韓国メディア２誌、統一教会（家庭連合）を「日本国内で認知度が高く影響力が大」と『誤報』？

信者による合同ブログが紹介した“誤報”
（現在は削除）

5月14日に東京・有明コロシアムで統一教会・家庭連合（世界平和統一家庭連合）が開催した『孝情文化フェスティバル in TOKYO』。現在の同教団の最高権力者である韓鶴子総裁が“主役”として登壇した「母の日イベント」にはUNITEの代表学生が2世を代表してスピーチした他、衆参の自民党国会議員二人が来賓出席し祝辞を述べた。

このイベントを取材した韓国の大衆紙が、フジテレビ関係者のコメントとして「日本で家庭連合の認知度かなり高く影響力が大きい」などと報道。
しかしながら、日本の大手メディアが同教団をこのように評価するとは考えにくい。そこで筆者は、フジテレビと統一教会・家庭連合、そして韓国の当該メディアに問い合わせた。

◆韓国メディア2誌が相次いで奇妙な報道

韓国誌・THE FACTの当該記事

事の発端は5月17日、韓国の大衆誌THE FACTが当該イベントについて『◆家庭連合」効果・真の家庭」を中心思想...日本のメディアでも大きな関心　この日の行事で目立った点は大きく2種類だ。 日本のマスコミの関心が意外に大きかったという点とメンバーの青年数が多かったのである。この日の行事を取材しようとしてきた日本のマスコミは、フジTV・朝日新聞・読売新聞グループ傘下中央公論新社など、いわゆる「メジャー」メディアであった。 フジTV関係者は取材の背景について「日本国内で家庭連合の認知度や影響力がかなり高い」とし「家の価値を介して、様々な社会問題を解決し、さらに日韓関係はもちろん、世界の平和を成し遂げなければならないという家庭連合の価値観が日本社会で大きな関心を受けている」』と報じたことに始まる。

韓国誌・時事ジャーナルの当該記事

その後、27日になって韓国週刊誌の時事ジャーナルが、日本統一教会・家庭連合の徳野栄治会長のインタビュー記事の中で同イベントについて『日本の「母の日」である日フジTV、朝日新聞など現地メディアも会場を訪れた。イベントを取材したフジTV関係者は「日本で家庭連合の認知度や影響力が大きい」とし「家の価値を介して、様々な社会問題を解決し、さらに韓日関係はもちろん、世界の平和を成し遂げなければならないという家庭連合の価値観この日本社会で関心を集めている」と述べた』と記載した。

◆日本人信者の合同ブログに転載
そして29日、時事ジャーナルの記事が同教団の日本の信者らが運営する『FAMILY FORUM.JP― 世界平和統一家庭連合会員の合同ニュースブログ ―ブログ』に転載され、その内容に不審を抱いた筆者が取材に動いたという流れだ。

◆フジテレビは完全否定
筆者は31日正午過ぎ、フジテレビに事実関係を問い合わせた。フジテレビからは同日夕方以下の回答があった。「取材をしたのは事実ですが、ご指摘の記事にあるような発言はしておりません」

◆教団広報に質問書
同日夕方、FAMILY FORUM.JPから当該記事が削除された。

筆者は同日夜、教団広報に問い合わせた。

【質問書 2017年5月31日】

質問書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成29年5月31日
世界平和統一家庭連合
広報文化局　
局長　加藤誠也様
　　　　　　　　　　　　ジャーナリスト　鈴木エイト
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

前略
　5月17日に韓国のサイト『THE FACT』が、5月14日に有明コロシアムで貴法人主催により開催された『天地人真の父母様 日本特別集会 -孝情文化フェスティバル in Tokyo 』に関する記事を掲載しました。その中に『この日の行事を取材しようとしてきた日本のマスコミは、フジTV・朝日新聞・読売新聞グループ傘下中央公論新社など、いわゆる「メジャー」メディアであった。フジTV関係者は取材の背景について「日本国内で家庭連合の認知度や影響力がかなり高い」とし「家の価値を介して、様々な社会問題を解決し、さらに日韓関係はもちろん、世界の平和を成し遂げなければならないという家庭連合の価値観が日本社会で大きな関心を受けている」と述べた。』との記述があります。

