【都知事選】トクマ街宣はまるで宗教勧誘、取材妨害も！

12月16日に投開票が行われる東京都知事選の候補者で、9月に尖閣諸島・魚釣島に上陸して書類送検中のトクマ氏（幸福実現党）が10日、葛飾区の新小岩駅前に“上陸”。東京都の規制緩和を進め高層ビルを増やすなど独自の政策を有権者に訴えました。一方、選挙運動員たちは「天照さまが怒っている」「北海道の停電もトンネル事故も神の怒り」などと言いながら有権者にビラを配るなどしており、都知事選の投票用紙に「天照」「神」などと記入する有権者が増えることが懸念されます。

■「情熱あふれる一票を！」

トクマ氏は、もともと「TOKMA」の名で音楽活動をしてきたロック・ミュージシャン。9月18日に国有化直後の尖閣諸島・魚釣島に無断上陸し、軽犯罪法違反の容疑で書類送検されている身です。

この日、新小岩駅前での街宣では、選挙カーの上から有権者たちに向かって、上陸の理由を語りました。

「その節は大変お騒がせしました。しかし、中国の漁船は何度も何度も領海侵犯してきています。政治家の『遺憾です』『遺憾です』という言葉を聞くたびに怒りを感じていました。本来ならば、自分の国の土地ですから、上陸ではなく訪問です」

オリンピック誘致や、規制緩和による東京の高層都市化といった政策をアピールし、南京大虐殺や従軍慰安婦の存在を「デッチあげです！」と語りつつ、有権者にこう呼びかけました。

「清き一票をとは言いません！　情熱にあふれる一票をお願いします！」

■天照大神がお怒りです

トクマ氏の演説が始まる前には、先に到着していた選挙運動員たちがビラを配り、一人がマイクで演説をしていました。

「つい先日も地震がありました。北海道の停電もトンネル事故もありました。神がお怒りになっているのです。昔も天変地異が起こって、みんなお伊勢参りとかしたでしょう。もはや神仏にすがるしか、この国を救えないと思ったんですよ！」

また、通行人に話しかけていた女性運動員の口からは、こんなセリフ。

「いま天照（アマテラスオオミカミ）さまが怒っているの。この地震は、天上界の神々が怒ってるって。3月11日もそうよ。あれね、いろんなこと言うけど、天上界が、あのね、無神論者が多いのよ」

選挙運動というより、まるで人々の恐怖心を煽る宗教勧誘です。都知事選の投票用紙に「天照」「神」などと書く有権者が出てきやしないかと心配になります。天照が都知事になってしまったりしたら、我が日本国憲法が定める政教分離の原則上、困ったことになりそうです（※註）。

いかに宗教法人「幸福の科学」の政党とは言え、09年以降、幾度となく全敗してきた選挙の中でも、こんな切羽詰まった街宣は見たことがありません。幸福の科学のみなさん、何かあったのでしょうか。前日の12月9日から全国の教団施設で上映され始めた、これですか？

天照大神の御教えを伝える ―全世界激震の予言―

■風俗店の客引きよりしつこい

一方のトクマ氏は、路上でこんな選挙運動が行われていたとは知る由もありません。演説を終えると、駅前の歩道で通行人たちと握手し、直ぐ目の前にある「新小岩ルミエール商店街」に“上陸”。

「あらイケメンじゃないの！」

と言って照れくさそうに声を上げる年配女性。

「頑張ってください」

と声をかける、店先の店員。

トクマ氏は精力的に握手をして回ります。

そんなトクマ氏の前方では、何人もの選挙運動員たちが通行人に声をかけ、トクマ氏と握手するように勧めています。

自転車をガッチリ掴んで離さない

もちろん、快く応じる通行人も多かったのですが、中には買い物の荷物を提げて迷惑そうに拒む人や、仕事中なのに声をかけられて不愉快そうに断る店員も。それに対して運動員たちは、尻込みする通行人の背中を手で押したり腕を掴んだりしながらトクマ氏の方に連れて行くなど、かなり強引です。元気な通行人はさっさと歩き去っていきますが、自転車を引いている人や杖をついている人、はっきり断れずに尻込みしたまま立ち止まってしまう人たちは、ことごとく運動員たちの餌食に。年配女性の自転車を掴み、トクマ氏が前にやって来るまで離さない運動員もいました。

