統一協会が全国の地区長・教区長・教会長に出したサッカー大会“２万人動員”指示文書

One Korea Cup in JAPANという名称のサッカー大会に、統一協会（統一教会）が全国から信者ら2万人を動員しようとしていることが判った。One Korea Cupは在日韓国人チームと在日朝鮮人チームが対戦するサッカーイベントで、日本・韓国・中国の芸能人チームも参加する。

このOne Korea Cup in JAPANへ信者ら2万人の動員を指示する統一協会内部文書を入手した。全国12地区の地区長以下、 各教区長・各教会長に宛てた文書には、“日本で在日韓国人と在日朝鮮人がサッカーの試合をすることは単純なゲームではありません。これはTPが南下される時、神様と約束された南北統一をなすことです。”、“今般のサッカーの試合は、TPの御名で行われます”、“母の協助になってなす祝祭”、“母の胎内でゲームをするのと同じ”、“腹中復帰”、“母の国を勝利に導きましょう”などといった統一協会用語が並び、スポーツをカルトの教義に関連付けようとする厚顔さが見える。
更に取材の過程で、大会組織委員会事務所が統一協会系の在日団体内にあることも判明、韓国芸能界に取り入る統一教の姿も見えてきた。
文書を公開するとともに、民団や総連などの既成在日団体に入り込む統一協会の戦略を検証する。

◆ONE KOREA CUP in JAPAN

　“サッカーを通じて在日韓国人と在日朝鮮人の和合と交流を目的とした大会”（大会HP）ONE KOREA CUPは9月6日、Jリーグ・ヴィッセル神戸のホームスタジアム“神戸ユニバー記念競技場”で開催される。
神戸ユニバー競技場と前回会場の水原スタジアムの様子


本戦では在日韓国人チームと在日朝鮮人チームが対戦し、日本・韓国・中国（香港）の芸能人チームも親善試合を行う。日本芸能人チームはザ・ミイラが参加する。韓国芸能人チームは俳優のチョン・ジュノが団長を務めるFC SUPER STARS、中国芸能人チームは香港出身の歌手や俳優で構成された香港連合FCが参加する。

◆日本の芸能人チームが参加

ザ・ミイラは（株）ベーリングラインが楽天HPで無料招待券を配布した際の記事“韓流ファンに送る日韓中芸能スター親善サッカー大会及び特別イベント入場券 (韓流スター芸能)”、“神戸ユニバーで9月6日に行われる日韓中芸能スター親善サッカー大会及び特別イベントに無料ご招待日韓中芸能スター親善サッカー大会及び特別イベント入場券”の紹介文によると前回大会にも参加したようだ。
尚、（株）ベーリングラインは本紙の問合せに対し、統一協会との関連を否定している。（株）ベーリングラインの主力商品は高麗人参だが、統一協会系の会社“一和”製の高麗人参商品は取り扱っていないそうだ。楽天ショップで大会のチケット5000枚を配布したことについては、「社長がサッカー好きなので協力している」とのことだった。
しかしながら統一協会関連企業に詳しい関係者からは、「（株）ベーリングラインは一和の製品を扱っており、統一協会関連」であるとの指摘もあった。

◆民団と総連のかかわりは？

在日韓国人チームと在日朝鮮人チームが対戦するONE KOREA CUPだが、民団と総連の関連は不明である。
民団と総連の事情に詳しい関係者からは、「関西の総連が組織的にかかわっていることは無いであろう」との回答を得ている。また更に近年、保守的な色合いを強める民団も組織的に関与するとは考えにくく「末端の会員や専従者の中に統一協会信者が含まれているという程度ではないか」との推測だ。

