2025年3月2日日曜日

藤倉善郎氏の有罪が確定=幸福の科学への建造物侵入罪

 幸福の科学の一般公開施設に取材に入ったジャーナリストの藤倉善郎氏が建造物侵入罪に問われていた裁判で、最高裁判所が2月21日に藤倉氏側の上告を棄却していたことがわかった。3月1日に藤倉氏がYouTubeで明らかにした。同時に藤倉氏は、「取材・報道の自由」を守るための裁判なのに弁護団から「言論の自由」を奪われたとして、弁護団の内情も暴露し批判している。

 藤倉氏は2018年に起訴され、東京地裁が2021年に、罰金10万円、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。2023年には東京高裁が藤倉氏側の上告を棄却。今回、最高裁が上告を棄却したことで、一審の有罪判決が確定した。

初転法輪記念館
 藤倉氏は、2018年1月に西日暮里にある幸福の科学施設「初転法輪記念館」に立ち入って取材した。幸福の科学は各施設について「神社仏閣と同じように、どなたでもご利用いただける宗教施設」などと謳っていた。しかし藤倉氏については、2012年に『週刊新潮』で幸福の科学学園の実態をレポートした記事への報復として、幸福の科学は「出入り禁止」を通告。それを根拠に、建造物侵入罪として警察に被害届を提出した。

初転法輪記念館
 起訴後、藤倉氏と弁護人は無罪を主張。『週刊新潮』の記事について幸福の科学学園が提訴した民事訴訟で、記事の内容全てに真実性が認められ藤倉氏と新潮社側の完全勝訴だったことから、「正しい記事」を書いたことへの報復としての「出入り禁止」を根拠に建造物侵入罪とするのは不当だとした。

初転法輪記念館
 しかし2021年に東京地裁は、「取材の自由も他人の権利を不当に害することは許されない」「被告人の本件立ち入りは、本件建物の管理権者の管理権を不当に侵害するものと言わざるを得ない」として有罪判決を言い渡した。罪状の根拠とされる「出入り禁止」通告が「正しい記事」を書いたことへの報復である点については「議論の余地もあろう」としたものの、最終的な判断では考慮に入れなかった。

初転法輪記念館
 過去、駅構内やマンションの敷地等でビラ撒きなどの政治活動を行った人が建造物侵入罪とされたケースでは、「表現の自由」が争点の1つになった。ジャーナリストの「取材の自由」と同罪との兼ね合いが争点となった裁判は、日本で初めて。藤倉氏は無人の室内で写真を撮影しただけで、現地でのビラ撒きや演説などの表現活動は一切しておらず、妨害や破壊といった行為も伴っていなかった。

藤倉氏「今後もやる」


 有罪判決が確定したことにより、日本の裁判史に「取材対象による立ち入り拒否の理由がどんなに理不尽であろうが関係なく、ジャーナリストは一般公開施設であっても取材してはならない。それが嫌なら、カルトを怒らせるような正しい記事を書いてはならない」という判例が加わったことになる。

 藤倉氏は本紙の取材に対し、「一審の有罪判決の際に〝報道の自由は死んだ〟と言ったが、撤回したい」と語った。

「悪法はしょせん悪法。カルトの要求にも、カルトの手先に等しい判断を下した裁判所の決定にも従う気は毛頭ない。今後もできる限り、正しい報道をするために取材し、正しい報道によって批判した上でさらなる取材をするためしれっとカルトのところに行く。報道の自由を行使し続ける限り、報道の自由は死なない」

菅原一秀氏
 藤倉氏は立件された後も幸福の科学施設などに立ち入り、立件されたもの以外で3件について書類送検されている(2件は不起訴、1件は現状不明)。うち不起訴の1件は、菅原一秀衆議院議員(当時=後に経産大臣=後に公選法違反で辞任=後に議員辞職=後に公民権停止の略式命令=後にまた選挙に出て落選)の事務所に取材に行き「こちらでお待ち下さい」と言われ待っていただけなのに、菅原氏側から建造物侵入罪だとして虚偽告訴された事件だ。

 立件されて以降、藤倉氏は、こうした「建造物侵入罪」の悪用のおそれについて警鐘を発してきた。

「これで取材や報道の活動を萎縮させてしまったら、建造物侵入罪を口実に刑事訴訟の制度をSLAPP的に悪用するカルトや政治家の好き放題になる。これからも頑張りたい」(藤倉氏)

カルトも検察も裁判所も弁護人もぜんぶ敵


一審判決後の会見で「取材の自由」「表現の自由」「国民の知る権利」「表現の自由」などとのたまわっていた弁護団と紀藤正樹弁護士(左から2番目)
 藤倉氏は、裁判の期間中に自身の弁護団と敵対関係に陥っていた。

