【映像流出！】幸福の科学学園をめぐる教団の内情が明らかに

学園関西校の開校に反対する住民たちを「最強最大の敵」と罵る林副理事長（幸福の科学「教育事業成功大会」映像より）

滋賀県大津市で今春の開校が予定されている幸福の科学学園関西校が昨年末、校舎を完成させ竣工式も終了。県の私学審議会で開校の可否が諮られますが、認可を受けていない段階で関西校ではすでに入試を行なっています。
しかし依然として地元住民の理解を得られていません。大きな要因となっているのが、2011年6月に教団内イベント「教育事業成功大会」で学園の林雅敏副理事長が行った住民敵視発言です。直後に音声の一部が外部流出したことで発覚しましたが、現在、「教育事業成功大会」の映像全編も外部に流出。本紙もその映像を入手しました。

（上記映像はYouTubeにより削除されました。現在、本紙では対応を協議中です。しばらくCMをお楽しみください↓）




■市議会での質問までぶっ潰した

関西校の開校が予定されている大津市仰木の里学区では、学園計画が発覚した2010年から地元住民が反対運動を展開。同年11月から翌2011年8月までの間に、仰木の里学区内だけで約8000筆（全署名数は約3万筆）を集めています。仰木の里学区内の署名者は全世帯の76%に当たり、予定地周辺には学園建設に反対するのぼりや垂れ幕、ステッカーが設置されています。

「教育事業成功大会」は、すでに関西校建設が地元住民の反対の声が上がっていた2011年6月18日、幸福の科学東京正心館で開催され、全国の教団施設に中継されました。この様子は映像で保存され、その後も信者たちが全国の教団施設で視聴可能な状態にありました。

市議会での質問なんか握りつぶしちゃうんだぞ！

「教育事業成功大会」では、学校法人幸福の科学学園の林雅敏副理事長が、地元住民の反対運動について「左翼」「唯物論」「最強最大の敵」などと言い放ち、地元住民に対する信者たちの敵対心を煽りました。そればかりか林副理事長は、大津市議会で学園問題について質問する議員がいる場合には事前に情報をキャッチして「潰しております」とも発言。関西校開校を強行するため地元政界にまで不当な圧力をかけていることを告白しました。

一連の発言は、教団内部から録音が流出したことで発覚。仰木の里の人々を仰天させました。

その一方で学園側は、住民側が行った建築審査会への申し立てや、裁判所への執行停止処分申し立てが却下されたことをもって「地盤の安全性は証明された」と主張。お役所がいいと言っているのだから住民の声など関係ないとばかりに関西校の施設建設を進め、昨年12月に完成。竣工式をとり行いました。

昨年末から林副理事長は、仰木の里学区の自治連合会会長に面談を要求。連合会側は林副理事長に宛てた書面で、住民敵視発言や市議会での質問潰し発言の真意等を尋ねましたが、林副理事長はまともに返答しませんでした。そのため自治連合会会長との面談は実現しないまま、相変わらず対話が成り立たない状態が続いています。

■口が滑った？

林副理事長は問題の発言について、1度だけ地元住民の前で釈明したことがあります。2011年9月に行われた、学園、UR都市機構（学園予定地の売却主）、滋賀県、大津市による協議会でのことです。林副理事長は、問題とされている発言について「正直言うと、ちょっとまあ口が滑りました」として謝罪しました。しかし、具体的に発言のどの部分が事実と違うのかについて明確にはせず、また「撤回」したのは、住民を「左翼」呼ばわりした発言についてだけ。「最強最大の敵」発言や、反対しているのは住民のごく一部であるとする発言などについては謝罪や撤回を行わず、かえって協議会を紛糾させました。

「教育事業成功大会」での林副理事長は、反対運動について「教育界の左翼」「左翼の弁護士」「左翼の議員」「左翼のマスコミ関係者」といった言葉を使って、終始一貫して繰り返し「左翼」呼ばわりしています。口が滑ってちょっと一言「左翼」という単語を口にしてしまったという流れではありません。今回入手した映像を見ても、穏やかな表情で落ち着いて喋っており、とくだん興奮状態にあるようにも見えません。

