2024年12月20日金曜日

エホバ2世の弁護士が自己啓発セミナー勧誘 元信者が返金請求

受講申込者に送られてくるランドマーク社の書面。クーリングオフに関する説明はない
 エホバの証人(ものみの塔聖書冊子協会)の元2世信者である弁護士から自己啓発セミナーに勧誘され、17万円余りを支払って「ランドマークワールドワイド」社主催のセミナーを受講したエホバの元信者に、同社が受講料の全額を返金していたことが20日までにわかった。

 特定商取引法では、業者側に対して、クーリングオフに関する説明の書面を消費者に交付することを義務付けているが、ランドマーク社は交付していなかった。専門家は「毅然と請求すればすんなり返金してくる可能性がある。高額な契約を結んでしまい後悔している人は、試してみるといいかもしれない」と話している。

 この問題は、エホバの証人の元2世信者であるA弁護士がランドマーク社の自己啓発セミナーにのめり込み、同じエホバの元信者を含む知人を勧誘して受講させているというもの。そのうちの1人であるエホバの元信者Bさんが最近、別の弁護士に相談し、書面でランドマーク社に契約解除を通知し返金を請求していた。

 ランドマーク社は、1971年に「est(Erhard Seminars Training)」として設立された、有名な老舗セミナー会社。80年代に「ランドマーク・フォーラム」の社名で日本法人を設立し、後に「ランドマークエデュケーション」、「ランドマークワールドワイド」と名称を変更した。

 Bさんは、今年の夏頃、A弁護士から電話でランドマーク社のセミナーを受講するよう勧誘された。電話では、こういったことを言われたという。

「俺は企業セミナーの講師もしたことがあるが、その俺が見てもランドマークは本物」

「NASAもランドマークの講座を採用していた」

「(自分と)一緒に受講した受講生が、パリオリンピックで金メダルを獲得できた」

 BさんはA弁護士と旧知であることや弁護士であることから信用し、受講を申し込んで17万円あまりを支払ったという。

 しかし実際に受講しても、A弁護士から説明されたような効果が実感できず、騙されたという気持ちが強まったという。旧知であり弁護士でもあるA弁護士と敵対することを恐れ、返金を求めることに躊躇もあったというが、別の弁護士に相談。ランドマーク社が契約の際に「クーリングオフ」(契約解除)について説明する書面を交付していなかったことから、書面で同社にクーリングオフを通告し、全額が返金された。

 クーリングオフは、訪問販売や電話勧誘販売などについて、契約から一定期間内であれば消費者が無条件で契約を解除できる制度。特定商取引法では、業者側に対して、クーリングオフに関する説明の書面を消費者に交付することを義務付けている。

 電話勧誘販売の場合、クーリングオフ可能な期間は8日間。ただし、勧誘された日や契約を交わした日ではなく、クーリングオフについての説明書面を受け取った日から起算される。ランドマーク社がこの書面をBさんに交付していなかったことから、Bさんは、「クーリングオフ期間が起算されていない(現在もクーリングオフ可能である)」として、ランドマーク社にクーリングオフを通告した。

 その直後に、A弁護士からBさんを非難するLINEメッセージや着信があったが、Bさんは自分が依頼した弁護士の助言を受けて、対応せず。ほどなく、ランドマーク社から全額が返金された。

 A弁護士による勧誘が、どの程度の広まっているかは不明。Bさんは、「自分以外にも少なくとも1人は、勧誘されたエホバ2世がいる。エホバとは関係ないが、同期の弁護士も勧誘している」と語る。



解説:自己啓発セミナー問題に詳しいジャーナリストの藤倉善郎さん

 ランドマークを含め老舗の自己啓発セミナーは、様々な民間の心理療法や、マルチ商法でも使われるような「成功哲学」等々のパッチワークで、受講生の思考や感情を揺さぶるような内容。具体的なスキルを習得できるとか悩み事を解決してくれたりする趣旨のものではない。

 一般的な講習会や研修とは全く違う分野なので、17万円という料金を一般的な「相場」で捉えると見誤る。またランドマークのセミナーを受講すると、セミナー中に次のコースに勧誘されるが、その受講料金は約29万円もする。

 ランドマークについては、20年ほど前にもBさんと同じような相談を受けたことがある。この時もランドマークはクーリングオフ書面を受講生に交付しておらず、受講生が請求するとすんなり返金してきた。

自己啓発セミナー対策ガイド(アーカイブ):ランドマーク、元受講生に料金を返還

 実質的に、契約を解除する方法がないかのように思わせておいて、文句をつけてくる人にはすんなりカネを返して黙らせる(文句をつけてこない客からカネを取れればよい)、という手口に見える。

 法律を守らない悪徳商法の業者がすんなり返金に応じるとは思えないというのが、通常の感覚だろう。消費生活センターなどの相談員の中には、こうした一般論を元に「返金は難しい」などと知ったかぶって、相談者を泣き寝入りさせてしまう人もいる。しかしランドマークについては、今回のように毅然と請求すればすんなり返金してくる可能性がある。高額な契約を結んでしまい後悔している人は、受講の前でも後でも、返金請求を試してみるといいかもしれない。

