「宗教団体じゃないんですよ」宗教法人：世界平和統一家庭連合（統一教会／家庭連合）の幹部候補生が伝道研修で偽装勧誘

教団幹部候補生による偽装勧誘現場を直撃取材

統一教会（家庭連合）による偽装勧誘の実態がまたひとつ明らかとなった。

研修の名目で行なわれている街頭伝道の場で、教団の幹部候補生が宗教団体であることを隠したまま偽装施設への勧誘行為に及んでいたことが判明したのだ。

同教団による偽造勧誘を長年に渡って調査してきた本紙・鈴木エイト主筆は、勧誘現場の実態を撮影することに成功。更に当該偽装施設を直撃取材した。

そして、これら教団ぐるみの偽装勧誘疑惑について統一教会（家庭連合）本部から回答を得た。



◆「え？宗教なんですか？」呆れる勧誘対象者

2月上旬、新宿駅南口の路上に於いて、大学生と思しき男性がアンケートを持った男性二人組に捉まっている現場に遭遇した本紙・鈴木エイト主筆。

早速介入した鈴木主筆が、アンケート勧誘員を問い詰める。



――何これ？

「これはアンケートです」

――君たちは誰？

「SYCです」

――ん？

「家庭連合です」

―― これ、宗教団体の勧誘であることは彼に伝えたの？

「宗教団体じゃないんですよこれ。結構間違われるんですけど」

――宗教団体でしょ？家庭連合・統一教会でしょ？

「あ、そこの・・・・」

――宗教の勧誘だと彼に伝えた？

「・・・宗教の・・・勧誘っていうのは・・・・・、勧誘じゃないから伝えてないです」

――だって勧誘でしょ？統一教会のビデオセンターでしょ？

「後で詳しく話しましょう」

――「後で」じゃなくて彼に今 ちゃんと説明しなきゃダメ

「結構その辺、グレーゾーンなんですよね」

――グレーじゃない。自分たちが統一教会信者であることも宗教団体への勧誘を目的としていることも隠していて完全に正体と目的を偽ってる。最初にそれをちゃんと告げないと彼が自分の採る行動の判断に際して必要な情報を与えないまま誘導することになる。完全な不法行為だよ

「迫害はやめてください」

――迫害？教義の内容については一切触れてないけど？

「あっちで国際勝共連合が演説しているから、もうそっちへ行ってください」

訊けば、杉並の青年部から勝共連合の街宣ビラ配りに一人が動員されたという。

アンケートに答えていた男性はこう呆れた。

「え？宗教なんですか？」


◆偽装施設で研修する幹部候補生

勧誘員が名乗ったSYCという施設名。本紙では2014年11月に阿佐ヶ谷文化フォーラム（ABF）勧誘員による偽装勧誘現場取材の際、「SYC」の名を聞いていた。

宗教勧誘目的を秘匿、個人情報記入欄があるアンケート用紙

『青年アンケート』「ご協力ありがとうございます。統一原理はご存知ですか？」

本紙が入手したSYCのチラシ

所長もアドバイザーも偽装勧誘員出身だ

勧誘していた信者は26歳の名古屋地区のCARP（原理研）出身者と25歳の祝福二世だ。共に近い将来、松濤の教団本部で要職に就くという幹部候補生で、一連の勧誘行為を「研修」だと明かした。

◆SYCを訪問、実態が判明

同日、SYCを訪ねた。JR阿佐ヶ谷駅から徒歩で数分、中杉通りに面したビルの3階がSYCだ。郵便受けと案内板にはSYCの表示は無くABFとのみ表示されている。ABFとは阿佐ヶ谷文化フォーラムの略で、やはりビデオセンターと呼ばれる偽装勧誘施設だ。

応対したのは普段、新宿駅周辺で偽装勧誘をしているオバサン信者の一人だ。

入手したSYCのパンフレットを示し、質した。

――これって此処ですか？

「は？違いますけど」

何故か否定するオバサン信者。

――所在地が堀野ビル2階ってなってるけど？

「あ、そうですね。ここですね」

一転、あっさりと認める。

いつも新宿駅西口で偽装勧誘をしているオバサン信者のリーダーが闊歩

SYC兼ABFの内部

SYC久保田所長は長年街頭勧誘に従事、本紙・鈴木主筆とも顔見知りだ

その後応対したSYCの久保田所長にが明かす。「ＡＢＦの中にＳＹＣがあるんです」

どうやらABFが婦人部でSYCが青年部管轄という区分になったようだ。

しかしながら施設内部の状況を見る限りその様な「住み分け」が為されている形跡は感じられなかった。

◆教団本部広報に疑惑を直撃

証し（明かし）伝道の実践を標榜する教団本部だが、幹部候補生の伝道研修で行なわれていた偽装勧誘の発覚は、これら一連の勧誘行為が教団主導による組織ぐるみの不法行為であると疑わせるものだ。