また、仰木の里の住民たちを「最強最大の敵」と言い放った言葉も、林副理事長自身の言葉としてではなく、かつて東京・白金や宇都宮市、日光市での教団施設建設に関わった経験を持つほかの教団関係者の言葉として紹介しています。勢いで自分の本音がポロっと出てしまったという文脈ではなく、この場面でも、林副理事長はやはり穏やかな顔で落ち着いて喋っています。

■竣工式がらみでもデマを発信

地元で配布されたデマチラシ

幸福の科学学園関西校は昨年12月にいちおう施設が完成し、12月25日に竣工式をとり行いました。

明けて2013年1月25日に住民との「対話会」（学園側が住民側に日程調整することもなく一方的に繰り返し開催して、大半の住民から無視されているイベント）を開催するとして、学園側が周辺地域の住民宅にチラシをポスティング。このチラシの中に竣工式について触れている部分が、またさらに地元住民を激怒させました。

「チラシに、竣工式に“地域の代表の方にもご参列いただき、「学園に期待する」との有難いお言葉も頂戴いたしました”と書かれていたのです。ところが、地域の代表である自治連合会長は竣工式には出席していませんでした。地元で“地域の代表”と言えば自治連合会の会長です。会長のもとには、このチラシに驚いた地元住民からの問合せが殺到して、会長が“竣工式に出席した事実はない”という旨の告知を地元の全戸に配布する騒ぎになりました。学園側は、地元住民を“最強最大の敵”と敵視して、住民からの質問上への回答を拒否し、説明会の開催も拒否してきているくせに、まるで地元住民の代表者が学園を歓迎しているかのようなデマを地元に流したのです」（地元住民）

竣工式には、ある自治会の会長が参列したのですが、その人は学園開講予定地のある「仰木の里学区」ではなく、仰木の里学区自治連合会の加盟自治会でもありません。別の学区にある自治会の会長でした。

このデマチラシもまた、林副理事長の名前で配布されていました。

■UFO技術・霊界技術を真顔で語る“大学”

さて、「教育事業成功大会」の映像に話を戻します。

UFO研究をする予定の幸福の科学大学未来産業学部（幸福の科学「教育事業成功大会」映像より）

この映像には、林副理事長の演説のほかにも、幸福の科学学園の本当の理念等を垣間見ることができる発言が多く含まれています。たとえば幸福の科学大学（2015年に千葉県長生村で開学予定）についての、学長予定者（当時）へのインタビュー部分。

「理科系は、未来産業学部。未来産業といいますと、植物工業やロボット、宇宙工業もありますが、みなさんもご存知のように宇宙時代の技術、つまりUFOの技術とか霊界科学の技術をしっかり研究して、オンリーワンの大学にしていきたい」（学長予定者）

UFO技術とか霊界科学の技術とかを研究する大学なんて、本当に認可されるのでしょうか。こんなことを、いい歳したオジサンが真面目な顔で語っています。大丈夫でしょうか、この大学。

映像では、学園関係者たちが、大川総裁への強力な個人崇拝と教育事業の教団運営上の意義、教義上の意義などを語っています。穏やかに丁寧に、そして時には笑顔も交えて、抽象的な話では非常に美しい言葉が並びます。ところが、いざ具体的な話になると、前述のように急にとっぴな話が飛び出すといった調子。真面目な宗教イベントのような装いと、トンデモ決起集会とも言えるような発言とが混在している点が、幸福の科学という宗教の性格をよく表しています。

■生徒たちが語る勧誘活動と布施集め

映像には、2010年に開校済みの学園那須校の生徒たちも多く登場します。「探求創造科発表会」のビデオが上映されるシーンでは、学園那須校の生徒たちが「世界伝道」への決意を語っています。

「私達の使命は、やはり伝道なんです。伝道なんです！　私は、この人生一生を主（大川隆法総裁）に捧げていきたいと思います。そしてアメリカ伝道や世界伝道を成功させ、宇宙にも広がっていきたいと思います」（男子生徒）

にこりともせずにこんなことを語るような生徒を作ることが学園の目的なのだとすれば、異常としか言いようがありません。

ダンスを披露した那須校のチアダンス部の生徒も、こんな発言。

「私たちは日々、主の素晴らしい方を伝えるために練習しています。私達の使命はこの素晴らしい法を世界の人に広めて、この幸福の科学を世界の人に広めることだと思います」

学園那須校で「経営者を目指して勉学に励んでいる」という生徒へのインタビュー映像では、男子生徒が

「起業家になって、将来この団体（幸福の科学）に10億、20億とお布施できるような大黒天になる」

そして信者たちに向けて、学園事業に対するお布施に感謝する言葉。お布施については、喜島克明校長が「植福（お布施）の方、是非宜しくお願いします」と挨拶したり、映像の中で様々な教団関係者が繰り返し口にしています。

