POSSE公式サイトより |
※用語について
日本で通常言う「セクト」は、必ずしもカルト的集団を指すとは限りません。この記事では「左翼セクト」を「左翼思想に基づく政治団体」の意味で使います。
日本で通常言う「セクト」は、必ずしもカルト的集団を指すとは限りません。この記事では「左翼セクト」を「左翼思想に基づく政治団体」の意味で使います。
■消えたネット情報
POSSE代表・今野晴貴氏(facebookより) |
最近では、居酒屋チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」の労使問題が注目され、POSSEが従業員側を支援していることから、この件でPOSSEのメンバーがメディアに登場するケースも目につきます。
代表者の今野晴貴氏は『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』の著書で、2013年に第13回大佛次郎論壇賞を受賞。同年の「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10に「ブラック企業」が入賞した際にも表彰を受けています。
このPOSSEについて、かねてよりインターネット上で、左翼セクトとの関係を指摘する情報が流れていました。要約すると、こうです。
京大構内に残る京大政経研のビラ |
やがて京大政経研グループは関東にも進出し、当時の都立大学を拠点に活動しながら、共産党の青年組織である左翼セクト「民青」(民主青年同盟)などと対立した。こちらは同様に通称として「都立大グループ」と呼ばれた。POSSEは、このセクトの別働隊ではないかと言われている。現在、京大には後継サークルがあるものの、「京都大学政治経済研究会」の名称は用いていない。
Wikipediaやまとめサイトにあった、こうした情報の多くが、現在、削除されています。
■POSSEによる刑事告訴
昨年、ある事件が新聞で報道されました。
【産経ニュース 2015年07月16】「オルグされる前に逃げろ」 中傷メール大量に送った男を書類送検同日、POSSEは自身のWebサイト上に声明文を発表しました。
ブラック企業など若者の労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」が特定の政治団体と関係しているなどと事実と異なるメールを大学関係者に送ったとして、警視庁尾久署が名誉毀損(きそん)の疑いで、横浜市の30代の自称フリーデザイナーの男を書類送検していたことが16日、分かった。POSSEの今野晴貴代表理事が同日会見し、明らかにした。
(略)
特定非営利活動法人POSSE、今野晴貴及び本田由紀に対する名誉毀損事件に関する声明書類送検された男性だけではなく、ネット上で左翼セクトとPOSSEの関係に言及する全ての人々に対して、法的措置をほのめかして牽制する内容です。
(略)
その他に確認されているPOSSE、今野及び本田を誹謗中傷する書き込みについても、今後、適切な措置を講じていく予定です。
本紙・藤倉は取材を進める中で、かつてPOSSEで活動していた元活動家たちに出会うことができました。何度も直接会って長時間話を聞かせてもらい、資料も提供してもらいました。
書類送検された男性にも会うことができました。本紙既報の通り、昨年のうちに不起訴(嫌疑不十分)が決定しています。男性が書類送検された際の容疑となった、東大関係者に送付したメールの文面も確認しましたが、元活動家の証言や内部資料と比較して大きな矛盾はありませんでした。むしろ、メールの内容を「事実と異なる」としていたPOSSEの主張のほうが事実と異なっているように見えました。
■名前がないセクト
本人を特定されることを防ぐため、ここでは複数の元活動家の証言を組み合わせ「Aさん」という1人の証言として紹介します。
数年前までPOSSEに関わっていたAさんは、「脱退してから時間も経っているので、現在も全く同じとは限らない」と前置きした上で、POSSEの背後関係をこう説明します。