 きっかけは、一審の有罪判決を受けた後の2021年9月。過去に自民党の山田太郎参議院議員らが、統一教会系「ワシントン・タイムズ・ジャパン」のエグゼクティブ・ディレクターの渡瀬裕哉氏によるイベントで登壇していた件で、山田議員らが炎上したこと。当時、藤倉氏の弁護団の一員で統一教会問題にも取り組んできたと自称する山口貴士弁護士が、ネット上で山田議員を代弁し擁護して見せた。

 山田議員自身がだんまりを決め込んで説明せずにいるところを、統一教会問題に取り組む弁護士がわざわざ代弁して擁護するのはおかしいとして、藤倉氏はFacebookで山口弁護士を批判。すると、山口弁護士は弁護団の他の弁護士に「藤倉の弁護人をやめる」などと言ってゴネ始め、その意を汲んだ紀藤正樹弁護士(弁護団長、主任弁護人)を始めとする弁護団が藤倉氏を説得してFacebook投稿を削除させた。

 藤倉氏は「山口が弁護人の地位を利用して被告人の言論を潰した」として解任を主張したが、紀藤弁護士が認めなかった。「藤倉こそ被告人の地位を利用している」と暴言を吐いて、被告人に害をなす弁護人を拒む被告人の権利を全否定した。

 弁護団会議の場でこうしたやり取りを眼前で見ていた他の弁護人たちも、誰一人として藤倉氏を守ろうとしなかったことから、藤倉氏は「カルトも検察も裁判所も弁護人もぜんぶ敵」と認識するようになったという。その後も紀藤弁護士は山口弁護士解任を認めなかったが、藤倉氏は上告の際に山口弁護士を弁護人に選任しないことで、実質解任。Facebookで、実際には削除ではなく一時的に非表示にしていた投稿を再掲するとともに、弁護団とのやりとりを暴露した。

 山口弁護士が山田議員を擁護したおよそ9カ月後、安倍晋三元首相が殺害された。「統一教会と政治家の関わり」が一般メディアでも問題視されるようになり、この時になってようやく、山田議員は自身と統一教会との関わりを説明する文書をウェブサイト上で公開した。

「山田を擁護した山口の行動は、安倍元首相が殺されるまで〝統一教会問題に取り組む弁護士〟すらも統一教会と政治家の関わりという問題を軽く扱っていたという歴史の記録。それが、安倍元首相が殺された時点でこの世から抹消されていた。後に再掲したとは言え、最も重要なタイミングで消させられていた時点で、報道の自由や言論の自由は殺されている。ましてや弁護人としての地位を利用して、裁判と無関係の被告人の言論を制限するのは、利益相反もいいところ。〝取材・報道の自由〟と矛盾するばかりか、弁護士としての資質すら疑う」(藤倉氏)

 藤倉氏は今後、「カルト問題と同様に、これら有害で低劣な弁護士を頼ることで後悔する人が出ないよう、注意を呼びかけていきたい」としている。

恒例の花見の季節が近づく


昨年の大悟館花見
 これまで幸福の科学は、藤倉氏が書類送検されたり立件されたり判決を言い渡されたりするたびに「ザ・リバティWeb」で熱心に報道し、公式サイトに声明文を掲載してきた。ところが今回の判決については、なぜか沈黙を保っている。

「7年間も裁判をやっている間に、大川隆法さんが死んでしまった。もうすぐ桜の季節なので、大川隆法さんの自宅である大悟館(港区白金4-6-2)前での花見のついでにでも、大川さんの霊にご報告しつつ教団職員の皆さんを元気づけたい」(藤倉氏)

昨年の大悟館花見

 花見開催の日時は、今年の開花具合を見つつ追って告知するとしている。

 これまで、藤倉氏が大悟館前にやってくると、教団職員らが大勢で「藤倉有罪」「建造物侵入罪は犯罪です」などと書かれたプラカードを掲げ出迎えてきた幸福の科学。「有罪確定」を受けたニューバージョンのプラカードがお目見えするのか、注目される。

2 コメント:

匿名 さんのコメント...

自民党ってのは、敵対勢力を分断していがみ合わせるための手口はやたら持ってるみたいなので、藤倉氏や弁護団がその術中に嵌ってるのではないかと心配になります。

遅咲きオッサン さんのコメント...

昨年の大悟館花見会配信では色とりどりの歓迎プラカードに囲まれていてとても楽しそうだったので今年は参加してみたいと思っています!😁
容疑者→前科者にイメチェンした藤倉さんに会えるのを楽しみにしています!!