2019年6月27日木曜日

「自分自身を憎ませるのは精神的虐待では?」同性愛矯正施設の描写が話題の映画原作本、クラウドファンディングでの翻訳出版を呼びかけ

ある海外小説を翻訳出版するクラウドファンディングが話題を呼んでいる。

ストーリーはざっくり言うと「同性愛の矯正施設に送り込まれた10代少女の成長物語」といったところ。その施設での“教育”場面の描写がカルトの人格矯正手法と酷似しているというのだ。

◆サンダンス映画祭グランプリ受賞作


 2018年のサンダンス映画祭グランプリを受賞した『ミスエデュケーション』
 この映画の原作である『The Miseducation of Cameron Post』のクラウドファンディングでの出版の呼びかけに多くの人が賛同を示している。
 著者はロード・アイランド大学の助教授エミリー・M・ダンフォース/Emily M.Danforth。彼女自身もレズビアンであり、実体験と詳細なリサーチから2012年にこのビルドゥングスロマンを書き上げた。

◆発起人・菊池誠教授「少女のサヴァイバルとリヴァイバルを描いた青春小説の傑作」
 クラウドファンディングの発起人は大阪大学の菊池誠教授。原書を読み「LGBTQをテーマにしつつも、ひとりの少女のサヴァイバルとリヴァイバル(再生)を描いた青春小説の傑作」と評価、同書の翻訳本の出版を推した。

◆なぜクラウドファンディングなのか

 呼びかけは優れた洋書のクラウドファンディング出版プロジェクトを手掛けるサウザンブックス社。同社はクラウドファンディングのシステムを活用して、海外の優れた書籍を翻訳出版するサービスを事業化している。クラウドファンディングによって翻訳本に掛かる諸経費を賄い、読者のニーズに沿った本を翻訳出版するというスタイルだ。

◆翻訳家・ナカイサヤカ氏「毒親ではない」「親に認めてもらいたくて頑張っている」

 シラバス(あらすじ)を担当した翻訳家のナカイサヤカ氏は同書で描かれた矯正施設と子どもたちについてこう語る。

「原書を読んだところ、矯正施設の話というのは確かに好奇心をそそる部分で、そういうところで苦しんで頑張る話かなと読んでいったら最後にそうではなかったですね。確かに変な施設なのですが、そこに送り込まれている子たちは同性愛だからというよりは地域や家族の持て余し者で、持て余しちゃった親がそこで自分の努力と(子どものことを)理解するのを放棄して『神様に治してもらいなさい』と送り込んでいる。これは同性愛だけじゃなくて、日本でも不登校の子が送り込まれている全寮制の学校が結構あるのでそっちに近いなと」

「送り込んでいる親たちも毒親ではない。親が子どもを愛していないということも全然なくて。親がキリスト教に熱心になっていること自体にはどの子も『自分もそれに倣っていい子になろう』と親に認めてもらいたくて頑張っている」

「施設では『同性愛はここでは罪なのであなたたちは罪を犯している、そういう風になってしまっているのだから神様に助けてもらうように心から祈りなさい』ということをずっと言われるのですが、それで自己評価を寧ろ下げていく感じ」

◆映画『ミスエデュケーション』

 まず筆者が観たのはDVD化されている映画『ミスエデュケーション』

 舞台は1993年、米モンタナ州の保守的な田舎町。新興系キリスト教団体が運営する同性愛の矯正施設『神の学校』に送り込まれたレズビアンの少女キャメロンの物語。

 それぞれの集団・家庭の規範から外れた「はみ出し者」が集まる“全寮制学校”。
「同性愛は過ち」「他の罪と変わらない」「治療が必要」と語る施設の代表者は、ある卑劣な手段で「“罪”の報い」を受けさせ「私は私」と語るキャメロンの人格、人生そのものを矯正していこうとする。

 過去と向き合い、また抗いながらアイデンティティの喪失と再構築を行う10代の若者たち。キャメロンと親しくなる“級友”は男性と女性の役割が曖昧な環境で育った先住民インディアンの末裔アダムと性に奔放なヒッピーコミューンで育ち母親の再婚相手が福音派だったため施設に送られたジェーン。

 ある事件が起こり、来所した州の調査官と面談するキャメロン。
「虐待や教育放棄がない限りは教育の中身は問わない」と言う調査官に、キャメロンはこう告げる。「自分自身を憎ませるのは精神的虐待では?」

「この場所はおかしい」「酷い場所」「自分を憎むのはもう嫌」キャメロンたちは人生の選択を行う。未来がどうなるかは判らない。ピックアップトラックの荷台。流れる風景と夕日。