「私はPOSSEにも所属していましたが、正確に言うと、POSSEの上部組織にあたる左翼セクトのメンバーでした。“資本主義批判”“天皇制廃止”“福祉国家戦略”といった方針を掲げる組織です。そのメンバーがPOSSEを含む複数のNPO法人を運営するほか、都内4大学に学生サークルを作って学生を勧誘していました。私自身、大学入学時に学生サークルに勧誘され、そこでセクトにオルグ(勧誘)されました」
この組織の方針からして、「左翼」であることは間違いないでしょう。Aさん自身、自分が関わっていたのは左翼活動であると認識しています。
Aさんが所属していたセクトの勧誘。チラシを見せるだけで手渡さない(2016年4月=一橋大学で)
|
当時新入生だったAさんに、「社会問題を勉強するサークル」という謳い文句で近づいてきた学生がいました。手には、バインダーに挟んだチラシを持っていましたが、それを手渡してはきません。それでいてAさんの連絡先を記入させ、別の日に開催された「社会問題についての勉強会」なるものにAさんを誘ってきました。政治団体や左翼セクトだということがわかる説明はなく、社会問題に興味があったAさんは、そのサークルに入ることにしたといいます。
勧誘時、勉強会のテーマの例として挙げられる「社会問題」は、格差や雇用、日米安保やイラク派兵など多岐にわたります。「左翼」や「セクト」について多少知っていれば、感覚的には「左翼セクトっぽい」と感じる人もいると思いますが、大学に入りたての新入生がそんな予備知識をもっているケースは稀でしょう。
Aさんは、そのサークルで勉強会に参加して自身も課題を与えられて発表をし、POSSEの活動にも関わったとのことです。
「POSSEについては、サークルの先輩が手伝っているNPO法人、というくらいの認識でした。サークルに会費がない代わりに、確か500円くらいだったと思いますがPOSSEの会費を払ってくれと言われ、半ば自動的にPOSSEに入会させられました」(Aさん)
Aさんが、「上部組織」の存在やPOSSEとの関係を知らされたのは、サークルに入ってから半年以上たってからだといいます。
Aさんは、サークルの先輩にマンションの一室に連れて行かれ、「実は我々は政治団体なんだ」と明かされたとのこと。その部屋は、上部組織である左翼セクトのアジトでした。
強制的に加入させられたわけではありません。
「それまで1年近くも一緒にサークル活動をしてきた先輩から、“当然入るよね?”という雰囲気の口調で誘われたので、特に抵抗は感じずに加入しました。強制ではありませんでしたが、後から考えれば、断りにくい段階になってから誘われたという気がします」(Aさん)
組織について様々な説明を受けたAさんですが、「メモを取るな」「(警察の)ガサ入れ対策のため、全て破棄するように」と指導されたり、重要な資料は回収された場面もあったといいます。情報が外に漏れないようにするためです。
それでも、Aさんは多少のメモ等をいまも保管していました。セクト内の文書では固有名詞を暗号で記載するように指導されており、セクトに入ったばかりのAさんが残したメモには、暗号の対応表もあります。たとえば首都大学東京(旧・都立大)は「Mugicha」、東大は「Shoga」、一橋大は「UD(うどんと読む)」、中央大は「Nab」という調子です。
POSSEを指す暗号もありました。「Hyak」です。もうひとつの関連NPO法人 である「セイピースプロジェクト」は「1」。
このセクトは、自らの組織名も「○」(マルと読む)と記号で表記します。そして活動家ですら、この組織の正式名称を知らないようです。
「内部では常に“○”と呼んでいたので、仮に正式なセクト名があったとしても、古参以外のメンバーの殆どは知らないと思います。組織の綱領のようなものはあるのですが、組織に加入した際に読まされただけで回収されてしまいました。私がいた当時、メンバーは学生・院生と社会人あわせて約30人。“代表者”などの肩書きはなく、組織の方針はメンバー全員の合議で決定されていました。全メンバーが対等な立場という形態を取りつつ、古参メンバーの発言に逆らう人はいませんでした。その意味では、古参メンバーが事実上の幹部です」(Aさん)
徹底した「秘密結社」ぶりです。
■セクトのトップは大学の准教授?
