「癒しフェア」は2005年からスタートしたスピリチュアル業者の見本市で、芸能人や超能力者、占い師、霊能者などの講演も会場内で開催しています。今年はユリ・ゲラー氏や岡本夏生氏が来ていました。東京会場出の主催者は広告代理店「フレイア」、大阪会場ではこれに「テレビ大阪」「アジア太平洋トレードセンター」が加わっています。2005年の第1回(東京)では2日間でのべ2万4994人が来場(主催者発表)。今年は3万2599人(同)でした。
■中身も説明できない放射能レメディを売る
本紙既報のとおり、ホメオパシー・ジャパンは福島で採取した土を希釈振とうして作ったというレメディ「RA Fukushima 1-S-2 30C」をすでに発売しています。癒しフェアで同社のブースに行って聞いてみました。
─福島の土のレメディはどれですか?
店員:こちらになります。
─これで放射線障害を防げるんですか?
店員:効果についてはこちらからは説明できないんです。
─隣にある「RX RA」って何ですか?
店員:Fukushimaと同じようなものです。エネルギーの周波数を高くしてあるので、値段が少し高くなっています。
─放射性物質が入っているんですか?
店員:それはこちらでは説明できないんです。
─何が入っているかは教えていただけないんですか?
店員:そうなんです。
─Fukushimaのレメディは、どのくらいの量をどのくらいの期間飲めばいいんですか?
店員:それも、こちらでは説明できないんです。東京都の指導を受けていまして、販売をする許可はもらってますが。ちょうど、たまたま隣がホメオパシーの学校(のブース)なので、そちらで聞くと詳しいことを教えてもらえますよ。
砂糖玉の“詰め合わせ”は1万円以上 |
■「放射線障害に効く」「頭痛がしたらもっと飲め」
もともとホメオパシー・ジャパンはJPHMA会長である由井寅子氏が創業した会社で、JPHMAやホメオパシー・ジャパンを含めた関連団体について「ホメジャ系」という言葉もあります。それらが「たまたま隣」と言うのも見え透いた話なわけですが、ホメオパシー・ジャパン自身は効果効能を説明せずに「JPHMAに聞け」と客を誘導しているのもまた、見え透いた連携プレーではないでしょうか。
ホメオパシー・ジャパンの店員の勧め通り、隣にあった「日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)」のブースに行きました。そこで「RA Fukushima」と「RX RA」の効果効能や使用方法を聞いてみました。
─隣のブースで「福島の土」のレメディ買ったんですけど、これで放射線障害を防げるんですか?
店員:そうですね。福島の放射能汚染された土から作ったレメディになりまして、やはり放射能の扱いだけをしたいと。それと、(レメディの)名前を教えずに学生に飲ませて実験したんですね。頭が重い、すると身体に力が入らないとか、心臓の症状が出たりとか、脱力感とか、悲しみとか。
癒しフェアの会場で講演を行ったJPHMAの由井寅子会長は、この実験を「人体実験」と呼んでいました。ホメオパシーのレメディは、分子が1つも入っていないくらいに希釈しているとされています。しかし「汚染された福島の土」を使っているなんてものを、被験者に教えずに黙って飲ませる「人体実験」って、人道的にいかがなものでしょうか。
さて、店員との会話は続きます。
─えっ、これ飲むと、そんな症状が出ちゃうんですか?
店員:えっと、あ、ちょっと、出てくる可能性もあるんですけども、もともとあったのに気づかなかったものが出てしまうかもしれない。
─飲んで頭痛とか出たら、どうしたらいいんですか?
店員:その場合は、リピートして飲んでいただいて、あんまり変わらないようなら別のレメディを試していただくのが。
ただの砂糖玉で頭痛になるというのも意味がわかりませんが、頭痛がしたらもっと飲めというのは、さらに意味不明です。これは“好転反応”という、民間療法や擬似医療に見られる独特な論理に基づいたものと思われますが、説明は省きます。
店員はこのほか、「1回1粒」「1日1~3回」など、飲み方も詳しく説明してくれました。
店員:まず1週間ほど飲んでみて、でも、いまこういう状況ですので、放射能とか心配であればまた1カ月後に何日か飲んでみるとか。
さらに放射能対策に効果があるかのように思わせる説明を重ねていました。
■ヨウ素やらセシウムやらストロンチウムやら
─こっちの「RX RA」は、何が入ってるんですか?
