【東京新聞 2010年01月10日】少林寺 上場物議 本音は利権争い?
武術で有名な中国河南省の名刹(めいさつ)「少林寺」が、市場経済の波にもまれている。地元の登封市政府が観光開発のために先月、香港企業と合弁会社を設立。将来は香港市場に上場する計画で、寺側は行き過ぎの商業化に反発しているが、利権をめぐる争いという見方も出ている。(河南省登封市嵩山で、小坂井文彦、写真も)
(以下略)
記事の内容をざっとまとめると、こんな感じです。
少林寺で1日5回行われている「少林武術ショー」は観光客に人気だが、ショーを行っているのは学生であって、少林寺の僧侶ではない。寺には僧侶がいるが、観光客の見えないところで修業をしており、僧侶にとって武術は必須ではなく、武術を学ばない僧侶も多い。
しかし少林寺がある登封市政府が先月、香港企業とともに観光整備を目的とした合弁会社を設立し、少林寺一帯のテーマパーク化をもくろんでいる。これに対して寺側は「寺という宗教財産を市や香港企業が利用していいのか」と反発している。しかし少林寺自体が、雲南省で寺院経営に進出したり香港で約五十億円を投資する「香港少林寺」建設を決定するなどしており、そもそも少林寺自身が「少林寺そのものを会社化して上場する気では」と噂されている。
つまり、政府・香港企業によるテーマパーク化に寺が反対しているのは、寺が観光利権にありつきたいからであって、これは単なる利権争いなのではないかと。これまでの少林寺の商業主義ぶりや政治との結びつきを指して、現地で住職に対して使われている“肩書き”がまた笑えます。「少林寺最高経営責任者(CEO)」「政治和尚」。
この問題は少林寺側の商売上の都合がからむので複雑ですが、国家による宗教の観光産業化という部分についてだけ見れば、少林寺問題にはチベット問題にも共通した、中国という国家の性格が見えてきます。
■中国では、“宗教”は国家のカネ儲け手段
1950年代に中国が侵略・征服したチベットでは、全体の9割以上にあたる6000もの寺院が文化大革命によって破壊されたと言われています。ところが、チベットの首都ラサ市内のいくつかの寺院は、いまでは中国当局にとって観光産業のドル箱です。
中国共産党がチベットで行ってきた宗教弾圧は、ごく初期の段階ではイデオロギーや領土的野心によるものだったのかもしれません。しかしチベット寺院やその所蔵物を観光資源化している中国当局のやり方を見ていると、そこにあるのは明らかに経済的野心です。
少なくとも現代においては、中国という国家が「宗教」にちょっかいを出す動機の主要部分は「カネ」です。「宗教をいかにカネに換えるか」という国策であると言っても過言ではないでしょう。少林寺を市の政府がテーマパーク化しようとしているのも、まさにそういうことです。
■官民一体のインチキビジネス
上段が「聖地チベット」展で販売中の偽タルチョ、下段がインドで売られている本物 |
「聖地チベット-ポタラ宮と天空の至宝」展については、以前、PJニュースで「会場で偽グッズを売る中国美術商」という記事を書きました。展示会の会場で、中国人が日本で経営する美術商が、ニセモノのタルチョ(祈祷旗)を販売していたというものです。このとき、藤倉の取材に対して、その美術商の売り場担当者は「お客様にきちんとご説明していなくて申し訳なかった」という趣旨の発言もしていました。ところが昨日1月10日に現地で確認したところ、海上では同じ美術商がいまだに同じ偽タルチョを販売しており、それがニセモノ(レプリカ)であるとの説明は表示されていませんでした。
中国における“宗教ビジネス”は、国によるカネ儲けであるばかりではなく、こうした民間の恥知らずな商売が堂々と便乗する、官民一体の醜悪なインチキビジネスです。悲しいことに、「聖地チベット」展では、日本の企業(しかも報道機関である朝日新聞社やTBS)までもが、これに便乗しています。
少林寺も、中国当局によってテーマパーク化された暁には、また朝日新聞社やTBSが観光客誘致のために貢献するのでしょうか。
破壊され放置されたラサの寺院 |
2 コメント:
まさしくお金が全てという印象です。
気功も一時期弾圧していましたが、今では健身気功という中国政府認定の気功も作ってしまっていますし、チベット医学が有効でビジネスになると分かると直ぐにチベット医学の施設だけは作りましたから。
朝日系列は、中共よりの報道で有名ではありませんでしたか?
朝日が中共よりというのは何かの陰謀論ですか?
それより法華経を信じ南無妙法蓮華経と唱えてください
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