2021年6月24日木曜日

【コラム】ひかりの輪がオウム真理教を脱却できているかを検証する(2)

前回のコラムではオウム真理教とひかりの輪の概略と、ひかりの輪が諏訪大社に頻繁に訪れている意味について紹介しました。

今回は、ひかりの輪が国を訴えていた裁判の判決文を中心に、ひかりの輪とオウム真理教の関連をまとめてみます。

【参照する判決文】
2017年9月25日判決言渡 東京地方裁判所 判決文
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/503/088503_hanrei.pdf
2019年2月28日判決言渡 東京高等裁判所 判決文
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/660/088660_hanrei.pdf


◆施設内にオウム真理教に関連したものがみつかる

ひかりの輪の施設内からはシヴァ神信仰を示すものや、直接オウム真理教に関わるものが見つかっています。

平成23年<2011年>9月から平成29年<2017年>4月までの間に被控訴人<ひかりの輪>の鎌ケ谷施設に対する立入検査が複数回行われた際に,同施設敷地内の車庫内に,松本<麻原彰晃>への絶対的帰依を求める危険な教義が記載された「尊師ファイナルスピーチ」や「ヴァジラヤーナコース教学システム」等の教材多数が,なお保管されていることが確認された

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による

平成21年<2009年>12月10日、平成22年<2010年>6月11日,同年11月1日,平成23年<2011年>8月1日,平成24年<2012年>11月1日及び平成25年<2013年>6月18日に実施された南烏山施設に対する立入調査では,修法室と呼称されていた部屋(平成26年<2014年>9月からは法具室と呼称が変更された。)に,「ミシャグチ神」の額入り写真が掲示されている状況が確認された

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による

南烏山施設に対する立入検査では,施設内に掲示されていた大黒天の額入り写真等と併せて上記ミシャグチ神の額入り写真も撤去されたことが確認されたが,ミシャグチ神の額入り写真については,(略)平成27年<2015年>2月5日,同年11月5日、平成28年<2016年>2月10日,平成29年<2017年>2月8日及び同年7月11日に実施された同施設に対する立入検査において,上祐の居室に設置された厨子の中に保管されていることが確認された
(略)
藤田名誉教授作成の意見書には,「厨子というのは,本来,仏像を収めるための仏具の一種であって,(中略)厨子に収められた仏像は,当然,拝む対象,信仰の対象ということになる。」との記載がある

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による

御頭御社宮司総社の額入り写真については,被控訴人の仙台施設,鎌ケ谷施設,小諸施設,福岡福津施設等の複数の拠点施設に掲示されており,小諸施設においては,ミシャグチ神に見立てた象徴物である土器人形を「ミシャグチ人形土鈴」,「品名:大黒天」などと記載した箱に保管していた

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による

ミシャグチ神は前回のコラムで紹介した通り、上祐さんがシヴァ神と同一視している存在です。
表だってシヴァ神を施設内に掲示したり拝んだりすることは出来ないので、ミシャグチ神に代えているように見えます。


また、ひかりの輪では弥勒菩薩(マイトレーヤ)の像の写真も施設内のよく見える位置に掲示し、YouTubeでも堂々とそれを映しています。
判決文にはひかりの輪の役員や上祐さんの言葉として、弥勒菩薩(マイトレーヤ)をシヴァ大神や麻原彰晃の化身と見なしていた事が載っています。
ひかりの輪役員の言葉
弥勒菩薩とかいう仏像とかは,観音菩薩も非常に似ていて同一性を帯びているとも言われていて,観音様はシヴァ大神の化身とも言われているんですね。この教団にとっても非常に尊師が大切にされていた菩薩様なんですよ。イコール尊師であったりする。

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による
上祐さんの言葉
私はマイトレーヤ正大師と呼ばれて,尊師はマイトレーヤの化身となっています。

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による

表だって麻原彰晃を掲示することはできないので、上祐さんが麻原彰晃の化身とみなしている弥勒菩薩を掲示していると考えられます。


◆教えている事が類似している

判決文にはオウム真理教の教えとひかりの輪の教えが類似している事が示されています。
平成25年<2013年>4月に発行された「現世幸福と悟りの法悟り集中修行」と題する<ひかりの輪の>教本には,「自と他の区別とは,厳密には錯覚であって,実際には自と他を含む宇宙の万物は一体であるという真理を示している。」(10頁)との記載があるところ,松本<麻原彰晃>は,尊師ファイナルスピーチIに収録されている「インド・アメリカレポート2」と題する説法において,「本当は自と他の区別など無意味であるのに,不明瞭性が錯覚を起こさせているわけです。」(949頁)と述べていた。

