最下位落選の幸福実現党「ベルリンの壁崩壊」と満足げ＝沖縄県知事選

　11月28日に投開票が行われた沖縄県知事選で、現職の仲井真弘多氏が当選。「事実上の一騎打ち」を演じていた前宜野湾市長・伊波洋一氏との得票差は3万8626票でした。幸福実現党・金城竜郎氏は1万3116票。同党の大江康弘参議院議員は仲井真氏を支援しましたが、結果的に、幸福実現党の得票数は「一騎打ち」の勝敗を左右するほどではありませんでした。

■やっぱり「一騎打ち」だったのでは？

　仲井真氏（自民党県連、公明、みんなの党推薦）の得票数は33万5708票。伊波氏（社民、共産、社大、国民新、新党日本推薦）は29万7082票。金城氏（幸福実現党）は1万3116票。仲井真氏と伊波氏の差は3万8626票で、結果的に、金城氏の得票がどちらに流れようが仲井真氏の勝利だったと言える数字です。

　同じく金城氏が出馬した今年7月の参院選では、沖縄選挙区の投票率は52.44％で、金城氏の得票数は1万832票（得票率2.0%）。今回の県知事選では、投票率60.88％で金城氏の得票率はやはり2.0%。金城氏が保守票を大きく吸い上げた気配も見えません。

　地元メディアは当初、仲井真・伊波両氏の「事実上の一騎打ち」と報じ、金城氏はカヤの外。討論会に金城氏を呼ばなかった地元メディアに対して会場で金城氏が抗議したり、幸福実現党が放送倫理・番組向上機構（BPO）に対して人権救済を申立てたり、いろいろ波乱はありましたが、開票の結果、やっぱり仲井真・伊波両氏の一騎打ちだったように見えます。

■得票率2%で「ベルリンの壁崩壊」？

　しかし幸福実現党は、＜今回、票として表れてはいなくとも、沖縄県民の多くの皆様に「日米同盟」「国防」の意義や重要性をお伝えし、啓蒙活動を通じて、左翼言論が支配する沖縄世論を相当程度、転換することができました＞（【プレスリリース】沖縄県知事選挙の結果を受けて）としており、いちおう満足げです。それどころか、同リリースでは＜沖縄における「ベルリンの壁の崩壊」として、歴史的に評価される戦いであった＞と、ものすごい手応えを感じたようです。

　得票率は今年の参院選とほぼ同じなのに「ベルリンの壁の崩壊」ということは、参院選の時も沖縄では何かが崩壊したのでしょうか。

■どうなる「造反」の大江康弘議員

　沖縄県知事選をめぐっては、仲井真・伊波両氏が普天間基地の県外移設を掲げたのに対して、幸福実現党は県内移設を主張して金城氏を擁立。ところが幸福実現党唯一の国会議員である大江氏が「最後の望み(日米安保堅持、沖縄県に米軍基地存続)の網として、仲井真知事に勝ってもらわなくてはならない」と、独自候補擁立に反対。しかも、「私にも覚悟がある」と、離党の可能性すらあるかのような発言をしていました。

　結局、幸福実現党は、当初の予定通り金城氏を擁立。大江氏は、対立候補である仲井真氏を公然と支持し、党との関係については「選挙後にけじめをつける必要を感じる」とまで語っていました。

　蓋を開けてみると、大江氏が危惧した事態にはならず、幸福実現党も満足はしているようなので、外から見ていると両者の対立は「何もなかったのと同じ」のような感もあります。しかし通常の政党であれば、所属議員がここまで露骨に造反すれば、「結果オーライ」では済まないところでしょう。はたしてどうなるのか。