13年に続き参院選全国比例区で落選予想候補が統一教会の組織票上積みにより当選

YOMIURI ONLINE開票結果より

また知名度の低い候補者がカルト教団の組織票により当選、国会議員となる。

本紙が既報した様に、今回の参院選全国比例区で統一教会（家庭連合）は、自民党の新人候補・宮島よしふみ（喜文・64）氏への投票を信者に指示、当選は難しいと予測されていたこの清和会準会員を組織票で当選させた。

◆統一教会の組織票で当選か

宮島氏の得票数は129,746票。13年の参院選で同じく当選は厳しいとされていた安倍晋三総理肝いりの候補・北村経夫産経新聞政治部長のために統一教会が集めた組織票は約8万票と言われている（総得票数142,613票）。事情通によると、今回の宮島氏への同教団の組織票数は6～7万票だという。

今回、宮島氏より遥かに知名度の高い現職の堀内恒夫氏は84,597票で落選している。当選した宮島氏への統一教会組織票を差し引くと実質、宮島氏の得票は5～6万票程度とみられ、当選ラインには程遠い。今回割を食ったのは、時点で落選した元鳥取市長の竹内功氏だ（得票数87,578票）。

◆カルト票の恩恵を受ける候補者の“条件”が判明

知名度が劣る人物が約12万票を集め、当選を果たしたカラクリは自明だ。

13年、そして今回の参院選から安倍政権の依頼で統一教会が組織票を投入する“条件”が見えてきた。まず「官邸筋に近い人物」そして「当落予想で当選ラインには到底届かない候補者」「統一教会組織票・6～8万票の上積みで当選ラインに届く候補者」だ。この3つのファクターを満たす人物が直近2回の参院選で恩恵を受けている。

◆“性器にマジックで落書き”いじめ肯定発言の統一教会懇意議員も再選

東京選挙区では、現職の中川雅治（69）自民党総務会長代理・元参議院運営委員長・元自民党政調副会長・元環境次官が当選。中川参議は自身のHPに掲載していた2009年の鼎談記事が「いじめ正当化発言だ」として炎上したが、難なく当選を果たしている。

中川雅治参議のHPに掲載されていた鼎談記事（現在は削除）

「中学時代は男子校でしたが、クラスの悪ガキを中心に皆いつもふざけていて、ちょっと小さくて可愛い同級生を全部脱がして、着ていた服を教室の窓から投げるようなことをよくやっていました」
「当時、テレビでベンケーシーという外科医のドラマがはやっていました。ベンケーシーごっこと称して、同級生を脱がして、皆でお腹やおちんちんに赤いマジックで落書きしたりしました。やられた方は怒っていましたが、回りはこれをいじめだと思っていませんでしたね」


中川氏は統一教会やその関連団体と懇意にしていることも知られている。

2011年12月1日、大田区民ホール・アプリコで開催されたアジアと日本の平和と安全を守る全国大会実行委員会（国際勝共連合と世界平和連合が後援）で「自民党政調副会長として来ました」と来賓挨拶。

2013年7月2日、参議院議員会館で開催された「日韓有識者特別懇親会　東アジアの未来と日韓協力の展望」に徳野英治日本統一教会会長や宋龍天総会長ら日韓の同教団幹部と列席。この件は「政治と宗教の関係について記録するサイト」『Poligion』に掲載されている。

『Poligion』サイトより

2014年10月11日、さいたまスーパーアリーナに2万人の信者を集めて開催された統一教会イベント「祝福原理大復興会」に今回非改選だった柳本卓治参議（大阪）とともに来賓出席。

翌11月11日には八王子で開催された統一教会の会長講演イベントに萩生田光一衆議・自民総裁特別補佐と共に来賓出席している。

◆「有田つぶし」文書に記載の山谷えり子も再選

2009年の参院選で統一教会の支援を受けたと指摘され、国際勝共連合の内部文書（同連合はねつ造と否定）が流出した山谷えり子（６５）元国家公安委員長・元拉致問題担当相は、保守系の各宗教団体からの支持を含む249.844票を得て余裕の再選となった。

有田芳生参議が公開した統一教会内部文書

 山谷参議も統一教会系新聞の世界日報にインタビュー記事が掲載されるなど同教団との関係を指摘されている。

2001年、世界日報に掲載された山谷えりこ参議のインタビュー記事（赤旗より）

◆創価学会以外の宗教団体に国会議員大量擁立の力は無い

全国比例区に於いて非拘束名簿方式を採用する参院選では、統一教会の様な数万票の組織票を計算できる宗教団体が重宝される。
統一教会に限らずっ、数万票単位の組織票を持つ宗教団体は枚挙に暇がない。逆に言うと、単独で政治家を擁立できるほどの組織票を持つ教団は創価学会以外にはないということだ。

今月5日に開催されたLOFT/PLUS ONEでの参院選直前イベントで、菅野完氏が指摘したように、数多の宗教団体の政治行動及び実績について「『創価学会みたいなもんでしょ』と言うのは間違い」なのである。自力で大量の政治家を擁立できる宗教団体は公明党を擁する創価学会以外にない。

業界票に替わる選挙マシーンとしてその比重が増しているとされる宗教票。しかしながら実際には多くの各宗教団体は他の宗教系を含む諸団体と併せて、漸く一人か二人の国会議員を擁立するのが精いっぱいというところなのだ。


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