佐々木隆治氏(facebookより) |
「佐々木氏がもともと京大政経研で活動していて、その後、都立大に来て活動するようになり“○”を作ったのだと、内部で説明を受けました。都立大グループができてしばらくしてからだと思いますが、佐々木氏は方針の違いや組織内部のハラスメント対応をめぐる意見の違いで、京大政経研から分かれたそうです。京大政経研グループや都立大グループという名称は部外者がつけた通称なので、“○”内部ではこういう言葉は使いません。しかしメンバーの説明から、京大政経研グループや都立大グループの流れをくんだ組織であることはわかりました」(Aさん)
この証言が事実なら、「○」は、本記事冒頭で紹介した京大政経研グループの流れをくんだ、都立大グループ系統の団体ということになります。
「○」に佐々木氏が直接関わっていることについては、元活動家の証言だけではなく物証もあります。
「○」には、「disputation」という機関誌があります。活動家たち全員がペンネームで論文を寄せているため、ここから構成員を特定することはできません。しかし本紙が入手した「○」の活動家のノートには、こんな記述がありました。
【活動家のメモ】「テーマ」の部分は、個人の特定を防ぐため伏せ字にしました。この後、締切日などが書かれた上で、こう続きます。
disputation
テーマ ****
原稿用紙5~10枚
【活動家のメモ】
2週間前
・タイトル
・問題設定
・小構成、骨子
*******@yahoo.co.jp(佐々木さん)に送る
ここでは「佐々木さん」なる人物のメールアドレスを伏せ字にしてあります。
メモの主とは別の活動家からメールの記録を見せてもらったところ、その活動家は確かにこのアドレス宛に「佐々木隆治様」として機関誌の骨子を送付し、佐々木隆治氏からダメ出しのメールが返信されてきていました。
このことから、○内での連絡事項を記したメモに登場する「佐々木さん」が佐々木隆治氏であり、その佐々木氏が「○」の会報の原稿を集約していたことがわかります。
佐々木氏は、後述する「○」による大学での偽装勧誘にも直接関わっていた時期があるといいます。
「佐々木氏は数年前まで一橋大学の院生をしていました。当時は、勧誘した学生に面談するために、一橋大だけでなく他の大学でも佐々木氏自らが学内に詰めていたこともありました」(Aさん)
本紙・藤倉は立教大学内の研究室を直接訪問して佐々木准教授に取材を申し入れましたが、後日、メールで「今回の取材については、お答えすることができません」との回答が送られてきました。
■「会議と勉強会」ばかりの地味な秘密結社
前述のとおり、「○」と関わりがあるとされるNPO法人は、POSSE以外に「セイピースプロジェクト」があります。加えて「ガテン系連帯」(2015年に解散)も同様です。
これらのNPO法人や学生サークルの全メンバーが「○」の活動家というわけではありません。詳細は後述しますが、Aさんによれば、それぞれの「フロント組織」の幹部を「○」の活動家が務めているものの、各団体には「○」の存在を知らされないまま活動に加わっている人々もいるといいます。
「ブラック企業大賞」実行委員も務める坂倉昇平氏もまた左翼セクト「○」のメンバーだという(2015年11月=ブラック企業大賞2015授賞式で)
|
池田氏は、2009年の衆院選の比例代表東京ブロックから社民党の公認で立候補し落選した人物。昨年、ガテン系連帯が解散して以降は動向がつかめず、現在も「○」の活動家なのかどうか定かではありません。川村氏も、正確な時期は不明ですが、昨年9月以降にPOSSEを離脱し、現在の動向が不明。セイピースプロジェクトは、電話で取材を申込んだところ「担当者不在。折り返し連絡する」としたまま、予告された日を過ぎても連絡がなく、以降は電話に誰も出ません。
