幸福の科学「総裁御生誕祭に2万人」をやや検証

「御生誕祭」特設サイトより

　7月10日、幸福の科学が大川隆法総裁の55歳の誕生日を祝う「御生誕55周年大講演会」を千葉県の幕張メッセで開催。機関誌『ザ・リバティ』のサイトによると、本会場には2万200人が集まり、その様子は「全国・全世界の幸福の科学の支部など3500カ所に衛星生中継された」とのことです。ところが２ちゃんねる等では、「本会場の収容人数はそんなにないのでは？」と疑問視する声が挙がっています。


■いろいろ記念の年の御生誕祭です

　今年は幸福の科学にとって「大悟30周年」「立宗25周年」という記念の年。さらに宗教法人化と大川総裁の「エル・カンターレ宣言」20周年にあたります。ついでに言うと、幸福の科学が講談社に常軌を逸した業務妨害活動を行った「フライデー事件」からも20周年です。

　『ザ・リバティ』のサイトThe Liberty webでは、本会場である幕張メッセへの来場者数を「2万200人」と報じ、さらに会場の様子が「全国・全世界の幸福の科学の支部など3500カ所に衛星生中継された」としています。大量脱会説も囁かれてはいますが、改めて教団の動員力をアピールしました。

■動員サバ読み？　消防法違反？

　ところが２ちゃんねるの幸福の科学統合スレッドでは、この「主催者発表数」に疑問の声が挙がりました。会場となった幕張メッセ国際展示場4・5・6ホールでは、「2万200人」も収容できないのではないか、というのです。

＜椅子席だから　キャパからいって１２０００がせいぜいですね＞

＜フォトショで画像拡大してみたけど客席の一つのブロックが12列x20とかだよ。（略）後ろの席も入れて3000席オーバーってとこじゃない？＞

＜この三つあわせた最大キャパって　全員立ち見でも22000でいっぱいいっぱいですよ＞

＜幕張メッセ国際展示場に２万入場していたら、消防法違反です。＞

＜消防法では架設の椅子を設置する場合は、１脚0.5ｍ２です。しかし、１０脚で0.6ｍの通路を確保しなければなりませんし、壁面より３ｍの避難通路を確保しなければなりません。（略）消防法上で届出で2万人は法律違反でしょう。消防署から指導を受けるはずです。 また、許可されないはずです。（略）2万人は明らかに避難経路とうの確保が出来ません、それでも入れたとなると、 虚偽の届出をしていた可能性が高いです。＞

■幕張メッセに聞いてみた

　では実際のところどうなのでしょう。まずは幕張メッセに聞いてみました。

「国際展示場4・5・6ホールで椅子席を設置した場合の基本的なキャパシティは、1ホールあたり5000人で、合計1万5000人です。消防署への届出が必要で、これを大きく超えるようだと許可が降りません。ただ、私どもはただ箱貸しをする形で、会場の図面づくりや設営の手配等はイベント主催者の方でやっていただくことになっています。椅子もこちらでは貸し出ししていませんので、椅子の配置や設置数は、主催者次第です」（営業担当者）

　消防法では、椅子を設置する場合は1脚0.5平方メートルとして計算し、一定間隔で通路を確保する等の規制があります。しかし幕張メッセは、基本キャパシティは教えてくれても、最大限に見積もった場合の数値までは教えてくれません。

「ホール内でステージをどのくらい取るのかなど、設営の仕方によります」（同）

■教団にも聞いてみた

　そこで、幸福の科学グループ広報局に聞いてみました。今回は取材に答えてくれました。

「本会場の入場者数の実数で2万200人です。間違いありません。国際展示場4・5・6ホールに計2万脚の椅子を設置し、これと別に国際会議場を借りて、こちらにシートを敷きモニターを設置して母子室として利用しました。4・5・6ホールには若干の空席がありましたが、母子室を利用された方と合わせて2万200人です」（担当者）

　空席があったとは言え、4・5・6ホールに2万脚の椅子を設置したのは間違いないといいます。となると、問題は消防法とのからみです。

「消防署に提出した届出書を確認しましたが、4・5・6ホール合計で2万席として提出し、許可も降りています。当日の午前中に消防の方が立会いに来て、実際の会場も確認しています」（担当者）

■第一生命が「2万人」を見込んで借りたことも

　同じ会場について、オールスタンディングのコンサートで2万2000人が入ったとする情報がネット上にあったりします。一方で昨年、第一生命が株主総会のために、幸福の科学と同じ国際展示場4・5・6ホールを借りています。この時、新聞報道では第一生命が2万人の株主の参加を見込んでいたとされています（結局、3000人くらいしか来なかったそうですが）。株主総会ですから、通常は椅子席の会場でしょう。

　実数2万200人という数字が正確かどうかを検証するすべはありませんが、少なくとも、2万200人の動員が不可能な会場だと断言するのは難しそうです。