福岡市外郭団体主催の国際フェスタに統一教会系婦人組織が出展

世界平和女性連合が紹介されている地球市民どんたくのHP

11月9日から福岡で開催される『国際協力フェスタ“地球市民どんたく”』に統一教会系の組織である世界平和女性連合（WFWP）が出展することが判明した。

WFWPは同フェスタに10年以上前から参加し、実行委員会副実行委員長まで務めた年まであったという。

福岡市所管の外郭団体が主催し福岡市が共催するイベントにカルト教団のダミー組織が参加するということは、新たなカルト被害が起こりかねない事態である。

何より外形的には行政がカルト教団のダミー組織にお墨付きを与えてしまうということになる。

本紙の指摘に市側は、世界平和女性連合と統一教会との関係について「統一協会との関係を証明するものするものは見出せなかった」「明確な根拠がない」などと回答、今年も引き続き参加を容認する意向を示した。

◆福岡市所管の外郭団体に入り込む

地球市民どんたく実行委員会が入る福岡市役所北別館（近藤将勝氏提供）

今年で15回目を迎える同イベントを主催するのは、地球市民どんたくの実行委員会と公益財団法人福岡国際交流協会だ。

 地球市民どんたくの実行委員会は福岡市役所北別館に置かれた福岡国際交流協会内にある。

福岡国際交流協会は福岡市が所管する外郭団体だ。

以下に『国際交流フェスタ“地球市民どんたく”』に関連する機関・団体・メディアを列記する。

主催： 「地球市民どんたく2013」実行委員会、公益財団法人福岡国際交流協会

共催： 独立行政法人国際協力機構九州国際センター（JICA九州）、福岡市

協賛：公益財団法人西日本国際財団

後援：特定非営利活動法人九州海外協力協会、財団法人福岡県国際交流センター
　　  　朝日新聞社、西日本新聞社、毎日新聞社、読売新聞社、
　　　　NHK福岡放送局、RKB毎日放送、九州朝日放送、テレビ西日本、福岡放送、TVQ九州放送 



過去、福岡市に於いては福岡市人権啓発センター“ココロンセンター”に、やはり世界平和女性連合が団体登録されていたことがあった。この時には全国霊感商法対策弁護士連絡会が福岡市に申し入れを行ない、福岡市が世界平和女性連合の団体登録を抹消したという経緯がある。

その同じ福岡市でこのような事態が起こっていたということは、行政の怠慢とも云える。

◆事務局に質問書

事の経緯と今後の対応について地球市民どんたく実行委員会に質問書をFAXした。

【質問書 2013年10月21日】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　質問書　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１：来月開催される国際地球協力フェスタ　地球市民どんたく2013　の参加団体として『国連NGO世界平和女性連合』が挙げられていますが、『地球市民どんたく2013』実行委員会は応募してきた参加団体の審査に際し、当該団体が統一教会のダミー団体であることを把握されていましたか？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

２：『地球市民どんたく2013』の参加団体募集に際し「※営利活動、布教活動、政治活動を行う団体、公序良俗に反する団体は対象となりません」との記載があります。団体規約によると世界平和女性連合の総裁は韓鶴子（故文鮮明の妻、現在の教団トップ）であり、世界平和女性連合は団体規約に「本会は文鮮明師の提唱される神主義、頭 翼思想を基本理念として運動を展開する」とあるように、統一教会の理念を実行するための団体と言えます。統一教会は霊感商法に代表される営利活動や正体隠 しの勧誘など詐欺的手段による勧誘活動をダミー組織を使って組織的に行ない、多くの社会問題を今なお起こし続けている宗教団体であり、国際勝共連合や世界 平和連合など政治活動を行なう関連団体も多数傘下に保有しています。

　そして、世界平和女性連合の構成員は全員が統一教会信者であり、団体が喧伝する「海外支援」も国際貢献活動を隠れ蓑にした布教活動（海外宣教）の一環として行われているとの指摘もあります。その原資も霊感商法などの不法収益と言われています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

これら営利活動・布教（宗教）活動・政治活動を行なう団体のダミー団体である世界平和女性連合を『地球市民どんたく2013』に参加させることは、当該団体の活動にお墨付きを与えることとなり、新たなカルト被害の発生も懸念されます。このような背景がある団体を『地球市民どんたく2013』に参加させることの是非についての見解をお願いします。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

３： 数年前、福岡市人権啓発センターの登録団体にやはり世界平和女性連合が登録されていたという事案がありました。登録申請の際、世界平和女性連合は文鮮明と の関係などが記載された規約を提出せず、支部（連合会）の規約のみを提出したことが判り、人権センターの登録を外されています。今回、『地球市民どんたく2013』の参加団体募集とその審査に際し、世界平和女性連合が提出した団体規約はどのようなものでしたか？文鮮明や韓鶴子との関係が記された団体そのものの規約であったのか、それとも文鮮明や韓鶴子との関係が記されていない支部（連合会）の規約のみだったでしょうか？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

