日本脱カルト協会が世田谷区に要望書「親鸞会への施設提供中止を」

要望書送付を報告するJSCPR公式サイト

日本脱カルト協会（JSCPR）が9月4日付で、世田谷区に対して、浄土真宗親鸞会のダミー団体「歎異抄に学ぶ会」による区の施設利用を認めないように求める要請書を送付していたことがわかりました。要請書では、区の施設利用者に向けて「歎異抄に学ぶ会」の実態と利用中止の理由を告知することも求めています。親鸞会による同区の施設利用の実態については、7月に本紙が「親鸞会が世田谷区施設で偽装勧誘＝区は放置の方針」として報じていました。


JSCPRは、元カルト信者やその家族、各方面の専門からで組織する、カルト問題に関するネットワークです。世田谷区への要望書で求めている要旨は、(1)浄土真宗親鸞会のダミー団体「歎異抄に学ぶ会」への施設提供の中止、(2)中止の理由や「歎異抄に学ぶ会」の実態についての説明を、施設利用者に向けて1カ月間程度表示すること、(3)今後、こうした団体への施設提供がなされないよう十分な確認を行うこと、の3点です。

要望書は、日本国憲法20条・89条に定められた政教分離原則に触れ、実際の公的な施設での宗教活動や宗教勧誘をどの程度許容するかについては自治体ごとに判断が分かれるとする一方、

＜しかし、ダミー団体による講演等は、そもそも「使用目的」や「申し込み団体」等の記載が偽りであるというほかない＞

＜その結果、特定の宗教団体だと明示しないままに勧誘されるなどの具体的被害が出た場合には、自治体が偽りの勧誘をする宗教団体に対して支援をしたとした政教分離原則に明確に違反したと評価するほかない＞

としています。

さらに要望書は、世田谷区の条例には宗教団体による施設利用そのものを禁じる規定はないものの、こうした利用実態は条例が定める「管理上の支障がある」形態での利用であり、区の現状は条例違反でもあるとしています。

要望書は回答期限を設けておらず、現時点では世田谷区の反応は明らかにされていません。JSCPRの代表理事・西田公昭氏（立正大学教授）は、本紙の取材に対して「現時点でのコメントは差し控えたい」としています。

世田谷区における親鸞会の活動実態については、本紙の潜入取材によって、ただ単に施設を利用しているだけではなく、偽装勧誘や親鸞会の宗教行事を行っていることが確認され、映像でも記録されました（本紙「親鸞会が世田谷区施設で偽装勧誘＝区は放置の方針」）。

本紙・藤倉善郎主筆のコメントです。

「親鸞会への施設提供は全国の自治体で行われており、親鸞会の実態を把握できていない自治体も少なくない。本来なら、世田谷区のみが槍玉に挙げられるべき話ではなく、その点は同情する。しかし事実が判明した後も敢えて対応を怠ってきた世田谷区の態度は、区民の安全を守る職務を放棄してまで意図的にカルト宗教に加担する異常なものと言わざるをえない。世田谷区には、JSCPRによる今回の要望書をきっかけとして、自治体として最低限の正常さを取り戻してほしい」（本紙・藤倉善郎主筆）

世田谷区では10月中だけでも、親鸞会の関連団体による仏教講座やアニメ上映会が少なくとも計12回予定されています。ここで利用されている世田谷区の施設は、本紙が報じた成城ホールのほか、せたがやがやがや館、世田谷文化生活情報センター、用賀区民集会所、玉川区民会館、三茶しゃれなあど、宮坂区民センターです。

◇参考サイト

日本脱カルト協会（JSCPR）／世田谷区への要請について
要望書本文（PDFファイル）

◇世田谷区施設での親鸞会偽装勧誘の証拠映像


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