2020年12月24日木曜日

取材者による建造物侵入事件の公判始まる、被告人ジャーナリストが「私は無罪」と主張

被告人藤倉善郎氏(左端)と弁護団(法廷画家“BAN苦死慰”氏作)
 22日午後、東京地裁においてジャーナリストの藤倉善郎氏(本紙総裁)に対する建造物侵入事件の初公判が行われた。傍聴取材メモから法廷画とともに当日の模様をレポートする。

厳戒態勢での初公判

 公判が行われる東京地裁715法廷前には20人以上の傍聴希望者が並んだ。裁判長の判断で傍聴席へのスマートフォンを含む一切の電子機器の持ち込みが禁じられ、鞄などの手荷物を裁判所係員に預ける厳戒態勢が採られた。新型コロナウイルス対策として約半数の傍聴席が使用不可となっており、傍聴整理券を手にしたのは24人に限られた。
 傍聴者には藤倉氏の支援者の他、報道関係者も散見された。幸福の科学関係者では信者弁護士を含む3名の教団職員の姿が確認できた。この内2人は関係者席に座っており、整理券の配布列にも並んでいなかったため特別傍聴と思われる。
傍聴席には3人の教団職員の姿も(法廷画家“BAN苦死慰”氏作)

公判検事による訴状朗読

 3人の裁判官が入廷、審議が開始された。まず検察官が訴状を朗読、“公訴事実”として以下の内容を述べた。
「被告人は正当な理由がないのに、平成30年1月17日午後1時44分ごろ幸福の科学総合本部事務局総務部長三浦英俊氏が看守する初転法輪記念館に無施錠の4階西側出入り口から侵入したものである」
 続いて読み上げた“罪名及び罰条”は「建造物侵入、刑法130条前段」
訴状を朗読する公判検事(法廷画家“BAN苦死慰”氏作)

「私一人の事件ではない」

 この訴状に対し被告人の藤倉氏は無罪を主張、取材の自由・国民の知る権利を守るよう裁判官に公正な判断を求めた。
「立ち入ったのは事実だが建造物侵入罪には当たらない、私は無罪です。表現の自由に対する過度な規制は表現の自由への萎縮効果になる。今回の事件は私一人の事件ではなく全てのジャーナリスト、メディアの取材活動、全ての国民の知る権利に関わる事件だと思っている。政治団体や教育団体を内部に含んでいる幸福の科学について慎重にご審議いただき、報道、取材の自由及び国民の知る権利に奉仕するための表現の自由に充分ご理解いただいて、私に対して無罪の判断をいただきたいと思います」
裁判官に無罪の判断を求める藤倉氏(法廷画家“信濃川フェニックス”氏作)

冒頭陳述

 公判検事の冒頭陳述は形式的なものに終始した。事前に何度も立ち入り禁止を告げられていたにもかかわらず“被害法人”の関連施設に立ち入ったことが建造物侵入罪に該当するとの内容だ。
 一方、弁護側の冒頭陳述において弁護人の久保内浩嗣弁護士(田村町総合法律事務所)は「ジャーナリストの取材はどこまで許されるのかが本件のテーマ」と言及、「取材の自由が認められている藤倉氏の取材活動は社会的影響力を有する幸福の科学について国民の知る件に資するものであり、ジャーナリストとしての正当な業務行為である」と述べ、本件公訴提起が公訴権濫用であり検察官は起訴すべきではなく“無罪”と主張した。
冒頭陳述を行う久保内弁護士(法廷画家“信濃川フェニックス”氏作)

裁判の争点は7つ

 裁判長から本件について以下の7つの争点が示された

・本件の公訴提起が公訴権濫用に当たるか
・被告人の行為は侵入に該当するか
・三浦英俊氏は看守者に当たるか
・被告人に故意があったか
・被告人の行為に違法性があるか
・被告人の行為は正当業務行為に当たるか
・被告人の行為に建造物侵入罪を適用することが取材の自由を侵害し適用違憲となるか
初公判に挑んだ藤倉氏の近影(法廷画家“信濃川フェニックス”氏作)

証拠取り調べ

 証拠の取り調べにおいて、双方から興味深いデータが提示された。
 検察は平成24年11月に当時の教団広報局部長から藤倉氏へ掛けた電話のやり取り、教団関連施設への立ち入りやグループの行事への入場禁止を告げる録音データを流した。当該音声データの内容から、“立ち入り禁止”“出入り禁止”の理由を尋ねる藤倉氏に同部長が「こちらの判断で」と回答し、藤倉氏が「では一般公開施設についてはこちらの判断でやりますので」と返答していたことが明らかとなった。
 弁護側代理人の角野太佳弁護士(リンク総合法律事務所)は、藤倉氏が初転法輪記念館に入る前から外に出るまでを撮影した録画データを上映。藤倉氏から「最初、あれなんですか、どこか別のところにお声掛けしたほうが。受付があった」と訊かれた同施設職員の五明智子氏が「いえ、大丈夫です」と答えていたことを示した。
弁号証要旨を告知する角野弁護士(右)と傍聴取材を行う筆者(左)(法廷画家“BAN苦死慰”氏作)

 裁判長から今後の日程をが読み上げられ、この日の公判は閉廷した。予定通りに審議が進んだ場合、3月15日に判決言い渡しとなる。次回期日は年明け1月8日、幸福の科学総合本部事務局総務部長三浦英俊氏と初転法輪記念館施設職員の五明智子氏の証人尋問が行われる。

被告人への独占取材

 公判終了後、藤倉氏は本紙の独占取材に「幸福の科学だけではなく検察からも自分の取材の自由と表現の自由を守らなくてはいけなくなってしまったのは非常に不本意だが、何とか頑張って『取材の自由だからいいんです、無罪!』という前例を作りたいと思う」と語った。
 
◆クラファンも始動

 また、刑事被告人にされた藤倉氏を支援するため新たなクラウドファンディングも始動するという。詳細は今後『幸福の科学取材で刑事被告人にされた藤倉善郎氏を支える会(幸藤会)』HPで発表される。

公判日程

東京地裁平成30年刑(わ)第1508号
建造物侵入事件 被告人 藤倉善郎
東京地裁715号法廷
 
第1回(終了)
2020年12月22日13:30~15:30
冒頭手続及び証拠調べ手続
 
第2回
2021年1月8日13:30~17:00
証人尋問手続(幸福の科学職員2名)
 
第3回
1月19日10:00~12:00
証人尋問手続(幸福の科学職員=元広報局長)
 
第4回
1月26日13:30~17:00
被告人質問
 
第5回
2月9日13:30~17:00
証人尋問手続(宗教社会学者)

第6回
2月17日13:00~15:30
論告・求刑
 
第7回
3月15日
判決言い渡し(予定)


~取材協力~

法廷画家“BAN苦死慰”氏
法廷画家“信濃川フェニックス”氏

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