2021年9月21日火曜日

日本脱カルト協会理事・滝本太郎弁護士が引責辞任 7年ぶり2度目の快挙

デマを流した記者会見での滝本太郎弁護士(左、2018年、本紙・鈴木エイト撮影)
 日本脱カルト協会(JSCPR)は9月13日、理事である滝本太郎弁護士が6日付で辞任したと発表した。滝本氏がオウム真理教教祖・麻原彰晃の長男を脅迫犯呼ばわりするデマを流し、8月に民事訴訟で敗訴したことを受けたもの。滝本氏の引責辞任は2014年以来7年ぶり2度目。今年に入ってからの同協会における理事の辞任は、岩野孝之氏(準強制わいせつ容疑で起訴、公判中)に続き4カ月ぶり2人目となる。

 滝本氏は2018年7月、Twitterで自身に対して「殺しに行くぞ」と投稿した人物を麻原の長男であるとして刑事告訴。東京の司法記者クラブで記者会見を開いた際に、その旨を報告した。実際には、投稿した人物は長男ではなく別人だった。会見の最中、本紙・鈴木エイト主筆が「ツイートの主が自分は麻原長男ではないとしている」と指摘したものの、滝本氏は取り合わず、そのまま会見は終了。一部メディアが長男関連の部分を報道した。

 後に滝本氏は発言を撤回して謝罪したものの、長男から民事訴訟を提起された。今年8月4日にさいたま地方裁判所から敗訴判決を言い渡され、双方控訴せず判決は確定(賠償金5万円)。9月13日、日本脱カルト協会はウェブサイトで、この事件について謝罪する内容を含む滝本氏の「理事辞任届」を添えて辞任を公表した。

 滝本氏は2014年に横浜弁護士会から「戒告」の懲戒処分を受けた際にも、理事を辞任しており、引責辞任は7年ぶり2度目。前回の辞任では3年後に会内での理事選挙で再選されたとして復帰していた。

参考:日本脱カルト協会 滝本太郎理事の辞任について

 日本脱カルト協会では、岩野孝之理事が今年1月28日に準強制わいせつ容疑で逮捕され、その後も再逮捕を繰り返し計4度の逮捕。現在、公判中だ。同協会は5月18日に岩野氏の辞任を発表した。辞任理由は一切明らかにしていないが、事実上の引責辞任。その約1カ月後、同協会は6月30日付で岩野氏を会員資格喪失(除名)処分とした。こちらは、逮捕・起訴された事件が理由であるとしている。

参考:日本脱カルト協会 岩野氏に関する報道と理事辞任について
   日本脱カルト協会 当会会員の資格喪失について

 4カ月のうちに2人の理事が続けて引責辞任し、うち1人は逮捕・起訴、1人は2度目の引責辞任という異常事態。20年近く同協会に所属しているという会員が、匿名を条件に取材に応じた。

平和な楽園・北朝鮮(村田らむ撮影)
「異常事態ですか? 全くそんなことはありません。滝本氏が問題を起こすのは、処分されていない件も含めていつものことです。岩野氏の事件は私も驚いてはいますが、協会の理事会は基本的に、問題が起こっても会員に対して隠蔽します。今回の滝本問題にしろ岩野事件にしろ、やはり理事会は会員に事実関係等を報告せず、辞任も決定後に理事会が事後報告しているだけ。会員が意見を言う機会も議論する場もなく、詳細を知らされていない会員たちは意見の言いようもない。万事平穏で、北朝鮮のような楽園です。ですから内部の情報を漏らすと粛清されかねません。記事にする時は絶対に匿名にしてください」(日本脱カルト協会会員の藤倉善郎氏)

 滝本氏がデマを流した麻原長男は、カルト2世の中でもいわば「教祖2世」。三女の松本麗華氏(アーチャリー)など麻原の子どもたちのほか、数年前に幸福の科学を離脱してYouTuberとなった宏洋氏(大川隆法の長男)も同様だ。

「2世問題がメディアでも注目されるようになった昨今、2世たちが社会から受ける差別の問題も指摘されています。当然、教祖の子どもとなればなおのことでしょう。滝本氏の件は、 “カルト問題は人権問題”と主張し2世問題も扱う同協会の理事が、2世に対する人権侵害を行なったという事案。にも関わらず自主辞任を報告するだけで会としての評価すら表明しないのは、理事の責任を不問にするのと同義です。本来、事実関係と協会としての評価やスタンスを明確にして解任すべきでしょう。そもそもあの団体で理事が処分されたケースを私は知りません。逮捕・起訴された岩野氏についても、理事職を自主辞任して形式上“ヒラの会員”になってからの除名処分。もはや人を殺しでもしない限り絶対に理事は処分されないと証明したようなものですね。自主辞任なら、ほとぼりが冷めた後の復帰もさせやすいでしょうね」(藤倉氏)

 とは言え、協会内で無理やり地位とメンツを保ってもらえるのは理事だけだという。

「会員は全く違います。理事や理事会のお気に召さないことがあれば、会員は簡単に切らます。理事を処分する規約はないのに会員を処分する規約だけはある。会員は理事会内で密かに名指しでデマを流されることもあります。だからほんと、このコメントが実名で掲載されたら、私は理事会から何をされるか……」(藤倉氏)

 同一団体で同一人物の引責辞任3度目という大記録達成に向けて、今後まずは滝本氏の理事復帰が必須条件。その障害となる藤倉氏のような存在をしっかり粛清できるかが、日本脱カルト協会と滝本氏にとって鍵になりそうだ。

6 コメント:

Ubnutu初心者 さんのコメント...

人権は大事ですが、果たして報道機関とジャーナリストは取材対象の人権を守っていると言えるのでしょうか?

私にはそう見えない。週刊誌の記事見出しを読む限りでは報道側もまた非人道的行為をしている。

"公人"とレッテルを貼れば何をしても・やっても許されると言う思考が見え隠れしている。そして報道サイドへの反論や批判は許されない。

これは報道機関とジャーナリスト自身が破壊的カルト組織化していると言うことの表れ。

権力の監視などと美辞麗句を並べてもこの点は隠せません。

報道側もまた、自身にとって気に入らない個人や組織・思想などを「粛清」しようとしているのですよ。それが見出しの詐術で表現されている。

匿名 さんのコメント...

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