４：今回、世界平和女性連合と統一教会の関係が判明した現在の段階に於いて、当該団体の参加取消しなど何らかの対応をするご予定はありますか？　

1～3について10月25日に回答があった。

【回答 2013年10月25日】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「地球市民どんたく2013」実行委員会　委員長　牧　忠孝　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１　把握しておりません。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２　当実行委員会では、参加団体の決定にあたり、申込書類やこれまでの当該イベントにおける参加実績をもとに判断しております。申し込み後は、全ての参加団体から出展にあたり、特定の政治活動、宗教活動を目的とする活動紹介等を行なわない旨を記載した参加同意書を提出していただいております。また、当該団体におきましては、長年に渡り参加していただいておりますが、今回の申し込み内容やこれまでの参加実績には、何ら問題等はありませんでした。よって、実行委員会では、参加団体として問題なしと判断しました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３　地球市民どんたくでは、初参加団体のみ定款（または会則、規約など）を提出していただいておりますが、当該団体は３年以上前から継続して参加しており、今回は提出いただいておりません。なお、初参加の年度は文書保存期限を過ぎ、既に廃棄済みのため、当事務局では、定款（または会則、規則など）は保有しておりません。　　　　　

 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
4については翌週回答するとのことだった。

◆実行委員会代表者会議は参加取消し権限を行使せずカルト関連団体を“容認”

事務局によると世界平和女性連合は10年以上前から地球市民どんたくに参加しており、驚くべきことに世界平和女性連合の会員が副実行委員長を務めた年もあったという。

11月5日、4についての回答があった。

【回答 2013年11月5日】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「地球市民どんたく2013」実行委員会　委員長　牧　忠孝　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〔回答〕　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成25年10月30日に、「地球市民どんたく2013」実行委員会委員長と事務局職員が世界平和女性連合のメンバー３名と面談し、事実関係をヒヤリングいたしました。１１月１日、団体の参加取消し権限を有する実行委員会代表者会議を開催し、実行委員長の報告を受けて本件の取り扱いを検討いたしました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１．代表者会議の結論　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（１）当該団体の今回の参加は取り消さない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（２）今後、「地球市民どんたく」の運営に関し、次年度以降の対応を検討する。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２．上記結論に至った理由　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（１）当該団体による公序良俗や法令に反する行為又はそのおそれがある行為を確認できなかったこと。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（２）当該団体の規約にも統一協会との関係を証明するものするものは見出せなかったこと。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（３）当該団体は、これまで長く「地球市民どんたく」に参加してきたが、何ら問題行動はなかったこと　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（４）「地球市民どんたく」は、これまでに築きあげてきた参加団体間の信頼関係を基礎に運営しており、明確な根拠がない中で参加取消等を行うことは、今年度今年度だけでなく今後の運営にも重大な影響を及ぼすこと。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

◆女連の“正体隠し”に再び騙された福岡市

 事務局によると『「地球市民どんたく2013」実行委員会委員長と事務局職員が世界平和女性連合のメンバー３名と面談し、事実関係をヒヤリング』したのにもかかわらず『当該団体の規約にも統一協会との関係を証明するものするものは見出せなかった』世界平和女性連合と統一教会との関係についても『明確な根拠がない』とのことだ。

また、前回の回答に於いて事務局は 『初参加団体のみ定款（または会則、規約など）を提出していただいており』『当該団体は３年以上前から継続して参加して おり、今回は提出いただいておりません。なお、初参加の年度は文書保存期限を過ぎ、既に廃棄済みのため、当事務局では、定款（または会則、規則など）は保有しておりません』としていることから、10月30日の面談の際に改めて世界平和女性連合の規約を確認したと思われる。

 ここで、世界平和女性の規約の一部を示す。

【世界平和女性連合規約】の写しがこの画像だ。

【世界平和女性連合規約】文鮮明や韓鶴子についての記載がある

第2章第3条の目的の項には「これらの目的を達成するために、既存の価値観や主義思想の限界を目の当たりにし、本会は文鮮明師の提唱される神主義、頭翼思想を基本理念として運動を展開する」とあり第4章第10条の世界組織の項には「世界平和女性連合の総裁は韓鶴子女史とし、本会はその世界組織に属する」との記述がなされている。

これでも『明確な根拠がない』と言えるのであろうか？

前述の福岡市人権啓発センターに世界平和女性連合が団体登録されていた件では、同センターが2002年3月に世界平和女性福岡支部を登録した際、団体側が“文鮮明の提唱する神主義を基本理念とすること”や“文鮮明夫人の韓鶴子が総裁であること”についての記述がある【世界平和女性連合規約】ではなく、統一教会との関係が一切記載されていない【連合会規約】や【支部規約】のみを提出していたことが判っている。そのことを知った同センターは、2011年に世界平和女性連合の団体登録を抹消したというわけだ。