杖の老人の腕をガッチリ掴んで離さない

むかし藤倉がよく「すすきの」（北海道札幌市の歓楽街）で目にした風俗店の客引きより強引です。

トクマ氏自身は、通行人や商店街の店員たちに無理を強いることもなく、ごく自然に握手をして回っているのですが、周囲の運動員たちは見境ない勧誘活動に邁進していました。

本来、トクマ氏はロック・ミュージシャンです。ギターを持てば、ファンがわんさか押し寄せるはず。それを、客を半ば無理やりに引っ張っていって握手させるとは、トクマ氏のみならずロックへの侮辱でしょう。

■これは落選運動なのか？

また運動員の中には、トクマ氏の魚釣島上陸について、こんなデマを有権者に吹聴している人も。

「（尖閣に上陸した）中国人は無罪なのに、（日本人のトクマは）有罪にされたんです！」

その運動人に「有罪決まったんですか？」と尋ねると、

「いや、いま裁判中！」

しかしトクマ氏に確認したところ、

「違うよ。（裁判も）まだ。書類送検中だよ」（トクマ氏）

裁判も始まっていないのに、自分たちが支援する候補者を「有罪」だと有権者に宣伝するとは……。

恐怖を煽る宗教トークといい、強引な客引きといい、「有罪」アピールといい、運動員たちはトクマ氏を落選させたいのでしょうか。さっぱり意味がわかりません。

■取材妨害？

本紙既報の通り、幸福の科学学園から“1億円訴訟”を起こされた本紙・藤倉は、幸福の科学の施設とイベント会場への出入りを禁止されています。地方の教団施設にアポなし訪問した際にも、苗字を言っただけで追い出されました。その際、対応に出た教団職員とのやりとりから、どうやら教団内では藤倉についての「手配書」が出回っているらしいことがわかりました。

トクマ氏の街宣取材では、演説が始まる前から、選挙運動員から「藤倉さんですか？」と声をかけられました。手配書は写真付きなのでしょうか。名乗らずとも、信者の皆さんは藤倉の顔を覚えてくださっているようです。

撮影を邪魔する運動員。トクマ氏はのぼりの向こう

そんなわけで、トクマ氏が商店街に入ってからは、のぼりを持った運動員が終始、トクマ氏に向かってカメラを構える藤倉をのぼりで遮って、撮影の邪魔をしていました。その都度、回りこんで撮影位置を変えるのですが、この静かな“攻防”は、420メートルもある商店街を抜けてもなお続きました。

取材の終盤では、トクマ氏が藤倉の質問に答えている真っ最中に、別の運動員が藤倉に体を当てながらカメラの前に割り込んでくる場面も。さすがに露骨すぎるので、藤倉はその運動員に

「取材の邪魔をするように指示でもされてるんですか？」

と声を荒げました。運動員は「されてないです」とニヤけながら引き下がって行きました。するとその直後、今度は、のぼりをもった運動員がまた藤倉のカメラをのぼりで遮り始めました。

ここは天下の公道です。教団施設でも教団のイベント会場でもありません。公道での選挙運動は公衆の面前で行なっているもので、取材されて困るものでもないでしょう。単なる嫌がらせとしか思えません。

「トクマさ～ん、なんかこの人たち、取材を邪魔するように指示されてるみたいなんですけど」

と、すかさずトクマ氏に泣きつく藤倉。それに対して爽やかな笑顔で返すトクマ氏。

「それはだって、（藤倉は）けっこうやりすぎてるだろ～。ダメだよ～」

それでいてトクマ氏自身は取材を邪魔したり拒否したりはしませんでした。街宣の前、藤倉の姿を見つけた時には、

「お～！　美人のカミさん元気か？」

と声もかけてくれましたし、握手もしてくれました。

街宣終了後、現場を去る藤倉の背後で、さきほど体当たりをしてきた運動員が、これみよがしに声をあげていました。

「ただ歩いてただけなのに、妨害だって」

話をしている最中の人間に2度も体当たりして割って入ってくるのが、妨害でなくて何なのでしょうか。一連の取材妨害の様子は、本記事冒頭に掲載した映像にも収められています。

トクマ氏の大ファンである本紙・藤倉の美人のカミさんは、この街宣の映像を見て怒りのコメントを発表しました。

「見ていて悲しくなった。こんなのトクマじゃない。わたしたちのトクマをいいように利用して、本当に幸福の科学はひどい。（前回の都知事選で幸福実現党から立候補した）ドクター中松でも使ってればいいのに。どうにかしてトクマを（幸福の科学から）脱会させたい」

※註
天照大神は今回の都知事選に立候補していませんので、投票用紙に「天照」と書いても無効票になると思われます。