「“○”の会議では、各NPO法人の活動状況の報告や今後の方針も話し合われました。当時、川村氏は“○”のアジトの1つであるマンションに住み込んでいましたし、メインのアジト内には雑誌『POSSE』の編集作業を行う部屋がありました。そこで坂倉氏が編集作業をしていました。私自身、作業を手伝わされたので、はっきり覚えています」(Aさん)
POSSEはブラック企業対策の団体で、セイピースプロジェクトは平和運動団体。ガテン系連帯は肉体労働者や日雇い労働者などの支援団体です。それぞれの分野での具体的活動は「フロント組織」が行います。では、「○」自身はいったい何をやっているのでしょうか。
「個々のメンバーはNPO法人や学生サークルの現場活動にも関わりますが、形式上、それは各NPO法人のスタッフとしてです。“○”という組織自体は一切、表に出てきません。デモはおろか非合法活動も行いません。“○”としてやっている活動は、会議と勉強会とフロント組織の運営。これだけです」(Aさん)
秘密結社めいている割に、やっていることはけっこう地味。だったら大して問題ないのではないかと思いきや、内情を聞くと、そうでもないようです。
■親からカネをぶんどる
「○」の特徴として、徹底して秘密結社めいている点のほかに、高額な会費とカンパが挙げられます。
Aさんは「毎月2~3万円を払っていた」と言い、これと別に臨時カンパを要求されたこともあるとも語ります。
「“○”内部の用語で“親対”というものがあります。セクトで活動をしていることを親にバレないようにするための“親対策”のことです。たとえば実家から大学に通っている活動家に下宿住まいをさせるようにしたり、親とあまり頻繁に連絡をとったり仲良くしたりしないようにさせたりする。実際、私もセクト内で言われて実家通いから下宿住まいに変えました。この“親対”の基本として、政治活動をしていることを親に内緒にするように言われます。つい親に話してしまったあるメンバーは、組織内で“親から20万円引っ張ってこい”というようなことを言われ、大学のゼミ旅行に必要だとウソをついて、実際に20万円を親から騙し取って“○”に納めていました。カネだけが目当てなのではなく、こうやって”踏み絵”を踏ませながら親より組織を選ぶ従順な活動家を育成していくんです」(Aさん)
なぜ、こんなにカネが必要なのでしょう。
「私が所属していた当時、少なくとも3つのアジトがあり、首都大のすぐそばにあったメインのアジトは、3LDK以上あるオートロックの家族用マンションでした。この家賃だけで相当なものです。さらにメンバーが逮捕された場合に備えての保釈金のプールや、合宿費用、POSSEやセイーピースプロジェクトの活動資金の補填もしていると、内部で説明されました」(Aさん)
当時、先輩活動家の説明を記録したAさんのメモも残されています。
【活動家のメモ】非合法活動をしていないのに保釈金をプールするとは、どういうことなのでしょうか。
○ 金ない 借りている部屋
合宿
セイピ、POSSEのほてん
保釈金
将来資金
運動資金
「内部では、非合法活動は、“いまその必要がないからやっていないだけ”と説明されました。私は佐々木隆治氏から直接、“必要が出てきた時にはやるから、覚悟しておくように”と言われたこともあります」(Aさん)
上記のメモには、続いてこんな記述もありました。Aさんが先輩活動家と一緒に、毎月いくらくらいの金額を「○」に収めることができるかを話し合った際のメモです。
【活動家のメモ】下宿生活をしている学生活動家が、親からカネを「ぶんどって」、「○」への毎月の支払いについて「3~4万いける」としている内容です。また「臨時」のカンパ5万円を、「バイト」や「親」から捻出しようと計画しています。
月1万円+カンパ 月いくらか それぞれの状況に応じて
月14.5万
ぶんどって
5万円家賃
6万 生活費
-------------
3~4万いける〉
臨時 現役学部生 5万円
バイトして
親
しかもこのメモから、高額な会費やカンパの金額が各メンバー一律ではないこともわかります。メンバーの状況に応じたギリギリの金額を「○」に収める。これが「○」の集金システムのようです。
■学生サークルでの偽装勧誘
