2017年12月26日火曜日

統一教会の「使用者責任」だけではなく「組織的不法行為」も認定、元信者による損害賠償訴訟控訴審で画期的判決

会見する原告側代理人
司法が統一教会・家庭連合の組織的不法行為を認定した。
26日午後、元信者が同教団と国を相手取って起こした損害賠償訴訟の控訴審判決言い渡しがあり、東京高裁民事第21部の中西茂裁判長は「家庭連合は、綿密に構築された過程に従い、組織的、計画的に勧誘、教化を行い、家庭連合の教えを信じさせ、献金等の支出を続けさせ、入信させ、献身活動を行うに至らせている」「家庭連合が構築した勧誘、教化の過程に取り込まれ、家庭連合が計画したように信者となったことは確か」「その手法は社会的に相応と認められる範囲を逸脱している」と同教団の組織的不法行為を認定し、総額約1,164万円の支払いを命じた。
司法が同教団による「使用者責任(民法第715条)」だけではなく組織的な「不法行為(民法第709条)」を認定した判例はこれまでに数件しかない。


同教団の元信者の女性(43)が同教団の組織的不法行為によって多額の損害を負ったとして「教団」と「教団の行為を放置した国」に対して総額約4,270万円の損害賠償を求め提起していた裁判。一審の東京地裁判決では国への請求は棄却したが教団の使用者責任を認め1,020万円の支払いを教団に命じていた。国を除く双方が控訴した今日の高裁判決では、地裁判決に続き国への請求は棄却され逸失利益も認定されなかったが、教団の組織的な不法行為を認定、財産上の損害を約830万円から約859万に、慰謝料も100万から200万に増額するなど総額で約144万円、賠償額が上乗せされた。

◆「主証」までを不法と認定、「主証」以降は個別に判断
 
※主証(しゅあかし:ビデオセンター受講者に対し、メシアが文鮮明教祖であり、統一教会の伝道であると明かすこと。4DAY合宿の最終日に行われるケースが多い)

判決文には
「一審被告家庭連合は、一審原告に対して、綿密に構築された過程に従い、組織的、計画的に勧誘、教化を行い、一審被告家庭連合の教えを信じさせ、献金等の支出を続けさせ、入信させ、献身活動を行うに至らせているのであって、一審原告は一審被告家庭連合が構築した勧誘、教化の過程に取り込まれ、一審被告家庭連合が計画したように信者となったことは確かである。また、一審被告家庭連合は、当初の約2年7か月は統一教会であることを秘しているのであって、後記のとおり、その手法は社会的に相応と認められる範囲を逸脱しているというべきである」
とあり、正体隠し勧誘から教化の過程を全て違法と判断しているものの
「もっとも、一審家庭連合又はその信者らが行っているのは宗教活動であり、一審原告に対して行ったことも宗教上の教義の伝授や実践の指示である。一審被告家庭連合が専ら一審原告の財産収奪や労働力の搾取を目的として活動したとは認められない」
「一審原告が一審被告家庭連合と関わった全ての事実が一審被告家庭連合による違法な勧誘、教化の結果であり、一連一体のものとして不法行為になるとは認められない」
とするなどチグハグな印象だ。
また、判決では主証後に教団側が女性に合同結婚式への参加を迫るなどした行為についても女性へ精神的苦痛を与えたとした。


◆信徒会と709条について言及
そして、信徒会や709条については
「世田谷信徒会が一審被告家庭連合とは別の組織として存在していたと認めるに足りる証拠はない」「世田谷信徒会は一審被告家庭連合の内の一組織というべきであり、一審原告に対する違法な勧誘及び教化活動は、一審被告家庭連合の行っている伝道活動として一審被告家庭連合が行ったものであり、一審被告家庭連合は、民法715条、709条に基づき、損害賠償責任を負う」
とし、民法第715条の「使用者責任」だけではなく、民法第709条の「不法行為」による損害賠償を認定し、教団の組織的不法行為を指摘した。これまでの同教団をめぐる元信者からの提訴では、信者の不法行為とその使用者責任(民法715条)を教団に対して認める判決は多く出ているが、民法709条の不法行為を教団に対して認定した判例は少ない。

◆原告代理人が会見「画期的だが不満が残る」
原告の元信者の代理人弁護士の一人であるリンク総合法律事務所の紀藤正樹弁護士は同日、同裁判所内の司法記者クラブで会見し「709条が認められたのは元信者・マインドコントロール型の訴訟としては2例目で、合同結婚式の勧誘違法が認められたこと合わせ画期的」「裁判所が『そもそも正体や目的を隠すことは違法』と判断したのは、一般市民にも解かりやすく、カルト問題だけではなくマルチ商法や他の悪徳商法にも影響力があり、歓迎すべき」としながらも「個人的な感想としては不満が残る。マインドコントロール、教化、勧誘の違法性を問うのであれば、主証後も勧誘の影響を脱しえないのであるから、合同結婚式の勧誘違法と同じ様な図式にならないとおかしい。主証後はそれぞれ個別に違法性を判断すると言っているのがピンと来ない。この理論的な不整合さは、国に対する請求を棄却するために意図的に作ったのではないかと思われる節がある。統一教会の活動が一連一体のものとして違法ということになれば、理論的には当然国の規制権限の不行使を問わればならなくなるからだ。論理的整合性が矛盾している」と述べた。
上告について紀藤弁護士は「原告の意向も確認して上告し、真意を問うことも考慮する」と話し、会見で上告の意思を問われた原告女性は「検討します」と答えた。

◆教団も「上告も検討」
教団の組織的違法行為を認定された形となった被告の教団だが、教団側の代理人である福本修也弁護士は判決言い渡しに姿を見せず、被告席は無人だった。
教団の広報文化局は、同日以下のコメントを出した。
「一審原告の請求額のほとんどが排斥されたとはいえ、当方の主張が一部認められなかったことは誠に残念です。上告も検討したいと思います」


~本紙関連記事~

統一教会“放置”の国を訴えた元信者、弁連全国集会で教団の組織的違法行為と“デタラメ”ルポライターを糾弾!

国の責任を問う裁判で原告の統一教会元信者が意見陳述、改めて教団の違法性が浮き彫りに

統一教会に賠償命令、教団の違法行為を放置した国に対する国賠は棄却

1 コメント:

匿名 さんのコメント...

> 一審原告の請求額のほとんどが排斥された

そうだよな、やっぱ金なんだよなお前らwwwwwwwww

実は統一教会でしたーってバラすことが何だっていうの?
意思決定能力を奪ってる訳だろ、そこが犯罪なんだろ、バラすバラさないは関係ないだろ

控訴しろ控訴