 自己啓発セミナーは、受講生の人間関係に乗じて、知人や家族を勧誘させる。勧誘してくる受講生(紹介者)が口先では「効果がなければ返金する」などと言うこともあるが、契約解除や返金を請求すると、セミナー会社ではなく「紹介者」が人間関係に乗じて黙らせようとする。今回のA弁護士の反応がまさにそれだ。

 しかし契約相手は、知人である「紹介者」ではなく、飽くまでもランドマーク社。弁護に相談して、しっかりした内容の書面でランドマーク社に返金を求め、「紹介者」が出しゃばるようなら「本人への直接の連絡はやめろ。代理人であるこちらに連絡してこい」と弁護士から通告してもらえばよい。弁護士費用はかかるが、裁判をするほどの費用ではなく(もちろん、正式な委任の前に確認を)、返金された場合、受講料の多くは手元に戻る。「二次被害」の防止と迅速な解決の可能性が高いという利点は大きい。

 また、特定商取引法は、電話勧誘販売について、契約しない意思表示をした人に対して再度勧誘することを禁止している。勧誘をはっきり断っても勧誘電話をかけてくる行為は違法だということも、知っておくといいかもしれない。

6 コメント:

匿名 さんのコメント...

「自己啓発セミナーは、受講生の人間関係に乗じて、知人や家族を勧誘させる」って辺りは、ネズミ講やマルチ商法と同じ構造に見えますね。

匿名 さんのコメント...

TVにも出てた弁護士さんだろうか??

匿名 さんのコメント...

エホバの証人は身分であって、宗教団体ではありませんので、エホバの証人の元二世信者ではわかりにくいです。ものみの塔聖書冊子協会の元二世信者、もしくはエホバの証人の元二世といったほうがわかりやすいと思います。

匿名 さんのコメント...

1/15深夜のリハックで、石丸伸二氏は鈴木エイト氏から新党会見でフリーのジャーナリストを排除したことを指摘されて、慌てふためいて凄まじい石丸構文を発揮。読解力が凄すぎて「再生の道」に応募したら落選確実である。
以下、要約。 https://x.com/HYamaguchi/status/1880080778308334043

匿名 さんのコメント...

地元新聞社にこの署名の情報提供をします!

かも あきよ
浜松市, 日本

2025/01/23
賛同者の皆様、いつも応援ありがとうございます。かもあきよです。

2月に静岡県議会への署名提出を控え、近日中にも、このオンライン署名のことを地元新聞社へ情報提供しようと思っています。

マスコミに取り上げられやすい署名数として、1万人という目安があるようですが、この署名ももう少しで9000人。1万人という目標の一歩手前までやって来ました!

今日は皆様に、さらなる署名へのお願いのため、力を貸していただきたくメッセージしました。

これまでの私の人生で署名活動は人生初、ましてや新聞社に情報提供することも初めてですが、アカウミガメと産卵地を守りたい一心で取り組んで来ました。

静岡県や浜松市が建設を計画する浜松新野球場は、現在、その規模や構造についての議論がされていますが、それ以前に私が重要だと考えるのは、

アカウミガメとその産卵地が浜松市の文化財(天然記念物)に指定されているにもかかわらず、なぜ、産卵地にとって致命的といわれる野球場をあの場所に建てようとしているのか、市民の文化財がこんなにもないがしろにされていることに、市民の一人として声をあげずにはいられません。

自然環境を守ることは、今こそみんなで取り組む最重要課題です。失っては取り返しのつかない、私たちと切っても切り離せないのが自然だからです。

野球場建設に、愛を持って「NO」の声を届けましょう。

署名へのご協力、何卒宜しくお願い申し上げます!

そして、プロモーション機能を使って、匿名で支援して下さる方がいらっしゃることへも、この場を借りてお礼申し上げます。まだこの署名を知らない方の目に触れる機会を増やしていただいたこと、本当にありがとうございます!

表題の下の写真は、静岡県の遠州灘海岸で孵化したアカウミガメの写真です。サンクチュアリエヌピーオーが毎年主催する、子ガメ放流会に自身が参加した時のものです。サンクチュアリエヌピーオーは、遠州灘海岸に産卵に訪れるアカウミガメの保護調査活動を、長年に渡り続けている団体です。


今週は276人が賛同しました
署名成功のために、賛同を広げよう!

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匿名 さんのコメント...

特定商取引法について
「営業の電話ではないですー」からの営業行為も違反になりますよ
録音かませておくと証拠ができて便利

電話や訪問営業で働く人も特定商取引法は読んでおく方がいいです
勤務先上司が違法指示をしてくることもあります
上司の指示だと証拠を残しておかないと捕まったときに「個人が勝手にやった」と言い逃れされるでしょう
最近はこういう違法行為教唆の企業パワハラも民事訴訟で勝ってるみたいですね
行政は当てにならないと思う方は関連法を熟知してから働いみるのもいいかもしれない