研究団体が「神の声」が聞こえる音響技術を開発＝人道的見地からすでに実験中止に

パープリン音発生装置／提供：下落合音響研究所

音響技術の民間研究団体「下落合音響技術研究所」（村田らむ所長）は、脳の特定の部位が活性化した人にしか聞こえない高周波数の音声を発信することで「神の声」を聞くことができる人間を人為的に作り出す技術の開発に成功したが実験を中止したと発表した。実験は非公開のまま各所に無断でスピーカーを設置して行われていたことから、同研究所では人道的に問題があったとしてすでにスピーカーを回収。スピーカーが設置されていた地域で「神の声が聞こえた」「宇宙人からのメッセージを受け取った」と主張する人々に向けて、「みなさんがが聞いたのは当研究所のアルバイト（時給850円）の声です」と注意を呼びかけている。

この高周波音は、脳の特定の部位が活性化した人にしか聞こえない888テラヘルツ（1テラヘルツは1兆ヘルツ）の周波数で、「パープリン音」と呼ばれる。公園などで若者がたむろすることを防ぐための「モスキート音」（若者にしか聞こえない不快な高周波音）の技術を応用したもの。

「下落合音響技術研究所」では、災害時などに「天罰だ」などと騒ぎたてるばかりで適切な避難行動などを取れない可能性がある人に向けて、避難情報を提供するための音響システムの開発を研究していた。そういった傾向にある人は右脳の一部が突出して活性化していることを突き止めた同研究所は、さらに、その状態の人にしか聞こえない周波数域があることを発見。理論上、その周波数で「神はあなたに避難せよと言っている」などの音声を流せば、災害時などに「天罰だ」などと騒ぎたてる人にのみ有益な情報伝達が可能になり、なおかつその音声が聞こえない健康な人々に混乱は生じない、との結論に達した。

すぐに首都圏を中心に数十箇所にスピーカーを設置し、秘密裏に実用化実験を行った。実際に避難情報を流してしまうと、聞いた人々が避難行動を取り社会が混乱する危険があったことから、当たり障りのない内容の音声で実験が行われた。

「徳島県の川島町、東京・港区白金や泉岳寺周辺では、計10個以上のスピーカーを設置して“坂本龍馬だぜよ”“天照です”“金星から来ました”“アイ・アム・ジーザス・クライストゥ！”“安倍晋三です”などと、その都度内容を変えながら10チャンネル以上の同時放送を行なってみました。例外的に、韓国でも“お前は再臨のメシアだ”という音声を流してみました。富士山の周辺や九州でも重点的に音声を流しました。その結果、神様のお告げを聞いたという人、宇宙人のメッセージを受け取ったという人、自分を再臨のメシアだと主張する人まで発生してしまったのです」（同研究所・村田らむ所長）

実用化実験は1950年代から繰り返されており、これ以降に設立された宗教団体の開祖や代表者は、同研究所の「パープリン音」を聞いた人々である可能性が高いと、同研究所では分析している。

「そう確信した理由は、静岡県富士市に設置されていたスピーカーを担当していた当研究所のアルバイトが、アドリブで『最高ですか～！』を連呼する生放送を行った少し後に、法の華三法行という団体が登場したことでした。そのアルバイトは靴下を履かないまま靴を履いていたので、放送室で私が『足の裏が汚いと病気になるぞ』と説教したことがあるのですが、その際、マイクのスイッチを切り忘れていました。その時点で実験を中止するべきでした。ご迷惑をおかけした関係各方面の皆様には、お詫びの言葉もありません」（村田所長）

スピーカーが多数設置され多チャンネル放送が行われていた川島町や白金、泉岳寺では、歴史好きやオカルト好きのスタッフが、歴史小説や月刊『ムー』などを音読していたこともあったという。テレビのUFO番組や心霊番組をそのままマイクを通して放送するなど、ずさんなケースもあった。

しかし昨年末、一般の人に聞こえない高周波音とは言え各所に無断でスピーカーを設置しているのは法的に問題があるのではと、同研究所は実験の見直しを検討。実験が多数のカルト教団を生み出した可能性が高いこともあり、実験を中止し、スピーカーを全て撤去した。

「現在、パープリン音は一切流されていません。この実験によって“神の声”や“宇宙人の声”を聞いてしまった人たちも、今後はもう聞こえないはずです。もし今後も聞こえると言う人がいたら、それは文字通りパープリンです。周囲の人が、傷つけないようにそれとなく教えてあげてください。ごめんなさい」（村田所長）

同研究所では今度、パープリン音を聞かされ続けて本当にパープリンになってしまった宗教関係者を対象に、補償相談窓口を開設する方針。

※エイプリルフール記事です。わかるよね。