「○」のもうひとつの特徴が、偽装勧誘です。
「私自身、“○”のメンバーになってから、大学で学生を勧誘する活動に関わりました。自分の大学以外の大学にも出張して、“社会問題について勉強するサークル”と称して勧誘活動をします。いつどの大学に行くかなどの指示は“○”から降りてきます。サークル名は、東大では“スウォーム(swarm)”、一橋大学では“クリティカルラボ(Critical Lab)”で、首都大や中央大ではしょっちゅう名称を変えていました。勧誘の際は、“○”幹部たちが空き教室や学食などに陣取り、サークル員が連れてきた新入生と直々に話をします。POSSEの事務局長(当時)の川村遼平氏が一時期、ある大学で勧誘活動を担当する現場リーダーをしていたこともありました」(Aさん)
新入生を勧誘するPOSSE事務局長(当時)の川村遼平氏 |
この点について昨年、筆者がPOSSEに説明を求めたところ、「川村が個人的に手伝っていたのであって、POSSEとしては関係がない」という趣旨の回答でした。この取材の後、時期ははっきりしませんが川村氏はPOSSEを離脱しています。
前述のとおり、この偽装勧誘には「○」の実質的トップとされる佐々木隆治准教授(立教大学)も、かつて関わっていたといいます。Aさんによれば、本紙が目撃した川村氏のように、勧誘されてきた新入生と面談をする役回りだったといいます。
勧誘の際、彼らは自分たちが政治団体であることを新入生に告げません。POSSEとの関係も説明されません。それでいて、前述のようにAさんは、サークルに入るとPOSSEに入会させられたりPOSSEの手伝いをさせられたと語っています。つまり、サークルの実態や勧誘の目的を偽る、完全な「偽装勧誘」ということになります。
「○」の幹部による新入生との面談は、サークル活動について説明する一般的なサークル勧誘とは、少し趣が違うようです。
「サークルの説明というより、社会問題や政治情勢などについて議論をふっかけて反応を見るような感じです。おそらく、思想面の方向性や活動家としての適性を幹部が直接判断するためでしょう」(Aさん)
偽装勧誘は各学生サークルが行うもので、「POSSEの勧誘」ではなありません。しかしAさんの証言が事実であれば、POSSE関係者も偽装勧誘に関わっているほか、学生サークルで勧誘した学生を「○」のメンバーにしていく過程にPOSSEという組織が一定の役割を担っています。
Aさんが当時記したノートには、大学の新歓期から少し時間がたった6月の日付で、こんな記述があります。
【活動家のメモ】「沖縄」とは、「○」のフロント組織の1つである平和運動のNPO法人「セイピースプロジェクト」での沖縄へのスタディーツアーのこと。その後に「セイピ」「POSSE」に誘うとする趣旨の記述もあります。
集合してイベント行く意味
・ちゃんと動員
・サークル統合
(略)
オルグ
沖縄、誘う
セイピ or POSSE 誘う
当時まだ「○」に入って間がない時期だったAさんのメモは随所で、暗号ではなく「セイピ」「POSSE」と書かれています。メモのこの記述は、学生サークルを通じて「○」の活動家がPOSSEなどのNPO法人への勧誘活動を行ってることを示す物証です。
こんな記述もあります。「**」とした箇所は、人名と思われるアルファベット。
【活動家のメモ】「…」で人名同士が結ばれているのは、オルグ対象の新入生と、その指導担当である「○」の活動家を示していると思われます。「○」にオルグしてみるが、最低限、親には言わないようにさせようということを確認する内容で、前述したAさんの「親対」についての証言も裏付けるものです。
とりあえず2人とも学習会+SayP
オルグ
**……**
**……**
↑親に言わないように.言う.最低限
