2010年9月11日土曜日

ホメオパシー業界が反撃の署名活動・砂糖玉めぐり内ゲバも

 本紙<ホメオパシー袋叩き、第2波が襲来中>でお伝えした通り、袋叩きに次ぐ袋叩きでヘロヘロのホメオパシー。しかし彼らも、やられっぱなしではありません。反撃を試みたり内輪もめをしたり、彼らなりに必死です。

■署名活動で反撃ののろし?

 東京都から薬事法にもとづく立入検査を受けたり、朝日新聞から医師法違反の疑いを指摘されている日本ホメオパシー医学協会は9月4日、「アクション ホメオパシー」と題する署名活動の呼びかけを行いました。どうやら2008年から行っているもののようで、それを改めて告知した形です。9月4日時点で1万2627名の署名が集まっているそうです。

【日本ホメオパシー医学協会 2010年09月04日】日本にホメオパシーを根付かせよう「HOMOEOPATHY YES」署名のお願い
(略)
たとえば、イギリスでは、H:M21(3年前、英国でホメオパシーたたきが行われた際に、英国のホメオパスたちによって設立された団体)は、国会への陳述を呼び掛け、250名が参加し、28,000以上の署名をつけた嘆願書をダウニング・ストリート(首相官邸)へ手渡しました。(略)日本でもこのようにホメオパシーたたきが行われているときだからこそ、ホメオパシーへの不当な評価を正し、ホメオパシーを守るために、皆さまのご協力、お力添えをいただきたいと思います。
(略)

 フルボッコにされて焦る気持ちは、わからないでもありません。しかし今回のホメオパシー騒動のそもそもの発端が何だったか、同会は理解しているのでしょうか。

 昨年、山口市の助産師が乳児にビタミンKを投与せず、ホメオパシーのレメディしか与えず死なせてしまい、それによって助産師が母親から損害賠償請求訴訟を起こされました。これが今年7月に報道されたことが、一連のホメオパシー騒動の直接的な引き金になっています。この訴訟で被告になっている助産師は、日本ホメオパシー医学協会の会員です。

 自分たちの会員であるホメオパシー信者の活動の中で人が一人亡くなっているのに、「HOMOEOPATHY YES」とは、日本ホメオパシー医学協会は、いったい、どういう神経をしているのでしょうか。

■ホメオパシー信者の医師集団も署名活動

 もうひとつ、日本ホメオパシー医学会(日本ホメオパシー医学協会と似た名前ですが、別モノです)という団体も、砂糖玉を舐めながら頑張っています。

 「日本に於いて患者様が、経験を積んだ医師、歯科医師、獣医師の監督指導の下、ホメオパシーを受ける権利が保障されること」を求める長妻昭厚生労働大臣宛の請願書を発表し、8月30日からこれに賛同する署名集めを始めました。

 さらに“医学会”の方の理事で東京女子医大准教授の川嶋朗氏が、『女性自身』9月21日号に登場。<日本学術会議の「ホメオパシー効果否定」は患者を苦しめるだけ!>という過激な見出しのインタビュー記事で、「ホメオパシーには各種の臨床試験による、きわめて高い科学的根拠が存在します」と断言するなど、ホメオパシーを正当化しています。

■醜い内ゲバも露呈

 いずれも、批判を浴びているホメオパシーを守ろうという活動なのですが、両団体の足並みはそろっていません。というか、返す刀で互いを批判し合っています。

【日本ホメオパシー医学協会 2010年09月04日】日本にホメオパシーを根付かせよう「HOMOEOPATHY YES」署名のお願い
(略)
残念なことに日本では、「医師しかホメオパシーをしてはならない」と表明している団体がありますが、最も大切なことは、日本国民からホメオパシーを取り上げることではなく、自己治癒力を触発し、自らの力で治していくホメオパシーを国民の皆さまが誰でも自由に使えるようになることであります。
(略)