◆統一協会主催の芸能人サッカー大会

韓国では統一協会主催の芸能人サッカー大会“ピーススターカップ”が2007年より毎年開催されている。前回は今年春、韓国・水原のスタジアムに3万5千人の観客を集めて行われた。今回のONE KOREA CUP in JAPANは、その水原のワールドカップ競技場補助競技場で開催された『2011ピーススターカップ(PEACE STAR CUP)芸能人サッカー大会』と同じ流れを汲む大会とみられる。
水原の大会には、韓国芸能人チームとしてFC SUPER STARSの他FC MENが参加した。、FC MENのメンバーは団長がグループJYJのキム・ジュンス、他のメンバーもキム・ヒョンジュン、ユン・デゥジュン、イ・ギグァンなど人気アイドルが名を連ね、KARAのニコルがマネージャーを務めたそうだ。
“PEACE STAR CUP"のロゴ入りユニフォームを着たFC SUPER STARS団長、俳優のチョン・ジュノ　　　

また、2007年には日本で“ピースコリアカップ”なる大会が開催され民団チームvs総連チーム、日本の芸能人チームvs韓国の芸能人チームの試合が行われた。今回のONE KOREA CUP in JAPANと酷似している。

◆2万人動員内部文書

このONE KOREA CUP in JAPANに、2万人の観客動員を“積極的なご協力”として指示する文書が日本統一教会松濤本部から全国の地区長・教区長・教会長宛てに流された。

【内部文書 2011年8月】
ONE KOREA CUPサッカー大会の案内05（動員目標2万名）

受信：JK長、KYK長、CH長
参照：JK事務局長、総務部長
発信：本部事務局

題目：ONE KOREA CUPサッカー大会の案内05（動員目標2万名）
ご聖恩感謝申し上げます。
ONE KOREA CUP組織委員会からサッカー大会の案内が来ていますのでご連絡いたします。積極的なご協力をお願いします。
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日本で在日韓国人と在日朝鮮人がサッカーの試合をすることは単純なゲームではありません。これはTPが南下される時、神様と約束された南北統一をなすことです。
日本の中で、理念の産物として距離を置いているのが、民団と総連です。
今般のサッカーの試合は、TPの御名で行われます。
この大会が勝利することによって、南北が一つになったという条件が成立します。
これも、母の協助によってなす祝祭が始まります
丁度、母の胎内でゲームをするのと同じなので腹中復帰となります。
それ故、すべての力を尽くして母の国を勝利に導きましょう。
尚、勝利の基準は、動員２万名です。友人、親戚、青年、民族学校等、そして韓国学校、サッカーに関心のある方を動員して勝利に導きましょう。
従いまして、動員目標は新たに下記の通りとなりましたので、積極的に呼び掛けて下さり大会が勝利できるようよろしくお願いいたします。

◆動員目標（2万名）
JK、団体　　新動員目標
７　　　　　　　1,200
８　　　　　　　3,300
９　　　　　　　7.000
１０　　　　　　1.000
１１　　　　　　1.500
南北　　　　　1.500
外部動員 　 3.200
１　　　　　　　　100
２　　　　　　　　200
３　　　　　　　　200
４　　　　　　　　200
５　　　　　　　　200
６　　　　　　　　200
１２　　　　　　　200
合計 　　　 20.000　

※全国からの動員のため、寄付金は不要とします。内部動員だけでなく、外部にあたって動員してください。
※ＨＰも準備中です。内容は順次追加しますので御覧ください。
※入場チケットは、ＨＰからもダウンロードできるよう準備中です。追加分、１～６，１２JK用の入場チケットについても準備中です。（後略）

（文中の略語について：TPはTrue Parents／真の御父母（教祖夫妻）、JK長は“地区長”、KYK長は“ 教区長”、CH長は“教会長”のことである）

◆バスツアーも

中京地区の統一協会の地区教会では、ONE KOREA CUP in JAPANへの参加者を募るバスツアーが組まれ、人数集めをしているそうだ。。
大会開催地の地元第7地区では7.000人の動員指令が為されており、信者全員総出となる様相である。