「サークルに入った新入生には、サークルの勉強会での発表をさせるほか、POSSEなどのNPO法人を手伝わせることで、様々な課題や仕事を与え負荷をかけていく。それを通じて、その負荷に耐えて様々な課題や仕事に対して従順に取り組む人間なのかどうかや思想性などの適性を見極めるのが“○”のやり方です。新入生には、“○”の活動家が個々に指導役を務め、“○”の会議で新入生の個人情報や性格などを報告しながら、組織的に計画的に育成します」(Aさん)
「○」の会議用レジュメの中に、学生サークルではなくセイピースプロジェクトのイベントに関するものではあるものの、参加者の所属や性格分析を報告する内容がありました。15人の参加者が、6種類に分類されて掲載されています。一部を紹介すると「普通の人」「内容に多少関心がある人」「根暗系」「勘違い系」といった調子。
個々人について①属性、②参加動機、③性格の3項目が記載されている。たとえば、ある参加者については、こうです(個人名を示すと思われるアルファベットは伏せ字「****」としました)。
【活動家のメモ】「F」は女性のこと。「NB」は中央大学を指す「○」の暗号の略式表記のようです。
****
①F、NB、1年、文学部
②知的関心、歴史が好き。少し国際ボランティアに関心
③大人しい≒まじめ、人見知り、雰囲気が非常に大衆的
イベント参加者について、所属などの個人情報だけではなく性格についてまで組織の中で報告され、「根暗系」だの「勘違い系」だの「大衆的」だのと、本人の知らないところで分析されます。これは、Aさんがこの組織に疑問を感じるようになった理由のひとつでもあるとのことです。
このレジュメには、会議で出された意見をメモしたと思われる手書きの記述もあります。
【活動家のメモ】自分たちのイベントに人が来ることを、裏では「ひっかかる」などと表現しています。
次につなげられるかというと微妙
アクティブさのある人ひっかかってない
学生サークルで勧誘した新入生に対しても、こんな調子のようです。
「こうして1年ほどかけて、有望と認められた学生だけが“○”の存在を伝えられてオルグされます。逆に、適性がないと判断された学生は、“○”の存在を知らされないまま学生サークルやPOSSEで活動を続けます。そうやって、自分が左翼セクトのフロント組織に関わっていたことに気づかないまま大学を卒業していく人もいます」(Aさん)
ふるいにかけられた「有能で従順」な人材だけが、前述のように「○」のアジトに連れて行かれ、オルグされる。だからこそAさんのように、強制されたわけでもないのに「実は政治団体だ」と言われても、すんなり誘いに乗ってしまうのだといいます。
■偽装勧誘は今年も行われていた
チラシを手渡さないまま新入生の個人情報を収集(2016年4月=一橋大学で)
|
このうち一橋大学では、クリティカルラボが前述のようにバインダーにチラシをとじ、新入生に手渡さずに勧誘活動。2日後の中央大学ではSPREADが、バインダーではなくクリアファイルにチラシを挟んで、同様の勧誘活動を行っていました。
中央大「SPREAD」(左)と一橋大「クリティカルラボ」(右)のチラシ(いずれも2016年4月)
|
「こちらの電話番号を教えてしまいました。でも向こうは、連絡先を教えてくれませんでした」(勧誘されていた新入生)
「ほかのサークルはLINEのIDを尋ねてきたのに、SPREADは携帯番号を聞いてきた」(勧誘されていた新入生)
LINEのIDだろうが携帯番号だろうが、チラシすら渡さないような素性不明の相手に教えるべきではありません。
こうした勧誘に出会った場合は、速やかに大学の学生部などに相談した方がいいでしょう。学生からの相談は、大学が対策をとる上でも重要な情報源にもなります。
■大学をも騙そうとしたPOSSE
学生サークルでの偽装勧誘とは別に、「NPO法人POSSE」としてボランティア募集の説明会や労働問題をテーマにしたイベントを行うこともあります。ここでも、POSSEが左翼セクトのフロント組織であることは説明されません。
「しかし、POSSEによるボランティア募集は、文字通りPOSSEのための人員募集で、“○”への勧誘ではありません。従来、“○”の活動家はPOSSEではなく基本的に学生サークルを通じてオルグしていました」(Aさん)
