旧統一教会3派の2世が合同イベントを開催＝家庭連合は参加を認めず

家庭連合2世に配信されたLINEﾒｯｾｰｼﾞ

今月4日、渋谷のレンタルスペースで旧統一教会3派（家庭連合・FPA・サンクチュアリ教会）の2世が「現在の2世が置かれている状況を変えたい」として合同イベントを開催。しかし、参加を表明していた家庭連合の複数の2世が教団本部からの通達によって参加を取りやめていたことが判った。

◆「1世のせいでバラバラに」「今の状況を変えたい」

　8月4日(土)午後1時、東京渋谷のレンタルスペース（貸会議室）に集った12人の2世、旧統一教会3派の信仰を持ち、それぞれの団体に所属している2世たちだ。信仰心の厚い2世だけでなく、批判的な2世も参加、20代を中心に幅広い年代の2世が顔を合わせた。

「同じ境遇に生まれた2世たちが1世のせいでバラバラになっている」「今の状況を変えたい」と家庭連合とFPAの2世が企画立案、サンクチュアリの2世を加え、5～6人の企画者で進めてきたという。

◆主催者サイドのツイート

　

　主催者はSNSでイベントについて発信。

【3派合同イベント主催者のツイート 2018年7月下旬】

「FPA、家庭連合、サンクチュアリの2世で【第1回公開トーク&質問会】をすることになりました。たくさんの2世の参加をお待ちしております。今のこの状況を本気で変えたいと 思う2世が FPA、家庭連合、サンクチュアリから各3名づつ集まりました」

「ちょっと真面目なオフやります。おそらくTwitter界隈の二世には不向きですが、家庭連合、三男派、サンクチャリ、その他の諸派の方々も大歓迎で来月4日、都内某所にて討論会を開催します。興味のある方はぜひこのツイートにリプしていただくか、DMいただけると幸いです」

　これら主催者サイドの呼びかけ以降、各派の2世からはこんな声が寄せられた。

「誰にも言えなくて自分と同じ悩みを持った2世がいるかもと思ってツイッターで垢（本紙注：アカウント）作って探した」「話聞いてもらってアドバイスもらったりしてすごく嬉しかった」「自主的にこういった集まりを開くって、なかなか出来ないことだと思う」

◆家庭連合本部は参加を禁じる通達

　

　ところが、家庭連合本部はこの2世企画を、分派による家庭連合2世への妨害・干渉・勧誘行為と捉えたようだ。家庭連合の2世に対し、当該イベントへ参加しないよう指導するLINEメッセージが拡散したのだ。

【2018年8月】家庭連合本部のものとされるLINEメッセージ

　8月4日（土）午後1時から東京都渋谷区の某所にてFPA、家庭連合､ｻﾝｸﾁｭｱﾘの２世が集まり、「第１回公開トーク＆質問会」を開催するとの案内がSNSで流れています。
　すでにFPA、家庭連合、ｻﾝｸﾁｭｱﾘから数名ずつの参加が決定しているとのことであり、2世の更なる参加を呼びかけています。しかし、当法人では、こうした分派が主導して行う非公式な集会への参加は一切認めていません。また、たとえ分派に行った他の2世を救いたいとの動機であったとしても、参加した場合は分派側の宣伝材料として都合良く利用される可能性もあります。つきましては2世信徒らが安易に参加することがないようにお願いします

この通達を受けて、主催者のもとには参加を断念した家庭連合2世から様々な声が寄せられた。

「どうにか今の現状を良くしようとしてるだけです」「本部の方から公文で今回の会には参加しない様にと流れました」「今回は行けなくなった」「行っちゃダメみたいな案内出てるみたい」「自由を与えないような組織」