店員:ヨウ素が入ってたりとかして、今回の地震の対策にぴったりなので。
─ヨウ素ですか。セシウムとかも?
店員:セシウムも入っていたと思います。
─ストロンチウムも?
店員:入ってます、入ってます。
─ほかにどんなのが入ってるんですか?
店員:6種類か7種類入ってまして、詳しくはホームページで見てほしいんですが、何が入っているまでは書いていないので、原料は販売店さんの方で聞いてください。
と、店員は手でとなりのブースの方を指していました。しかし先ほど「RX RA」を買ったホメオパシー・ジャパンのブースでは、何が入っているか教えてもらえませんでした。効果効能を謳っておきながら、何を使用して作った食品なのかも教えないで客に売る。それがホメオパシーということですね。
隣り合った2団体のブース |
これについて、ホメオパシー問題に詳しい山口貴士弁護士はこう語ります。
「レメディの販売と効果効能の広告行為を分担していれば、ブースが別であったとしても、薬事法違反にはなりえます」
つまり、ブースや団体名を形式的に分ければ合法になるとは限らないということです。行政には、これらの団体の脱法行為についてきちんと把握し、適切な対応をとってもらいたいものです。
■レメディで治ったの?
JPHMAのブースでは、書籍販売やミニ相談会を行っていたほか、症例紹介のパネルを壁に掲げていました。「骨髄性筋萎縮症2型」「アトピー」「リンパ腫」「ひょうそ」といった病名が並び、投与したレメディの種類と治癒経過が子供の写真と共に説明されています。「レメディで治った」と明記はしていませんが、ふつうに見ればレメディで治ったという説明に見えます。中には人間だけではなく犬の症例もありました。
意図的かどうかわかりませんが、これらのパネルは、ブース天井の張り紙が邪魔になって、ブースに近寄ってきた人以外にはよく見えないようになっていました。
■社長、悪質商法宣言ですか?
癒しフェア2日目、JPHMAの由井寅子会長のサイン会に、整理券をもらって並びました。約40人が並び、由井氏は丁寧に自分の著作にサインをしていました。ブースを後にしようとしたところで、ホメオパシー・ジャパンの山本忠宏社長に呼び止められました。
社長:違ったら申し訳ありません、藤倉さんですか?
─はい。
社長:拝見してます。今回はうちの宣伝していただいて、ありがとうございます。
─別に宣伝したつもりはないですが。
藤倉が以前書いた記事のことを言っているようです。
社長:(由井寅子氏にサイン会で)お会いしてみて、いかがでしたか?
─まあ、短時間やりとりしただけなんで、特に何も(サインほしかっただけだし)。あとは、今日の講演を聞いてみようとは思いますが。
社長:それでどう評価されるかは藤倉さんの自由ですので、ぜひ聞いて行ってください。
そんなこと、社長さんに言われるまでもなく自由ですから。と思ったけど口には出しませんでした。
社長:たしかにホメオパシー・ジャパンは先生が創業者で、現在も我々は仲良くしていますが、販売は分けるということできちっとやってますので。商売は商売としてきちんとやろうと思っています。
販売と効能説明の分業という形式と、販売現場の実際の手口からして、商売をきちんとやるというより脱法行為をきちんとやっているだけにしか見えません。健康不安を抱えた人々に誤った治療方法を提示している人が脱法行為を見せつけながら「商売」と言い切るのは、むしろ「うまいこと悪質商法やっていきますので」宣言とも受け取れる気がするのですが。
4 コメント:
確かに、コメント欄の下をよく見ると、
Googleが宣伝リンクをはってくれていますね(笑)
いっその事、訴えましょう!
バカみたい
そうですね
法華経を信じ南無妙法蓮華経と唱えなさい
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