幸福の科学学園、開校決定でも裁判は続行か

学園の寮の向かいは、ひときわ反対のぼりが多い

2月12日に嘉田由紀子・滋賀県知事が認可したことで今春の開校が決定した「幸福の科学学園関西校」。しかし学園施設が完成する前の昨年12月、越直美・大津市長が「都市計画法違反の疑いがある」「建築物の完了検査済証を交付することは適切でない」とする文書を建築確認機関宛に発行していたことがわかりました。そのため住民側は、すでに起こしていた建築工事に関する「建築確認取消」を求める行政訴訟を、「違法建築物」の「使用停止」等を求める訴訟として継続させていく方針です。


■違法建築の疑いが濃厚に

斜面に建てられた校舎

まだ学園の建設工事が行われていた昨年12月11日、大津市が学園の工事現場に立入検査を行い、13日、大津市長らが、学園開校予定地周辺の「仰木の里学区」の住民と面談。住民側によると、その席で市側から、学園の工事現場について以下の点が説明されたと言います。

・申請図面に基づく計算評価の結果、少なくとも2.05ｍの切土が行われている
・実際の現場施工では、計算値よりも切土が大きく「2.55ｍの可能性も否定できない」

切土が2mを超えるとされる学園玄関

宅地造成法上、2メートルを超える切土は「土地の形質の変更」にあたります。この場合、都市計画法上の開発行為にあたり、学園側が工事着工にあたって行った「建築確認」ではなく「開発許可」の手続きが必要となります。

学園側の「建築確認」の手続きは、昨年6月の大津市建築審査会で「開発非該当」の判断が出たことで正当化されました。大津市が「開発行為ではない」と認めたことで、「建築確認」の手続きでの建設工事が続行していたわけです。ところが、昨年12月には市側が住民に対して、事実上「開発行為」に該当するとの判断を伝えたことになります。

あっ、那須で本紙・藤倉を尾行してきた車が！

さらに、越市長は住民へのこうした説明の4日後の12月17日、建築確認機関である「滋賀県建築住宅センター」に対して要請書を送付。「都市計画法違反の疑いがある」「建築物の完了検査済証を交付することは適切でない」とした上で、「十分慎重に判断して頂きますようお願いします」としました。

ところが建築住宅センターは、4日後、市長の要請を無視して、さくっと学園の工事完了検査済証を発行。こうして学園の施設は完成しました。

■大津市も被告に？

もともと住民が「開発許可」の手続きを求めていたのは、学園の敷地の地盤が軟弱であるため、「建築確認」ではなく「開発許可」の手続きでなければ、その安全性を確認できなかったからです。つまり学園は、東日本大震災でも多大な被害を出した地盤と同じ「谷埋め盛り土」の上に建っていながら、地盤の安全性が十分議論されないまま開校することになります。これは、周辺住民だけではなく学園の生徒達の安全にもかかわる問題です。

住民側は昨年、建築住宅センターを被告として、建築確認の取消を求める訴訟を大津地裁に提訴しています。今後については、建築住宅センターではなく大津市を被告に加え、違法建築物に対する除却（取り壊し）や使用停止などを求める訴訟を検討しています。これにより、裁判が続くことになりそうです。

■落慶式と住民集会が同時開催

本紙既報の通り、幸福の科学による住民トラブルは、仰木の里だけではありません。教祖・大川隆法総裁の出生地である徳島県川島町でも、教団施設建設をめぐって住民と対立しています。

川島町では、施設建設に反対する住民を教団職員らが恫喝。住民宅の敷地に教団職員が無断で立ち入って反対看板を破壊したり、地元自治会への加入を求めて自治会を混乱させ、結果、自治会をひとつ消滅させたりしました。

学園の開校が決定した仰木の里でも、学園の寮職員らがすでに地元自治会への加入を求めてきています。また、すでに寮以外の一般民家に信者が転入してきているとの未確認情報もあります。

また、現在学園周辺の民家に掲示されている学園開校反対ののぼりや看板について、学園側が「（学園の）子供たちの気持ち」を盾に撤去を要求してくることも予想されます。すでに学園側は、のぼり設置を学園生に対する「地域によるいじめ」などと被害者面するチラシを地元に配布しています。

学園施設の完成より前に、近隣地区に幸福の科学の新たな支部も開設されました。加えて教団関係者が「仰木の里を宗教都市にする」と発言したとの情報も地元住民の耳に入りました。ただ単に幸福の科学の学校が出来るだけではなく、それを足がかりとして様々な形で教団が地域に入り込んでくることが容易に予想できます。

そんな学園との間で今後予想される様々な問題について、周辺自治会など住民の間ではすでに議論が始まっています。

明日24日の日曜日には、学園側による「落慶式」と地元自治連合会主催による「幸福の科学学園について考える会　～あなたは　このまま容認できますか～」が同時刻に開催される予定です。