POSSE名義でのイベントで偽装勧誘を行うことはないようですが、大学内でイベントを行う際には、団体の素性を偽装して教室の使用許可を取ろうとしたことはあるようです。
「POSSEのメンバーがいない大学でイベントをしようと企画した際に、大学から教室使用許可を得るために、POSSEメンバーではない知り合いの学生や、その大学の公認サークルに名義を貸してもらおうとしたこともあったようです。少なくとも私がいた時期には、このやり方で実際にイベントが開催に至ったことはないようでしたが」(Aさん)
京大構内に貼り出されたPOSSE関連団体「ブラックバイトユニオン」のメンバー募集チラシ。連絡先として記載されているPOSSEメンバーは、「○」のメンバーでもある人物だった(2015年8月=京都大学で)
|
「“○”の活動家は基本的に学生サークルを通じてオルグします。POSSEによるボランティア募集は、文字通りPOSSEのための人員募集で、“○”への勧誘のためではありませんでした。しかしPOSSEはしきりにメディアでとりあげられ有名になったことで人数が増えてきたのか、POSSEのボランティアとして入ってきた人が“○”にオルグされ活動家になるケースも出てきていました」(Aさん)
2014年以降、POSSEは「ブラックバイトユニオン」などの関連団体を増やしています。Aさんの証言が事実であれば、学生サークルだけではなくPOSSEや関連のユニオンも、左翼セクト「○」への入り口になりかねないことになります。
■労働力の搾取に左翼名物“総括”も
組織のための活動は、多忙を極めたといいます。
「たとえば、朝はどこかの大学などで、NPO法人などによるビラ撒きやアンケート活動。その後、夜の会議の準備やPOSSEなどの事務仕事を片付けて、夕方は学生サークルの勉強会で、夜は“○”の会議。終わったら翌日のPOSSEイベントなり会議なりの準備。学生サークルでもPOSSEでも“○”本体でも、それぞれに勉強会を開催しているので、自分が発表をする場合はその準備もします。毎日、3~4時間眠れればいいほうで、大学の授業にマトモに出ている余裕はありませんでした」(Aさん)
「○」の学生メンバーの中には留年している人も多く、Aさん自身も「○」の活動の忙しさや精神的なダメージから、後に留年が決まったといいます。
つらければ適当に手を抜けばいいではないか、と感じる人もいるかもしれません。しかしそう単純にいかないのが左翼セクトです。
連合赤軍を描いた山本直樹氏のマンガ『レッド』では、活動家が活動家に「総括」と称する自己批判を迫り殺しまくるエピソードが延々と続く。手を抜いて在籍し続けるのは難しい集団であることがわかります。“○”では、さすがに暴力はないものの、やはり厳しい「総括」が行われていたといいます。
「ちょっとしたミスでも、延々と罵られ自己批判を要求されます。たとえばビラまきの際の道具の準備に不手際があったとか、その程度のことでも、活動への自分の取り組み姿勢とか意識の問題として自己批判させられます。POSSEの坂倉氏がアジトで1~2時間にわたって“ほんとお前はクズだよ!”などと後輩を罵倒しているのを見たこともあります。ある学生メンバーは、しょっちゅうミスをして毎日のように何時間も怒鳴られ続けていました。抱えている仕事が多いのに長時間の“総括”で疲弊するので、よけいに仕事でミスが多くなり、そのことでまた罵られるという悪循環に陥っていました。結局、そのメンバーは精神的に追いつめられて、とうとう不眠のような状態になって“○”を辞めていきました」(Aさん)
小さなミスも許されない中での多忙な活動で、Aさん自身も精神的に追いつめられたと語ります。