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による
平成27年<2015年>6月,同年7月,平成28年<2016年>2月,同年8月の説法等において,松本<麻原彰晃>によって「タントラ・ヴァジラヤーナ」の根本とされている「苦の詞章」(自己の苦しみを喜びとし,他の苦しみを自己の苦しみとすること)の重要性を繰り返し説くほか,被控訴人<ひかりの輪>の構成員に対し,必要な殺生があるとの考え方や,アモーガシッディの法則に通じる指導を行う

※「アモーガシッディの法則」(真理の実践を行う者にとっては結果が第一であり,結果のためには手段を選ばないとするもの)

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による
松本<麻原彰晃>は,「チャリヤ・ヨーガ」,「クリヤ・ヨーガ」,「ヨーガ・タントラ」,「アヌッタラ・ヨーガ・タントラ(無上ヨーガタントラ)」の瞑想技術を持っているのは,日本ではオウム真理教以外にはないなどと説明していたところ,被控訴人は,平成19年<2007年>7月付けで発行された「基本修行教本」に,上記瞑想技術を被控訴人<ひかりの輪>の修行体系に含まれるものとして記載し,その記載内容は,被控訴人のウェブサイト上に,平成26年<2014年>8月頃まで掲載されていた。

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による
ものとはいえないが,上祐が被控訴人<ひかりの輪>設立前の平成17年<2005年>5月30日付けのインターネット掲示板に投稿した「戸隠神社の件追記」との記事や,「【年表】」との書き出しで始まる文書では,「聖地」とは,松本<麻原彰晃>による「霊的なエネルギー,経験を授ける儀式」であるイニシエーションに代わるものとして位置付けられていた

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による
以下の引用箇所からは、麻原彰晃への帰依の可能性が否定できないだけでなく、麻原彰晃の言葉を元にしてひかりの輪を作った事を認めてすらいる事がわかります。
被控訴人<ひかりの輪>は,その設立までの上祐らの言動が,弟子として松本<ひかりの輪>の言葉どおりの実践というオウム真理教の原則に反するものであり,その設立等のために松本<麻原彰晃>の言葉を利用したにすぎず,これを帰依の対象にしているのではない旨の主張をする。  しかし,上祐は,同人らが立ち上げたブログ「真実を見る」に,松本<麻原彰晃>によるAlephと別個の団体を設立して存続させることが,松本<麻原彰晃>の意思に沿い,松本<麻原彰晃>への帰依ないし教えに沿うものである旨,松本<麻原彰晃>の過去の言動に縛られて行動することは,盲信であって真の帰依ではない旨を記載していること(認定事実2ウ,エ)が認められるのであり,上記上祐らの言動が松本<麻原彰晃>に対する帰依を示すものでないとはいえない。被控訴人の主張は採用することができない。

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による

判決文の引用以外にも、オウム真理教とひかりの輪の資料を比較すると様々な類似を見つける事が出来ます。



2020年には一般向けトークイベントでクンダリニーヨーガの解説もしていました。
ヨガ、仏教で言うクンダリニーヨーガって言うのがあるんですね。体の中の霊的エネルギー、これをヨガの技法で強化して、背骨のとこから脳幹つらぬいて頭頂まで持って行く。それは伝統的な神経生理的な人類・人間の改変という事で。これも若いときの方が良いですから

※2020年9月7日のLoft PlusOne Westのイベントでの発言

2021年5月にはクンダリニーの事をYouTubeで解説してもいます。


◆組織体制の継承

組織体制もオウム真理教時代と変わりがなく、オウム真理教時代の序列がほぼそのまま継続されています。

Alephの構成員には,平成20年<2008年>11月の時点においても,Aleph及び被控訴人<ひかりの輪>の双方の構成員として報告されている者が合計15名おり,双方の施設に出入りしたり,勉強会に参加している者も複数いた

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による
上祐は、被控訴人<ひかりの輪>の構成員宛ての平成24年<2012年>8月23日付けメールにおいて「(略)団体の位階からしても,教化活動の視点からも(中略)筋だと思います。」と記載した

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による
被控訴人<ひかりの輪>においては,実質的にオウム真理教における位階制度を基礎とした体制を維持していると認められる

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による
南烏山施設や鎌ケ谷施設において,出家制度(集団居住体制)を維持し,出家した構成員から収入を「布施」として徴収し,出家した構成員には毎月現金8000円のみを支給するとともに,各施設に居住する出家した構成員らに,施設の維持管理や各種セミナーの運営事務等を無償で行わせるというシステムを維持している

※2019年2月28日判決言渡の裁判判決文より。<>内、太字は筆者による


(続く)


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