「教育事成功大会」では、別の場面での大川総裁の講演映像が流されており、その中では学園の生徒たちが社会に貢献していくといった趣旨の大川総裁の言葉が登場します。しかし映像に登場する生徒たちの口から飛び出すのは、「幸福の科学」を世界一にするだの教えの素晴らしさを広めるだの、社会のためではなく教団組織のための発言ばかりです。何か崇高な宗教性が語られているわけでもありません。とどのつまりは「伝道とカネ」の話ばかり。それを非常にまじめに真剣な顔で語っています。

同学園は、教育機関というよりも、「多額なお布施を出す熱心な信者」や「勧誘戦士」を養成する教団の教化組織にほかならないように思えます。

このような学校に、自治体からは血税が投入されています。栃木県は開校初年の2010年度と翌年度に計約1億2000万円を補助金として支出し、2012年度以降は年間1億円を超える見込みです。関西校が開校すれば、滋賀県もこの学校に税金をつぎ込むことになります。


■学園祭の映像も

幸福の科学学園「大鷲祭」映像より

実は、「教育事業成功大会」のほかにも、学園の文化祭「大鷲祭」の映像も外部に流出しています。その一部は、本紙・藤倉が昨年11月に『週刊新潮』で学園の実態をリポートした際に参考にしていたものです。

この中に登場する中学1年生のクラスによる演劇「龍馬ヒストリー」では、龍馬役の生徒が

「わしゃあ今、幸福実現党の応援団長をしちゅうぜよ！」

と言い放ち、舞台上のスクリーンに幸福実現党のロゴマークと龍馬の肖像が映し出されます。日本が中国や北朝鮮に侵略されたという設定での政治演劇もありました。生徒の自主企画とされていますが、学校内のイベントで特定政党の宣伝を学園側が許可している時点で、学園の政治的中立性が疑われます。

幸福の科学学園「大鷲祭」映像より

言うまでもなく、「主エル・カンターレ（大川隆法総裁）」を称える個人崇拝演劇もあります。また、教団が「反重力装置の実演に成功」などと喧伝した、理科部の子供たちによる実験の映像もあります。これは幸福の科学の機関誌『ザ・リバティ』が「反重力装置の実演に成功」などとして喧伝した実験で、実験の展示スペースには、堂々と「UFOの研究」と書かれていました。

「大鷲祭」の映像からは、学園が子供たちに科学的思考や良識に反した教育を行っている“成果”がうかがえます。教団の性格同様、学園における生徒たちの活動もまた、悪意のない真面目な、かつトンデモな価値観の実践であることがよくわかります。

■映像の公表について

これらの映像は、一般公開されていません。中でも「教育事業成功大会」については、仰木の里の住民側が全貌を明らかにするよう学園に対して求めていますが、学園側は「内部の宗教行事として催されたものですので、公開する必要はない」として拒否してきました。

しかし、いかに宗教団体の学校とは言え、県の認可（大学については文部科学省の認可）を受けて公金による補助を受けて開校、運営されます。その学校の実態や理念を示す情報は、公共の利益にかかわるものです。

これらの映像が教団内部から流出しているという事実、及びその映像の内容は、全国の複数箇所で幸福の科学学園の学校が開校されようとしている現在、非常に重要なニュースです。そこで本紙では、一連の映像を一般公開することとしました。本紙による編集でカットあるいはモザイク処理した部分は、以下の部分です。

・学園生徒たちの顔や氏名が識別可能なシーン等、生徒の人権に関わる部分（モザイク処理部分は全て本紙によるものです）。
・学園の実態と無関係なシーンや、具体的内容に乏しいシーンなど、部外者が見てもとくだん参考にならないシーン。

【お知らせ】
2月7日、宗教法人幸福の科学からYouTubeに対する著作権侵害申立により、本紙がYouTubeを利用して公開した上記「幸福事業成功大会ほか」の映像が削除されました。現在、閲覧が不可能な状態となっております。編集部で対応を検討中です。（2013.02.07 11:00）