 ここで書かれている団体は、おそらく前述の日本ホメオパシー医学会。“医学協会”の方は、今年初めに厚生労働省で「統合医療」の検討が開始されたというニュースに絡んで発表した声明(統合医療プロジェクトへの軌跡では、“医学会”の方を名指しで批判していました。

 その“医学会”の方も、“医学協会”を批判しています。前述の『女性自身』9月21日号に登場の川嶋朗氏。

【女性自身 2010年09月21日号日本学術会議の「ホメオパシー効果否定」は患者を苦しめるだけ!
(略)
 ビタミンというのは体の中で合成できません。だからいくらレメディを投与しても、体の中でビタミンKができるわけがない。なのに少しでも医学を学んだはずの助産師さんがこれを知らなかった、あるいは無視した。これは彼女が受けてきた民間団体によるホメオパシー教育に、大きな問題があるためではないかと思うのです。

 前述のように、この助産師は“医学協会”の会員です。川嶋氏は、要するに「日本ホメオパシー医学協会が悪いだけじゃね? ホメオパシーは悪くねえよ」と言っているわけです。

 “医学会”は、日本統合医療学会の関連学会です。日本統合医療学会は、民間療法や疑似医療をひとまとめにして「統合医療」と呼び、研究活動、健康保険適用、国家資格制度整備を主張して国家予算をせしめようと画策している団体です(本紙<民間療法推進、国家予算は4年間で1800億円?>)。

 この日本統合医療学会も、今回のホメオパシー騒動で声明を発表しているのですが、その中で<今回のような不適切なホメオパシーの団体の不適切な使用の事件により、安全で有効な代替医療が否定されることがないようにしたい>として、日本ホメオパシー“医学協会”を批判していました。

■混沌とする論点

 日本学術会議や日本医師会など、医療関係の各団体が表明したホメオパシー否定の声明は、基本的に「非科学的であるホメオパシーを医療の現場から排除すべき」という路線です。一方、2つのホメオパシー団体は「非科学的」と言われたことに反発している点では共通しているように見えます。

 しかし正規の医療との位置関係については、両者の主張が真っ向から対立しています。

 “医学会”の方は、医師のみがホメオパシーを行うべきとの立場からホメオパシーを正当化しようとしています。「医療の現場から排除すべき」という医学界の流れに最も逆行している勢力です。

 一方、“医学協会”は、ホメオパシーは薬(医療)ではないとのスタンスです。たとえば前述の<統合医療プロジェクトへの軌跡>で、<高希釈されて原物質を含まないレメディーは「砂糖玉」であり、日本の法律においては食品であって、医薬品ではありません。>と書いています。そして、ホメオパシーを医師が独占することには反対する立場をとっています。

 思想的には、“医学会”より“医学協会”の方が現実的なように見えなくもありません。

 しかし“医学協会”は、口先ではホメオパシーは薬(医療)ではないとのスタンスでありながら、実際には、砂糖玉にさも効果があるようにうたって販売するなどしています(<ホメオパシー袋叩き、第2波が襲来中>参照)。彼らの口先での主張ではなく実際の行動を見ると、「医師には独占させないが、ホメオパシーは薬(医療)である」というスタンスになってしまっています。行動面では“医学会”以上にアナーキーです。

 社会からの批判に対して、ホメオパシー団体によって違う方向性で自己主張し、なおかつ互いを批判する。しかも、その団体の一つは言行不一致ぶりがひどく、議論と実態がかみあわない。

 結局のところ我々は、彼らが語る能書きを相手にするのではなく、ホメオパシーをめぐって世の中で何が起こっているのか(このままだと何が起こるのか)という現実を見て、ホメオパシーの扱いを考えるべきでしょう。

■砂糖玉で利権争い

 能書きではなく現実を見るとすると、ホメオパシーによる医療行為の実態だけではなく、業界のビジネス事情にも目を向ける必要があります。

 『女性自身』の記事によると、日本でホメオパシー関連の治療・教育団体は12団体。その全てかどうかはわかりませんが、複数の団体が別個に、砂糖玉販売だけではなくセミナー商法や資格発行商法を展開しています。