【連合会規約】や【支部規約】には文鮮明も韓鶴子も出てこない

 【連合会規約】や【支部規約】には、一切統一教会との関係を窺わせる記述はない。
 今回も「地球市民どんたく2013」実行委員会を所管する福岡市側は世界平和女性連合から 【連合会規約】や【支部規約】のみを提示され、丸め込まれてしまったということなのか。

本紙は同日夜 、文鮮明と韓鶴子に関する記述がある【世界平和女性連合規約】の該当箇所の写しをFAXし、翌6日午後改めて「地球市民どんたく2013」実行委員会に問い合わせた。

担当者によると、30日の面談の際に世界平和女性連合が提出したのは、2006年3月に改正・施行された文鮮明と韓鶴子に関する箇所が削除してある【世界平和女性連合規約】だったという。

更に、ヒアリングの際に世界平和女性連合のメンバーは統一教会との関係を「明確に否定した」という。

そして実行委員会代表者会議は、その回答を疑いもせず受け容れ【世界平和女性連合規約】についても、統一教会との関係を示す記述がない最新の規約のみを見て「客観的に判断」したと答えている。

本紙が示した【世界平和女性連合規約】については「いつの時点のものか判らないし、どういうものかも判らないこれを以って判断材料とするわけにはいかない」「 どれが真実なのかが見えない」とした。

それらを踏まえても最終的な判断としてヒアリングの結果、今年度については参加を認めるとしたそうだ。今後については運営の方法や実行委員会要綱や規約を含めて議論するという。

参加団体間の信頼関係を基礎に築きあげてきたと言う『地球市民どんたく』だが、これだけ明白な根拠を示しても尚、実行委員会はこのカルト関連団体の参加を認めるという。これは市民からの信頼を失うことに繋がるのではないか。　

ちなみに、正体を隠したまま信頼関係を築くというやり方は、統一教会のダミー施設に於いて『正体隠しの勧誘から教化』という過程で日常的に行なわれてきた手口そのものである。　　　　　　

福岡市が社会問題を引き起こしてきた教団の関連団体を今年度も受け容れ、剰え来年度以降もこのまま受け容れ続けることが行政にとって適切と云えるのか？市民をカルト被害から護るべき立場にある市が、当のカルト教団関連団体の活動を後押ししているようでは、市民の安全は担保できない。市の見識が問われるところだ。　　　　　　　　　　　　　　　　


◆福岡在住の評論家も市側の対応を批判


この件にいち早く注目し問題提議をしていた人物がいる。福岡に於いて長年保守系の市民運動に取り組み、統一教会と政治の関係に詳しい新進の評論家・近藤将勝氏だ。近藤氏が本紙にコメントを寄せた。

『9月末に、ある市民の方から「福岡市主催のイベントに統一教会系の団体が参加する」との情報が寄せられました。そこで、福岡市やその関連団体が主催運営する各 種イベントを、調べたところ、毎年、福岡市の外郭団体である福岡市国際交流協会が主催する地球市民どんたくに、統一教会の故・文鮮明教祖の妻、韓鶴子が総裁を務める世界平和女性連合が、アフリカ・ルワンダの孤児救済活動の展示発表を行っていることが判明しました。

そこで、10月15日に福岡市に情報公開請求を行い、同女性連合から提出された誓約書なども入手しました。それをみると、里親募集などのPRや民芸品の販売などですが、販売収益は少額とはいえ、統一教会の活動に使われる可能性があります。

同女性連合は、統一教会の女性信者によって運営されています。福岡だけではなく全国各地の自治体で、その主催する国際交流イベントに於いて展示を行っています。一昨年は、佐賀県主催の同種のイベントでも、問題となりました。

いうまでもなく、統一教会は、霊感商法で一般市民に原価以上の印鑑や壺などを売りつけて、入信した信者には、多額の献金を要求し、その使用者責任について最高裁判決も確定するなど社会問題になってきた団体です。福岡でも、平成22年に福岡県警公安1課 と博多警察署が、統一教会幹部が経営する「サンジャスト福岡」の霊感商法を摘発。不安を煽って水晶玉を購入させた在日韓国人の信者が逮捕されています。さ らに、博多区内にあった教団施設に家宅捜索に入り、関係書類などを押収しています。現在も、公安当局は統一教会を監視対象としています。

そのような背景を持っている団体とわかっていなが ら、福岡市は、これまで参加を認めてきました。私たちから、疑義が出されたことで、当該団体へのヒアリングと実行委員会での協議を行なっていながら、布教活動などを行なっていないから問題なしとしました。以前、福岡市人権啓発センターでも登録団体となっていたことがあり、その際には、登録が取り消されていま す。なぜ、今回は容認されたのでしょうか。

今回の福岡市の姿勢は、統一教会の布教の意図を隠し た対外的な宣伝活動を、行政がお墨付きを与えたと認識されることに他ならず、認めることはできません。当該イベントは、福岡市のみならず、福岡県の外郭団体や在福岡の報道機関なども後援に連なっており、引き続き、市議会や関係機関に対して問題提起してまいりたいと思います。』