 圧制者の下で本来の自分を“治療”された者と自己を取り戻す者、その対比が静かに描かれる。どんなに不確実で苦労するであろう未来でも魂を殺されるよりは自由を選ぶべきというメッセージを感じた。

◆LGBTQ運動の反動

 サウザンブックス社の古賀一孝代表によると、昨年アメリカで公開された同性愛をテーマにした映画『ある少年の告白』の予告編に「アメリカでは7万7000人が同性愛矯正セラピーを受けている」との説明が入るという。
 一時は減ったとされる同性愛矯正施設が再び増加している背景にはLGBTQ運動の反動があると指摘されている。
 特定の宗教団体の規範から外れた2世を当の団体内の施設で矯正するのではなく、それぞれの集団・家庭の規範から外れた「はみ出し者」の収容施設の運営を数多の新興系キリスト教団体が行っているという構図だ。

◆共通項は「人間として自然な感情を罪」とするもの

 特定の枠を設定し、そこからはみ出した者を“病気”と呼び、治療・矯正の対象とする。これは程度の差こそあれ、数多のカルト的団体に当て嵌まることだ。もちろんカルトに限ったことではない、地域、学校、宗教、家庭、コミューン、閉鎖的な集団内では起こり得ることである。

 筆者が想起したのは、2013年夏に千葉県で発生した女子高生行方不明事件。家出を繰り返し2か月半の間失踪していた女子高生が、統一教会の2世だったことを本紙でスクープした。この合同結婚式カップルから生まれた“祝福2世”による脱出劇は数か月で終わり、この2世はその後、韓国の教団聖地・清平での40日修練会に参加させられた。
統一教会の“40日修”には主に性的に“逸脱”した2世が送り込まれている。人を好きになるという自然な感情を押さえつけ“罪”であると刷り込み抑圧する。構造的には『神の学校』と同様だ。
 統一教会の場合、同性愛がNGなのはもちろんだが、相手が異性であっても自由な恋愛は厳禁だ。結婚が教義に組み込まれている団体の場合、恋愛感情事態をコントロールされる。結果、自然な感情を抑圧された2世のうち、少なくない数が“逸脱”することになる。
「善意の人」による自然な感情の抑圧は、問題をより複雑化させる。

◆「悪意なき虐待」

 良かれと思って親が子どもにする行為、親の期待に応えようとする子ども。昨今のスピリチュアル2世の流行りである「胎内記憶を持つ子どもたち」も、親の期待に応えようとして胎内記憶を語り出す事例が多いとされる。

◆優れた書籍を悩める人へ、クラウドファンディングの期限は7月21日。

『The Miseducation of Cameron Post』は、同性愛がテーマとなっている作品ではあるが、同性愛以外の要素も多く含まれている。性的マイノリティのカテゴリーだけではなく、カルト団体及びカルト宗教団体の2世問題にも通ずる内容だ。

 特異な環境下で育った子どもたちが思春期を迎え、アイデンティティクライシスに直面する。そんな時に確固たる自己形成の一助となるのが優れた書籍である。フィクション・ノンフィクションを問わず、そのようなニーズに応じる書籍は数えるほどしかないのが現状だ。

 理不尽な環境下で生き抜くこのビルドゥングスロマンを、現在、様々な問題に直面し生きにくさを感じている若者たち、そして様々な過程を経てきた人に届けるために、この『The Miseducation of Cameron Post』の翻訳本出版が実現してほしいと思う。


~『The Miseducation of Cameron Post』翻訳出版クラウドファンディングHP~
10代レズビアンのリアルな青春とサバイバルを描いた映画原作小説『The Miseducation of Cameron Post』を翻訳出版して若者に届けたい!


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3 コメント:

匿名 さんのコメント...

>クラウドファンディングの発起人は大阪大学の菊池誠教授。
どなたかと思えば、放射能デマ批判のキクマコ教授ですね。

匿名 さんのコメント...

福音派というのはプロテスタント系の新興宗教で、創価学会や顕正会と同じものです。イスラム原理主義なみに狂信的で、アメリカではLGBTの人たちが危害を加えられることもあります。
日本でもLGBTのためのキリスト教会があるのですが、プロテスタント系の新興宗教の人たちが教会にやってきて、「この教会は異常な人たちの集まりです!」と大声で嫌悪感を示し妨害をするやに聞いております。

匿名 さんのコメント...

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書かれている内容は事実無根です。
彼らは詐欺行為を働くような人たちではありません。
警察を介して話もしています。

http://dailycult.blogspot.com/2010/02/blog-post.html?showComment=1533552535014&m=1#c2107796487707263856