 “医学会”のように、ホメオパシーを医師に独占させようとする団体の主張は、医師以外も巻き込んでビジネスを展開する“医学協会”のような団体にとって脅威でしょう。逆に、ホメオパシー団体で唯一、医師のみで構成されると称している“医学会”は、ホメオパシーを医師のみが行うというルールを実現できれば、全てのホメオパシー利権を独占できます。

 “医学協会”や“医学会”は、「業界の利権を目的にしているわけではない」と言うかもしれません。だとしても、彼らの主張が通れば、結果として利権が動くことに違いはありません。特に今回のような大々的な袋叩き状態になると、この中で「いかに生き残るか」と「いかにほかの団体を後退させるか」が、その後の業界内での利権争奪の戦果を大きく左右します。

 砂糖玉で利権争いって、砂糖玉で病気が治ると主張すること以上にばかばかしくないですか?

7 コメント:

匿名 さんのコメント...

スプーン印の三井製糖も参入と霊視

める さんのコメント...

ホメオパシー医学協会には乗り越えるべき大きな壁が2つある。
ひとつはホメオパシーが「(彼らが主張するような)まっとうな医療」であることを世の中に認めてもらうこと。
ふたつめは医師などの医療者資格をもたないものでも、ホメオパシーを施行できるということを明確にすること。

前者については当然のことですが、ホメ協にとっては後者がそれ以上に重要なのでしょう。なにせ、仮にホメオパシーが代替医療として世間に認知されたとしても、それが医療である以上わが国が定めた何らかの医療資格が必要になってくることが目に見えています。ホメ協(っていうかもうホメ教)は医師法、薬事法に関して勝手な解釈をし自分たちの行為を正当化していますが、現状、彼らは「一般人」にすぎません。自分たちで作り上げた「虚構」の医療資格を身にまとった「一般人」です。

医師であればホメオパシーを取り入れてもよいとも思いません。ですが、医師が独自の判断でホメオパシーを取り入れ、結果としてそれが患者の不利益になってしまった場合は、その医学的判断を誤った医師の責任を問うことができます。しかしホメ協は、「現代医療を否定しない、共存していく」という方針を都合のいいように使い、ホメオパシーで患者に不利益を及ぼしても、責任のとらないばかりか、「世界的に有効性が証明されている」などと話をはぐらかそうとしています。

このような団体は徹底的に追及されるべきです。

ちょちょんまげ さんのコメント...

藤倉主筆、はじめまして。
いつも楽しみに読ませていただいております。
タイポを二箇所発見しましたのでご報告。

山口氏の助産師が乳児→ 山口市

“医学会協会”→ 医学協会

以上です。

御一層の健筆を期待しております。

藤倉善郎 さんのコメント...

ちょちょんまげさん、ありがとうございます。修正しました。

オホーツク海岸の論客 さんのコメント...

これじゃビート(「てんさい」ともいう)やさとうきびが浮かばれないよ。

砂糖玉より飴玉がおいしそう・・・・・・

お料理(惣菜でも菓子でも)で適度に使ってあげて下さい。

匿名 さんのコメント...

医学協会がレメディを医薬品ではないとしているにもかかわらず、医療効果があるかのように扱っている様子は、聖水とか護符とか、あるいはロイヤルタッチなどを彷彿とさせます。
(言うまでもなく、聖水も護符も医薬品ではありませんが、病魔等々を祓うと信じられています)
私見ですが、「薬」という語の用法に混乱があるようにも思えますね。呪術師と医師が議論したら、こんな感じでしょうか。

やや日刊カルト新聞さまにおかれましては、是非民俗学的、宗教学的な考察をお願いしたいところでありますが…無茶振りですか?

japan さんのコメント...

このアイデアを共有していただきありがとうございます。私は好きです。我々は日本国民の総医療問題を行っています。 Webサイトにログオンし、より多くの設備を知っている: www.カバージェクト.jp