教団本部広報局に対し、疑惑を問い質した。

【教団幹部研修に於ける偽装勧誘について　やや日刊カルト新聞　鈴木エイト　2016年2月28日】

世界平和統一家庭連合（世界基督教統一神霊協会）広報局御中　澤田拓也様

やや日刊カルト新聞の鈴木エイトです。

2月上旬、新宿駅南口に於いて2人の家庭連合（統一教会）信者によるアンケート伝道現場に遭遇しました。
2人を誰何すると「SYCです」「家庭連合です」との回答。宗教団体の勧誘であることを勧誘対象者に伝えたか訊くと「宗教団体じゃないんですよこれ。結構間違えられるんですよ」と宗教団体であること自体を否定しました。
重ねて「宗教の勧誘だと伝えた？」と追及すると「宗教の勧誘じゃないので伝えてないです」と宗教勧誘であることを否定しました。
二人はY 野とYと名乗り、それぞれ二世とCARP出身者であると明かしました。そして松濤本部の幹部候補生研修としてアンケートを行なっていると話しました。

SYC（杉並YOUTH CULTURE）は阿佐ヶ谷のビデオセンターABF（阿佐ヶ谷文化フォーラム）の青年部による新たなビデオセンターであることが判っています。

信徒が自主的に運営しているとの名目のこれらビデオセンターですが、教団の指示による人事異動があるなどその実態は教団による指揮系統下にあると捉えています。なにより幹部研修をSYCで行わせていること自体が、その証左だと思います。

教団施設への直接伝道ではなく、間に“信徒が自主的に運営する”施設を挟むことで「宗教の勧誘ではない」と言い張るのは実態とかけ離れています。

アンケート用紙には「統一原理はご存知ですか？」としか印字されておらず、勧誘対象者の名前・生年月日・住所・電話番号・メールアドレスなど個人情報を記入する欄があり、これら個人情報を正体と目的を隠したまま不当に得ようとする意図は明白です。
教団松濤本部は、将来本部職員となる幹部候補生に対し、幹部研修の一環としてこのような正体と目的を隠した偽装伝道を行わせているのでしょうか？

そして、これら勧誘（伝道）の手法についての是非について、教団としての見解を聞かせてください。

3月1日までに、ご回答をいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

やや日刊カルト新聞　主筆・鈴木エイト

回答期限日の3月1日、教団広報局から返信があった。

【世界平和統一家庭連合　広報局 2016年3月1日】

2016年3月1日

やや日刊カルト新聞
鈴木エイト様

世界平和統一家庭連合　広報局

回答文

①◆野の記憶によると、「(ＳＹＣ)宗教法人ではないが、統一原理を学ぶ所です。教会活動をしているわけではありません」と答えたそうです。また本人は、「宗教団体ではない」とか、「宗教の勧誘ではない」と話したつもりはないとのことです。しかし、「ＳＹＣは宗教法人ではない」という説明は、相手に誤解を与えかねない発言と思われます。

②ＳＹＣでは「宗教である」「伝道をしている」ことを説明するようにしています。ご指摘のような「正体と目的を隠した偽装伝道」をしておりません。

③◆野らは1年間にわたる「公職者養成プログラム」の中で、たまたまＳＹＣで伝道活動をしていましたが、その他のメンバーは全国の複数の教会に派遣されて伝道しております。
それゆえ、「本部が幹部研修の一環として、偽装伝道を行わせている」という事実はありません。

ただし、今回のように誤解を招くような言動をとることがないように、今後とも指導を周知徹底する所存です。

（伏字は本紙によるもの）

もう一度、勧誘員の言動を検証する。



Y野勧誘員はハッキリと、

「宗教団体じゃないんですよこれ。結構間違われるんですけど」

「・・・宗教の・・・勧誘っていうのは・・・・・、勧誘じゃないから伝えてないです」

と発言している。

「（ＳＹＣは）宗教法人ではないが、統一原理を学ぶ所です。教会活動をしているわけではありません」なる発言も一切なかった。

「公職者養成プログラム」の過程で発覚した偽装勧誘は、誰の指示によるものだったのか。

旧態依然とした勧誘習慣に変化の兆しは見受けられない。

～本紙関連記事～

統一教会の新たな正体隠し伝道の手口が判明＝偽装スクールの名は統一教会用語で「信者」を意味する『SYC』