◆民団に入り込む信者

民団東中支部のHP掲示板にONE KOREA CUP in JAPANの案内があった。投稿した在日の韓国人李氏に話を訊いた。李氏は統一協会名古屋教会所属の信者ということだが、教会には「たまにしか行かない」という。
ONE KOREA CUP in JAPANについて「主催はONE KOREA CUP組織委員会」だが観客動員については在日の韓国人統一協会信者の組織“平和統一連合”が担当しているそうだ。　愛知では各教会に動員が要請されているとのことだった。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士は2009年7月、統一日報の取材に「統一教会は民団や総連といった在日韓国人組織の活動にも入り込み、信者獲得を進めている」と語っている。（統一教会、変わる伝道方法　～ボランティア活動や日韓・南北交流行事、民団や総連など在日組織活動などに潜入～　統一日報[2009.7.3]）

地方の民団には、かなりの数の統一協会信者が入り込んでいるとの指摘もある。

◆ONE KOREA CUP組織委員会を直撃

ONE KOREA CUP組織委員会に訊いた。

電話口の男性は、大会について「民団や総連とは関係ございません」と前置きし「民団や総連ではなくそれ以外の在日韓国人の人たち」が、かかわっていると答えた。また統一協会系の在日組織“平和統一連合”については「主催ではないが平和統一連合の事務所が、ここの実行委員会の連絡先になっている」と話し、事務所設置について「大阪で連絡先を作るに際し、民団や総連の人たちの和合にかかわっていることから、平和統一連合の大阪近畿連合会の事務所がいいだろうということになり、ここが連絡先になった」とONE KOREA CUP組織委員会の事務所が平和統一連合大阪近畿連合会事務所内にあることを認めた。
大会スタッフは全員統一協会の信者かと問うと「ということはない」と即答。
主催団体について「平和統一連合は、大会の主催団体ではないがこの委員会の協力団体」と、かかわりを認めた。更に前回水原で開催されたピーススターカップについて今回の大会との関連を訊くと「ピースカップとかとも関係がある」と返答、ピーススターカップは統一協会が行っているイベントだが？とその関係を訊くと「統一教会の人たちもここに一部応援する団体だが統一教会は主催する団体ではない」との返答だった。では主催ではなく協力団体ということかと訊くと「そうです」と回答。組織委員会の男性は統一協会について「携帯電話会社やパチンコの会社などと同じスポンサーの一つ」「ピースカップも統一教会は協力する団体ではあるが主催ではない」と話した。
更に「大会には韓国サッカー協会から審判4人が来てくれる。兵庫県のサッカー協会の会長も参加する」「一般的なサッカー大会なんです」と強調した。
統一協会の2万人動員指示文書については「わかりません。統一教会もある程度のスポンサーみたいなことになっているので、動員がほしいという要請が教会の方にあったのではないか。会場は４万人以上入る所なので、そこにもうちょっとお願いして動員をかけたということではないか」と答えた。
大会ＨＰについては統一協会ではなく本部の実行委員会が作成しているそうだ。尚、大会当日、先着300～500名にはサイン会も予定されているとのことだった。

◆末端信者の新たな負担に　

一連の流れから、今回のONE KOREA CUP in JAPANは統一協会の在日組織である“平和統一連合”が主導し、当日の観客席がガラガラになることを懼れて日本統一教会松濤本部に観客動員を依頼したということであろうと推測される。

新たな40日路程で教祖・文鮮明から8月24日～10月2日までに日本国内で3億2千万ドル（約300億円、約4千億ウォン）の献金を集めるよう指示が出された日本統一教会、一祝福家庭あたり100万円を超す高額の献金ノルマが課されたという話もある。他にも祝福家庭に対しては依然として430万円の木箱（8冊の教典などが入った“天福函”）の購入も促されている。それらに比べれば今回の2万人動員要請はハードルは低いとは云え、末端信者の新たな負担になることだけは間違いなさそうである。