　また、5月27日に同じく韓国の時事ジャーナルのサイトが掲載した日本家庭連合の徳野会長のインタビュー記事の中にも「日本の「母の日」である日フジTV、朝日新聞など現地メディアも会場を訪れた。イベントを取材したフジTV関係者は「日本で家庭連合の認知度や影響力が大きい」とし「家の価値を介して、様々な社会問題を解決し、さらに韓日関係はもちろん、世界の平和を成し遂げなければならないという家庭連合の価値観この日本社会で関心を集めている」と述べた。」と掲載されています。
時事ジャーナルの当該記事は『familyforum― 世界平和統一家庭連合会員の合同ニュースブログ ―』に『［インタビュー］徳野英治世界平和統一家庭連合日本会長 （韓国・時事ジャーナル）』として訳文付きで掲載されていました。

　本日午後、フジテレビにこの件について問い合わせたところ「取材をしたのは事実ですが、ご指摘の記事にあるような発言はしておりません」との回答がありました。

　また、夕方になって確認したところ、『familyforum― 世界平和統一家庭連合会員の合同ニュースブログ ―』の当該記事『［インタビュー］徳野英治世界平和統一家庭連合日本会長 （韓国・時事ジャーナル）』が削除されていました。

・貴法人は、『THE FACT』や『時事ジャーナル』が掲載した当該記事の「フジTV関係者」の発言内容についてご存じでしたか

・また貴教団は同当該記事に掲載された「フジTV関係者」の発言内容について何らかのかかわりはありますか。言い換えると『THE FACT』あるいは『時事ジャーナル』の取材に対し貴法人の関係者が「フジテレビ関係者がこう言っていた」として、上記内容「日本国内で家庭連合の認知度や影響力がかなり高い」「家の価値を介して、様々な社会問題を解決し、さらに日韓関係はもちろん、世界の平和を成し遂げなければならないという家庭連合の価値観が日本社会で大きな関心を受けている」を伝えたことはありますか。

・『familyforum― 世界平和統一家庭連合会員の合同ニュースブログ ―』の当該記事『［インタビュー］徳野英治世界平和統一家庭連合日本会長 （韓国・時事ジャーナル）』が5月31日の夕刻に削除されたことは貴法人からの指示によるものでしょうか。

以上の点について、2017年6月2日までに回答をお願いします。
草々

◆韓国のメディアに詳しい事情通は「ある可能性」を指摘
THE FACTと時事ジャーナルの当該記事を読んだ韓国メディアに詳しい事情通は、こう推測する。「両誌にほぼ同じ内容が書かれていることから、これはオフィシャルな記事なのではないか。つまり教団からの発表をそのまま書いた可能性がある」

◆韓国誌が記事内容を修正
6月1日、韓国の両メディアの当該記事が以下のように変更された。

【THE FACT　訂正後の当該箇所　2017年6月1日】


THE FACT

『◆家庭連合」効果・真の家庭」を中心思想...日本のメディアでも大きな関心
この日の行事で目立った点は大きく2種類だ。日本のマスコミの関心が意外に大きかったという点とメンバーの青年数が多かったのである。
この日の行事を取材しようとしてきた日本のマスコミ関係者は、「日本国内で家庭連合の認知度や影響力がかなり高い」とし「家の価値を介して、様々な社会問題を解決し、さらに日韓関係はもちろん、世界の平和を成し遂げなければならないという家庭連合の価値観が、日本社会で大きな関心を受けている」と述べた。』

【時事ジャーナル　訂正後の当該箇所　2017年6月1日】

時事ジャーナル

『日本の「母の日」であるこの日の行事を取材したメディア関係者は、「日本で家庭連合の認知度や影響力が大きい」とし「家の価値を介して、様々な社会問題を解決し、さらに韓日関係はもちろん、世界の平和を成し遂げなければならないという家庭連合の価値観が、日本社会で関心を集めている」と述べた。』