　企画者の一人は「UC本部は純粋で勇気ある２世達の会を公文を使ってとことん邪魔をして迫害してくる」と憤る。

◆頻発していた分派とのトラブル

　今年1月には、家庭連合2世の希苑教会を舞台にFPAとの間にトラブルも起こっていたようだ。8月1日には以下の文章が出されている。

【〇〇家庭教会「賀詞交歓会2018」企画チーム　2018年8月1日】

1／20のイベントに係るFPAサイドの行為について
　2018年1月20日、〇〇家庭教会にて開催された「賀詞交歓会2018」に、FPAのメンバー数名が潜入し、以下の行為を行った。
① 無断で講演内容を記録、編集し、登壇者の実名入りのまま、主催側が事前に禁じていたSNSによる不特定多数への配信を行った。
② その際、自組織に都合の良い発言の引用等、恣意的な偏向編集を行なった。
③ 当日、公式記録として撮影された写真を主催側に無断で流用し、不特定多数の自組織構成員の間で回覧した。
④ 主催側は、上記行為に対して桜井氏を通して遺憾の意と共に速やかな対処を要求。その後、〇〇氏による問題投稿は削除された。しかしその後半年以上たった今日に至るまで、本人やその他人物による謝罪は一切ない。
以上の行為を通して、FPAサイドはイベント登壇者らの肖像権、プライバシー、個人情報、そして何よりその純粋な思いを著しく侵害、悪用したに留まらず、二世圏全体で分裂問題に関する自由闊達な議論が生まれる機運を自ら潰した。
　2008年以降、統一家の分裂問題が世界中で混迷を深める中、日本の主な二世圏は、これまで兄弟姉妹として育んだ互いへの愛と尊重を絶やさず、一方を利用、ましてや貶めたりしたことはなかった。FPAサイドによる不誠実な一連の行動は、その目的や動機の如何に関わらず、日本の二世圏における歴史的な汚点となる裏切り行為と言わざるを得ない。
　FPAサイドはその後も、米国における法廷闘争への証拠作り等、その組織的利益の追及のためか、面識もない家庭連合会員に対して無節操なアプローチを継続し、結果として、真のお父様のレガシーと顕進様を貶めている。
上に述べた内容の証左となる物的証拠はすべて揃っており、言い逃れはできない。また、謝罪機会はいくらでもあったことも明示可能である。
最後に、これ以上の醜行を重ねないことを兄弟姉妹として祈念するものである。

家庭連合サイドはこれまでのいきさつから、今回の2世によるイベントを額面通りには受け取っていないと思われる。

◆家庭連合「当法人の局会員を惑わし、不信を煽るなどしている」

　家庭連合に対し、当該イベントに対する見解と2種類の“公文”とされる文章についての質問書を送付したところ、以下の回答があった。

【家庭連合広報文化局回答 2018年8月9日】

　当法人は文鮮明・韓鶴子総裁ご夫妻の教えに基づき、教会員に信仰指導をしておりますが、FPA（家庭平和協会）やサンクチュアリ教会は、ご夫妻の教えとは違う独自の思想や信仰観を持って活動しているのみならず、当法人の局会員を惑わし、不信を煽るなどしていることから、当法人ではFPAやサンクチュアリ教会が関わる集会等には参加しないよう教会員に指導しています。

　当法人の公文は、教会員に対する伝達事項として発表しているものであり、その内容は局会員以外の方を対象としておりません。従いまして、どのような公文を発したかということを教会員以外の方に知らせることはしておりませんので、ご指摘の文章が当法人の公文かどうかについてはお答えしかねますので、ご理解ください。
　なお、当法人では公文は本部が文書で発しており、LINE等での発信はしておりません。

◆3派2世が声明「これからが始まり」

　その前日、当該イベント企画チームも以下の声明を発表。

【声明 2018年8月8日】

　8月4日にFPA・サンクチュアリ・家庭連合の2世で集まり、各3派の現状・ビジョンをプレゼンし、これからの2世圏について本音で話し合いました！
　神様の下の人類一家族、愛し許し為に生きることを実体で教えてくれたお父様。それなのに今の現状はどうか？
　このような悲惨で危機的な状況になってしまったのには必ず原因があります。解決の道は『知る』ことから始まると思いました。
　企画し実行していく中で困難なことももちろんたくさんありました。不安もありました。しかし当日、会場に行ってみるとFPA・サンクチュアリ・家庭連合の２世が何の壁もなく互いに助け合い企画の準備をしていました。わたしの不安は吹き飛びました。
　来たい見たい知りたいと言う思いで、はるばる京都府や栃木県から参加してくれた２世もいました。
　それぞれの３派のプレゼンやトークを聞いて今まで知らなかったことも知ることが出来ました。なにより２世同士に壁はないということを肌と心で感じることが出来ました。
　方向性も見えず、希望もなくし、今も尚、苦しみ、悲しみ、助けを求めている２世が山ほどいます。
　神様はこれをどう見てるだろうか。
　今回、企画し行動した私たちは全国の2世の味方です。これからも行動し続けます。
　これからが始まりです。

企画チームによると、次回【第2回公開トーク&質問会】の開催は3か月後を予定しているという。2世による自主企画イベントの今後の推移が注目される。