK欠乏性出血症により死亡したとの訴提起の事実を受け、都道府県支部を対象に、支部内における分娩を取り扱うすべての開業助産師について、ビタミンK2シロップ投与とホメオパシーの使用に関する実態調査を実施し、別添のとおり取りまとめました。
平成22年8月末現在、本会会員で分娩を取り扱う開業助産所433か所(有床266か所、無床167か所)のうち分娩業務を休止している19か所を除いた414か所から回答がありました。ビタミンK2シロップの投与に関しては、414か所の全助産所が実施しており、過去2年以内でホメオパシーのレメディを投与しビタミンK2シロップを投与しなかったケースを取り扱ったことがあると回答した助産所は36か所ありました。投与しなかった主な理由は、薬剤拒否の妊婦からの強い希望があったこと、ビタミンK2シロップとホメオパシーのレメディと両方の説明を行い妊婦の選択によりレメディのみの投与になった等でした。
36か所の全助産所に今後もホメオパシーのレメディをビタミンK2シロップの代用として使用しないよう個別に指導いたしました。
本会としては、助産師がホメオパシーを医療に代わるものとして使用したり、勧めたりすることのないよう、継続的な指導や研修を実施し、会員への周知徹底を図ります。
朝日新聞は、上記の調査結果について、日本助産師会の岡本喜代子専務理事のコメントを紹介しています。
【asahi.com 2010年09月08日】助産所の1割でホメオパシー ビタミンK2与えぬ例
(略)
日本助産師会の岡本喜代子専務理事は「K2シロップは当然与えるものと認識していたので、36という数字は多いと思う。会員には、お産の現場でホメオパシーを使うことがないよう指導する。また、助産院のホームページなどでホメオパシーについて記載しないよう求めた」と話している。
上記朝日新聞の記事でも言及されていますが、助産師会の調査報告が公表された9月7日、厚生労働省医政局が助産師会に通知を出しました。報道を総合すると、ビタミンKの適切な投与、投与を望まない妊産婦に対するリスクの説明、それらに関する助産師会員への周知徹底や研修実施などを求める内容のようです。
■ホメオパス養成施設に医師法違反の疑いも
さらに朝日新聞は、9月8日、都の立ち入り検査を受けた「ホメオパシー・ジャパン」と同じく「日本ホメオパシー医学協会」の関連団体「ザ・ジャパン・ロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー」(カレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシーのこと?)について、以下のような記事を配信しました。
【asahi.com 2010年09月08日】ホメオパシーHP相談、医師法抵触か レメディーを助言ホメオパシー袋叩きの“第1波”があった8月、日本学術会議や日本医師会などがホメオパシー否定の声明を発表しましたが、それは特定の団体ではなく「ホメオパシー」全般を否定するものでした。“第2波”の今回は、日本ホメオパシー医学協会という特定の団体が目に見えて袋叩きになってきています。
日本ホメオパシー医学協会関連の療法家育成組織「ザ・ジャパン・ロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー」のホームページ上での健康相談が、医師法に触れる疑いがあると指摘する声が、専門家から上がっている。
今年7月、女性からの相談が、ホームページの「体験談紹介」に掲載された。10歳の子どもが腎臓病で免疫抑制剤を服用してきて、今は病院の薬は飲ませていないという。
「毒だしのレメディをとると、すごい好転反応が出てしまいます。顔、特に目がはれてパンパン、足もむくみ、蛋白尿(たんぱくにょう)がでて、見ているのが辛(つら)くて断念してしまいます」という内容。「むくみや蛋白尿が出たときのレメディを教えてください。このままレメディで腎臓をケアしていきたい」と求めていた。
これに対し、アカデミー側の「先生」と名乗る人物が、「むくみや蛋白尿に対するレメディー」として3種類をあげ、担当のホメオパシー療法者「ホメオパス」に相談するよう促す返答を掲載した。
(略))
国学院大法科大学院の平林勝政教授(医事法)は、「体験談紹介」のやりとりが医師法に触れる可能性を指摘する。「レメディーが薬品でないにせよ、症状を訴えてきた病人に、あたかもそれが効いて疾病に効果があるように勧めれば、実態は薬を処方するのと同じではないか」と説明。「仮にレメディーに一定の効果があったとしても、医師による治療を受ける必要があるかどうかを判断することは、医師でないと出来ない」と話す。
これに対し、日本ホメオパシー医学協会は「薬を処方することは医業にあたる。しかし、薬でないもの(=レメディー)をすすめることは医業にあたらない。したがって違法であるとは考えない」と文書で回答。医師法については、「ホメオパシーを対象にはしておりません」としていて、「先生」に医師が含まれるのか明らかにしていない。
それにしても、日本国内だけでもホメオパシー団体はいくつもあるのに、よくもまあ日本ホメオパシー医学協会だけでこんなに問題が出てくるものです。
明日は、ホメオパシー業界の“反撃ののろし”と醜い“内ゲバ”ぶりを紹介します。
3 コメント:
日本ホメオパシー医学協会HPの体験談のページがなくなってしまいました。なぜ消す必要があるのでしょう。それともなんでしょう、なにかやましいことがあるのでしょうか。。。
まあこの団体が一番良くわかってることでしょう。
体験談のページはリンクが無くなっただけで、ググればすぐ出てきますよ。
こんなに世間様から注目されるとオカルト満載な体験談ページは、目に付きやすい所には置いとけないんでしょ。
腎臓病のこどもの相談、読んでぞおっとしました。
子どもは治療法を選べない。
命に関わります。
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