百条委証人喚問、幸福の科学職員の出頭は微妙

村長が視察した幸福の科学学園（那須町）

千葉県長生村の村長が「幸福の科学学園」視察費用を幸福の科学から提供されていた問題で、地元議員らが設置した百条委員会（特別調査委員会）が、視察に同行した幸福の科学職員の証人喚問を決定。教団職員に対し、5月11日に予定されている委員会への出頭を要求しました。しかし教団職員がこの日の委員会に出頭しない可能性が出てきました。


証人喚問決定にいたった経緯は、本紙既報の通り。出頭を求められた教団職員は、石井俊雄村長が教団提供の自動車で栃木県・那須町の「幸福の科学学園」を視察した当時、長生村にある教団の「千葉正心館」館長で、村長の視察に同行していました。

現在、職員は、秋田県仙北市にある同教団の「東北・田沢湖正心館」の館長を務めていますが、5月11日は教団が全国の支部等で開催する「ヘルメス大祭」の初日にあたっています。これは幸福の科学において、本尊「エル・カンターレ（大川隆法総裁）」の「魂の一部」であるヘルメス神に感謝を捧げる祭りとされています。

「田沢湖正心館は、東北地方を統括する施設。そこの館長が、重要な大祭を欠席するとは考えにくい。（5月11日の）百条委に出席するのは難しいのではないか」（教団関係者）

百条委の設置や活動について定めている地方自治法は、百条委から証言や記録提出を求められた者が正当な理由なくそれを拒んだ場合、議会がそれについて「告発しなければならない」と定めており、証言拒否の罰則は「6カ月以下の禁錮または10万円以下の罰金」と定められています。

証言を拒否できる正当な理由については、民事訴訟法の196条と197条に定められています。しかしこの中には「忙しいから無理」という理由は含まれていません。

同法には「宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合」は証言を拒否できるという規定はありますが、これは宗教行為に関わるもの（たとえば犯罪者が宗教者の前で懺悔を行った内容等）を指していると考えると、村長の視察に関する職務がこれに該当すると解釈するのは難しそうです。仮に学園視察が宗教行為だというのであれば、村長が特定の宗教団体の宗教行為に参加したことを「公務だった」と主張していることになり、政教分離問題に発展してしまいます。

出頭を求められている教団職員が、単純に出頭自体を拒否するのか日程調整を求めるのかによっても変わってきますが、いずれにせよ、百条委がこれを「証言拒否」とみなせば、刑事事件に発展する可能性が出てきます。

5月11日、実際に教団職員が出頭しなかった場合は、百条委がその場で対応を議論することになると思われます。