「“○”では、ただ忙しいだけで、デモなどの直接的な政治活動はなく、やりがいもない。いったい何のために自分が消耗しているのか、わけがわからなくなっていきました。ある日を境に、“○”と一切連絡を取るのをやめました。後日、“○”の関係書類だけは返却するように言われましたが、しつこく引き止められたりはしませんでした。ただ、やめた後、精神的に不安定になって大学も留年したり休学したり。それまで“レーニン的目的意識”なんて言葉を口癖のように繰り返し、自分たちは優れていて他はダメという価値観の中で、追い立てられるように活動していた。それがなくなった途端、自分が何をしたらいいのかもわからなくなって、家にこもって大学にも行かず、死ぬことさえ考えた時期もありました」(Aさん)
偽装勧誘、金銭収奪、過重労働、パワハラ──。これが事実なら、それこそPOSSEが批判するブラック企業そのものではないでしょうか。
■目的は手段を正当化できない
「○」やPOSSEがブラック企業と違うのは、活動の動機が組織の利益ではなく思想の実現にあるらしいという点です。Aさんの話を聞いていても、「○」の幹部が私腹を肥やしているかのような話はありません。むしろ幹部たちも精力的に、そして禁欲的に「○」に尽くしているように思えます。
そこに悪意は感じられません。おそらく、活動の動機や目的は、社会を良くしたいという真剣なものなのでしょう。
しかし動機が善意であっても、それを実現するための手段が常に正しいとは限りません。
偽装勧誘は、ただ単に組織名を伏せるだけのものではなく、本来は許容しなかったであろう負担を許容できるように仕向ける人間管理の第1段階として機能しています。それは、この記事で紹介してきた、Aさんが「○」に加入するまでのプロセスから明らかです。
Aさんは組織の名称や実態どころかその存在すら知らされないまま、まず従順な学生サークルメンバーに仕立て上げられてから、セクトへの加入の意思確認をされています。そのAさんが「最初から実態を知っていれば関わらなかった」と語っていることから、偽装勧誘から始まる一連の流れがAさんに対して、本来であれば許容できなかったはずのことを許容させたと言えます。
Aさんの証言が事実だとすると、組織の動機が善意であることをもって正当化するのは、さすがに難しいでしょう。
中央大学で今年4月に行われていた「○」系学生サークル「SPREAD」の勧誘活動(右)。この男性は2日前に一橋大学内で「クリティカルラボ」として勧誘活動を行っていた。
|
一方のPOSSEは、本紙の取材に対して、POSSE及び個々の幹部たちと左翼セクトとの関係を否定。詳細な事実関係の確認のための取材は拒否しており、「○」の事実上のトップとされる佐々木隆治氏も同じく取材を拒否しています。事実関係について反論や釈明をしないだけではなく、反省して改める姿勢も表明していません。
これらを総合すると、「○」やPOSSEが、現在もAさんがいた頃と変わらない手法で活動している可能性すら否定できません。加えて、こうした実態に言及する人々に対して反論するのではなく、刑事告訴や民事訴訟で黙らせようとするPOSSEの行為は、もはや反社会的と言えるでしょう。
POSSEを持ち上げる知識人やメディアは、自らが宣伝に加担している団体の正体について、もう少し注意を払ったほうがよさそうです。ブラック企業という社会悪と戦っているからといって、その人々が必ずしも正しい存在であるとは限りません。
本紙では引き続き、POSSEや関連する左翼セクトについて取材を進めていきます。情報をお持ちの方がいましたら、daily.cult@gmail.com までご一報ください。
◇本紙関連記事
POSSE“名誉毀損”の刑事告訴が不起訴に=元被疑者男性への民事訴訟を予告
NPO法人POSSE事務局長らが大学で偽装勧誘の“お手伝い”
201 コメント:
«最後 ‹次 201 – 201 / 201 前› 最新»私はPOSSEのこと何も知らないで総合サポートユニオンの某支部に入ったら、気付いたらPOSSEの LINEグループに入れられて、POSSEメンバーが皆んな行ったる今野の駒澤大学の授業乗り込みに誘われて、POSSEとの繋がりをどんどん作らされてという感じでした。最近は組合に来た人間をPOSSEに呼び込む作戦も使ってますね
コメントを投稿