摂理教祖・鄭明析 今月１８日出所予定

　女性信者に対する強姦罪などの罪で１０年間服役していたキリスト教系新興宗教「摂理」（キリスト教福音宣教会）の教祖・鄭明析（チョン・ミョンソク）氏（７２）が明日（２月１８日）、刑期を終えて出所する予定であることが分かった。

摂理教祖・鄭明析

（jungmyungseok.net）

摂理教祖・鄭明析の性的暴行事件

　摂理は鄭明析が１９８０年頃にソウルで立ち上げたキリスト教系新興宗教で、韓国に数万人、日本には４０００人ほどの信者がいると言われる。鄭明析は摂理の設立前に数年間統一教会に所属しており、摂理の教義は統一教会の教義との類似点が多数指摘されている。統一教会で教祖・文鮮明が再臨のキリストであると教えていたのと同様に、摂理でも鄭明析が再臨のキリストであると教えられてきた。

　鄭明析による多数の女性信者に対する性的暴行が明るみに出た１９９９年以降鄭明析は海外逃亡を続けていたが、２００７年に中国で逮捕され、２００９年に韓国最高裁で懲役１０年の刑が確定し、服役した。しかし、摂理は鄭明析が無実であり冤罪によって服役させられたのだと主張している。裁判中、鄭明析が法廷で「私は自分を再臨のキリストとは教えていない」と語ったことから、現在では鄭明析は教団内で「御子（みこ）の分体」であると表現が変わった。

　摂理は教祖による性的暴行に加え、勧誘の際に教団名を名乗らず、一見宗教とは無関係なスポーツや音楽などのサークル活動という形で大学生や高校生を勧誘していることも問題視されている。

電子足輪着用と身上情報通知命令

　今月満期出所する鄭明析に対し、韓国の裁判所が７年間の電子足輪の着用と身上情報通知の命令を下したことも明らかになった。これは韓国の「特定の犯罪者に対する保護観察と電子装置付等に関する法律」に基づいて、特定の人への接近禁止、夜間などの特定の時間帯の外出制限などが対象者に課せられ、それに違反した場合３年以下の懲役または５００万ウォン（約５０万円）以下の罰金に処せられるものである。電子足輪にはGPS機能がついており、居場所を２４時間体制で監視できるようになっている。装着したままの入浴も可能で、外したり切断した場合には直ちに通報される。

GPS付き電子足輪

出所カウントダウンと１１７の祈り

　摂理内では教祖の出所を１０００日前からカウントダウンしており、鄭明析の刑務所での称呼番号が１１７番であることから、夜中の１時と昼の１時と夜の７時の祈りを毎日行ってきたという。出所後の鄭明析に７年間電子足輪がつけられるとはいえ、これまでの被害が教団内部で起こったことを考えると、電子足輪が被害の完全な再発防止とはならないかもしれない。

　教祖の出所を控え、摂理の信者は勧誘活動にも熱を上げているようである。入学シーズンも重なり、摂理は大学の新入生をターゲットとした様々なイベントを準備している。韓国では４０以上の大学や２０以上の高校で、摂理信者がその素性を隠して「大学生活のすべて：大学生活ガイド」という講演をしているという。日本でも教団名を隠した上でスポーツサークルやゴスペルコンサートや演劇公演などの勧誘活動を続けているようである。新たな被害を生まないために、更なる警戒が必要だ。