「フジテレビ関係者」がそれぞれ「マスコミ関係者」「メディア関係者」に修正されている他、朝日新聞や中央公論新社の名も削除された。

◆教団広報は「誤報」
6月2日、教団広報文化局から回答があった。

【統一教会・家庭連合広報文化局からの回答 2017年6月2日】

2017年6月2日
鈴木エイト様　　

お問い合わせありがとうございます。
貴殿のご質問に対する回答を以下のようにまとめさせて頂きましたので、誤報の拡散防止と真実の伝達への一助を頂きければ幸いです。

　広報文化局では当法人のある教会員からFamily Forumというブログに5月14日の大会の記事が掲載されているとの連絡を受け、同ブログを見たところ、全く当法人が承知していない内容が記載されており、事実として疑わしい内容があったため、それが事実かどうか調査をしました。
　その結果、該当内容の信ぴょう性に大きな疑問が生じたため、さらに事実確認をしたところ、貴殿が指摘した該当箇所は、「THE FACT」の記者の隣に座っていた人の発言内容であることが分かりました。
　しかし当日、「THE FACT」の記者の近くには、いかなる日本の大手報道関係者も座っていなかったことが明白となりました。さらに「時事ジャーナル」は、「THE FACT」から得た情報をもとに当該内容を記載したことも明らかになったため、「時事ジャーナル」にも同じく間違った情報が掲載されるに至ったことが判明しました。
　真実を伝えることを大切にしている当法人として、このような間違いが掲載されている状態を看過することはできないため、ブログ「Family Forum」に対し転載記事に間違った情報が含まれていることを伝え、削除要請をした結果、同ブログでは該当する転載記事の削除要請に応じました。
　さらに転載元となっている「THE FACT」も「時事ジャーナル」にも情報の間違いを指摘し、削除要請をしたところ「THE FACT」も「時事ジャーナル」も当法人の要請に応じ、現在は間違った内容が正されることとなりました。
　貴殿もご承知のように当法人は、いかなる媒体に対しても当法人に関連する誤報があれば間違いを正し、真実を伝えることを常日頃から努めております。今回は事実の誤認に基づく情報であることが明らかになったので、そのことを当該媒体に説明したところ、当該媒体は要請を真摯に受け止め調査し、当法人の要請の正当性を認め、対応をして頂いた多ため、誤報の拡散を防ぐことができました。
　今回の貴殿の質問書において貴殿は肩書きを「ジャーナリスト」としております。ジャーナリストの根幹となる使命の一つは真実を伝え誤報を拡散しないことであると理解しております。貴殿が指摘した内容は明らかに誤報であったことが明らかとなりましたので、その語法の防止に是非ご協力してくださいますようお願いいたします。
　先日、貴殿を「ジャーナリスト」ではなく「反新宗教活動家」と認識していることを伝えましたが、真実の伝達と誤報の拡散防止に努めるなどのジャーナリストとしての使命を自覚し、その使命に沿った活動をしていることが確認できれば、当法人の貴殿に対する認識等が今後変わることもあり得ることを申し添えます。　以上

宗教法人　世界平和統一家庭連合　広報文化局

◆当該メディアは取材源を秘匿
筆者はTHE FACTに対し、何故このような不自然なコメントが掲載されたのか問い合わせていたのだが、５日になって以下の回答があった。
「大変恐縮ではございますが、記事と関連する情報などは外部に公開しないのが弊社の規則でございます。また、お問い合わせの内容（ある日本マスコミの関係者）が取材源を守るというルールに違反するおそれがあると判断しておりまして、頂いたお問い合わせの内容にはお答え申しあげることが難しいです」


◆誰がTHE FACTに話したのか
教団からの回答には『当日、「THE FACT」の記者の近くには、いかなる日本の大手報道関係者も座っていなかったことが明白となりました』とあり、THE FACTの修正後の当該箇所には「日本のマスコミ関係者は」とある。「日本の大手報道関係者」ではない「日本のマスコミ関係者」に該当する人物とはどのような「人物」なのか。
筆者はこの「人物」についての情報を得たが、オフレコで提供された情報につき公表は差し控える。ただし、韓国両メディアの当該箇所の修正は不充分と言わざるを得ないことを付け加えておく。筆者からの照会に「取材源の秘匿」を理由に応じなかったTHE FACTが、教団からの削除要請には応じて当該記事の内容を修正したことをどう捉えるか、真相は未だ闇の中だ。

◆続報に注目
筆者は、同教団の当該イベントに来賓出席し挨拶を述べた国会議員や祝電を寄せた国会議員について質問書を送付した。質問書への各議員の対応について、そして同教団の韓国人幹部による安倍政権中枢の人物に関する発言や筆者の話題まで飛び出した同イベントの報告会『天地人真の父母様主管 韓・日・米 希望前進大会 勝利 特別報告会』の詳細については改めて続報で触れる予定だ。

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